ザ・グレート・展開予測ショー

 麗和浄(デイクリアリイ)〜うち解けあう両者と状況確認、その2〜


投稿者名:ジャムカ
投稿日時:(01/12/15)

「あたしは、リナ=インバース。見ての通り、戦士にして美少女天才魔道士よ」
 少女は、至極上機嫌な口調でそう名乗った。歳のほうは、この間18才の誕生日を迎えたばかりらしい。・・・もっとも、私は当初、その子供っぽい容貌から15,6歳くらいだと見積もっていたのだが。
 ・・・まぁ、「美少女」だとかいうのはおいといて、彼女の魔道士としての才能は、正直、この世界の魔道に関してはほとんど知識がない私でも認めざるをえない。わずか18かそこらの歳で、町一つをまるごと吹っ飛ばせるような強大な魔力を操れるのだから、それを考えてみただけでも背筋に冷たい物が走る。
 何より、私が驚嘆せざるを得なかったのはその目だった。
 燃えるような輝きを放つ、緋色の目。私が彼女くらいの歳の頃は、唐巣神父に弟子入りしたての頃―GSとしてはまだ駆け出しの頃―である。
 そのちょっと前の私は、世の中恨んで自暴自棄になってて、ずいぶんバカなことをしていた。そんな時期だった。
 あの当時の私が、今の彼女と同じ目をしていただろうか?―答えはノーである。悔しいけど、今の彼女のほうが当時の私よりずっと強い。人間的にも、精神面でも―。
 ・・・もっとも、「当時の私は」である。ま、所詮最後にモノを言うのは年の功、彼女より2年分多い努力を重ねた今の私の勝利である。ふふん、どーだまいったか。
 と、ここでいきなり、脇からタマモを頭にのっけてた神官風の服の少女がしゃしゃり出て言った。
「そうそう。『盗賊キラー』や『ドラまた(ドラゴンもまたいで通る)』の異名を持つこのリナさんが一緒にいれば百人力、いや、千人力です。盗賊はおろか、魔族だって尻込みして逃げちゃいますよ」
「ふふんっ、まぁね〜」 
 誇らしげに、決して豊満とは言えない胸を張るリナだったが、アメリアと呼ばれた少女はなおも続けた。―「余計な一言」を―。
「何せ、サイラーグは二回も滅ぼしたし、ここセイルーンだって一度は壊されかけたし、盗賊団を壊滅させることその数は数百にも及ぶんです。これだけ悪名が高ければ、盗賊はおろか魔族だって身の危険を感じちゃいますよね」
「・・・・・アメリア、それって誉めてるのかな〜?それともけなしてるのかな〜?答えによっちゃぁ、二度と二本の足で歩けない体にしてあげるけど?」
「うくっ・・・!い、一応誉めてるつもりです・・・」
「よろしい」
 恐ろしい顔でにらみつけるリナを前に、慌てて沈黙するアメリア。・・・まったく。あの程度で怒るなんて大人げない。やっぱり小娘は小娘――
 ――と、ここで横島クンがいやらしい笑みを浮かべながら私の側に寄ってくると、小声で言った。―そう。「余計な一言」を―。
「・・・今のリナとかいう娘の反応、なんだか、誰かさんソックリっスね」
・・・・・・・・・・ぷちっ。
――ごすっ!
「・・・何で、その人殴ったんですか?」
「別にいいのよ。続けて頂戴」
 怪訝そうな顔で、私と、後頭部にでっかいたんこぶを作って倒れた横島クンを交互に眺めながら言ってくるアメリアに、私は仏頂面でそう答えたのだった。
 ・・・前言撤回。やっぱりダメなものはダメときっちり、それも体に覚え込ませるべきである。
 ・・・まったく。この私を分別もクソもない無差別破壊魔なんかと一緒にするなんて、横島クンの無礼にも呆れるものがある。
 そんな私の心の内を知ってか知らずか、リナは構わず紹介を仲間の続けた。
「・・・で、こっちがあたしの自称保護者の剣士、ガウリイ=ガブリエフよ」
 そう言って、彼女が指さしたのは、私たちが街道で出会い、そして、私と宮殿で剣を交えた金髪の美青年だった。
 ギリシャ彫刻のように整った面立ちに、すらりとのびた長身。その見事なまでに整った容姿を生かせば、ファッションモデルをやっても食っていけるだろう。
 かつて、私の美貌に惚れ込んで言い寄ってきた二枚目連中―成金趣味の金持ちのおぼっちゃんやら、政治家や弁護士のドラ息子やら、そんな見かけ倒しの連中―とは明らかに一線を隔てる雰囲気がある。それは、彼の、その異様に透明度の高い目を見ればすぐにわかるだろう。少なくとも、自分本位にしか世界を見れなくて、自分への自信のなさをアクセサリーやら宝石やらでごまかしている見かけ倒し連中には、あの目は絶対に出来ない。―そんな目である。
