ザ・グレート・展開予測ショー

 麗和浄(デイクリアリイ)〜うち解けあう両者と状況確認、その1〜


投稿者名:ジャムカ
投稿日時:(01/12/15)

盗賊団から失敬したお宝を持って、私たちは堂々と宿屋へ凱旋したのだった。ちなみに、生け捕りにした盗賊団の親玉は、騒ぎをききつけてやってきた役人に引き渡してある。
 宿屋の一階にある酒場兼食堂で、私たちは戦利品をサカナに、ささやかな戦勝パーティーを開いていた。
「んや〜、大漁大漁!悪いヤツはぶちのめし、活動資金をせしめて盗賊団を壊滅させる。世の中に貢献して、その上お宝までせしめちゃうなんてまさに一石二鳥。これだから盗賊いぢめって止めらんないのよね〜」
 ジュースが入ったジョッキをあおりながら、上機嫌な口調でそう言ったのは、私たちがこの世界に来てはじめて出会った少女―名前は確かリナとか言ったか―だった。
「ほーっほっほっほ!この白蛇のナーガ様にかかれば、盗賊団の一つや二つ、簡単にひねりつぶせて当たり前よっ!」
 続いて、やたらと露出度が高い、なにやら戦隊モノに出てくる悪の女幹部、といった雰囲気の衣装をまとった女が高笑いを上げながら言う。こちらもジョッキを煽っているが、中身はかなり度数の強いアルコールのようである。
 ・・・どうでもいいのだが、その耳障りな高笑いは止めて欲しいものである。こちらに向けられる他の客の視線が刺さって痛いし、何より、私の身近にもそーゆうバカ笑いをするイヤなヤツがいるのである。
 その