 ・・・もっとも、それも、口さえ噤んでいれば、の話だが。
 まぁ、彼とちょっとでも接した者ならわかるだろう。リナが続けて言った、「どんな一大事でも、三歩歩けば全てを忘れるニワトリ並の記憶力を持つ、典型的なクラゲ頭」というセリフからわかるように、(ちなみに、その時彼は恨めしそうな顔でリナの方を見やっていたが、いつものことなのか、フォローに入る人間は誰もいなかった)彼の記憶力は悪い。いや、悪いなんて言葉じゃ生やさしいかもしれない。
 例えるなら、老人ホームに入っている痴呆症の老人と、物忘れ競争をしても、全く引けを取らないだろう。・・・むろん、これは悪口以外の何物でもないが。
 私の知り得る限り、彼に匹敵する人物は・・・・・いや、いた。たった一人だけ、思い出したくもない顔が瞬間的に私の脳裏に浮かんだのだが・・・あえて、その人物の名前は伏せておこう。うん。イヤなことはさっさと忘れるに限るわな。
 ここで、アメリアと呼ばれた神官風の少女がまた乱入してきた。
 「そうでーす!この人が、リナさんとらぶらぶの剣士、ガウリイさんでーす!」
「こっ・・・!こらアメリア!変なところでチャチャ入れないの!」
 顔を真っ赤にしながら否定するリナに対し、アメリアと呼ばれた少女は何故か小首をかしげる。
「チャチャ・・・って、私はアメリアですけど?」
「・・・うっ・・・!そりゃそうだけど・・・って、違うでしょうがっ!もう何でもいいから!あんたは黙ってなさい!」
 ・・・・・最後の方の会話の意味はさすがにわからなかったが、少女のツッコミに対するリナの反応を見ると、二人の関係はまんざらでもないらしい。
 もっとも、相方のガウリイ君はそんな会話にはまったく頓着せず、今ではシロにせっつかれて自分の剣を見せたりしているのだが・・・まぁ、彼のことである。ひょっとして、自分のことを言われているのだということが、わからないのかもしれない。
「とっ・・・とにかく!紹介続けるわよ。で、この子がアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。一応、このセイルーン王国の第二皇女で、得意分野は治療系の白魔法。その分野を応用しての、格闘戦も得意よ」
「その通りですっ!」
 神官風の少女が、だんっ!とやおらテーブルに片足を載せると、(どーでもいいけど、「正義」を名乗る割にはかなりお下品な行動をする子である)ガッツポーズのように拳を振り上げ、朗々とした口調で一気に言い放った。
「この正義の使者、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンがいる限り、例え魔族がどれほど邪悪な陰謀を巡らしていようと、この正義のこぶしで一気に粉砕して見せますっ!」
「・・・・・・・・・・」
 あまりと言えばあまりのことに、どーゆうリアクションを取ればいいかのもわからず、呆然と立ちつくす私たち。それをどう勘違いしたのか、アメリアは感極まった声で続けた。
「ええっ!まさか・・・まさかそんなに私の正義の志しに感激してくれるなんてっ!とーさん、アメリアは・・・アメリアはついに正義の使徒と呼ぶべき同胞を見つけましたっ!」
 と、やたらと一人で盛り上がっている。が、やがてたまりかねた様子のリナに、襟首をつかまれて無理矢理退場させられてしまった。
 ・・・・どうやら彼女、自分の言動に酔って周りの状況が見えなくなることがあるらしい。まぁ、タイプは違えど、私の周囲にもいるけど。思いこんだらそれに向かって一直線に突っ走るヤツ。
「・・・ってゆーように、見たまんまの正義オタクなんで、いきなり道のド真ん中で前口上とか上げても、驚かないよーにね」
「リナさぁぁぁぁん・・・そんなこと言わずに、一緒に正義を世に広めると誓った仲じゃないですかぁ・・・」
「誰が何時何処で何時何分何十秒、ンな約束したのよっ!」
 ・・・どーでもいいけど、やかましい連中である。いっつもこんな掛け合い漫才みたいな会話してるんだろうか・・・?
 まぁ・・・私たちも人のことは言えないけど。

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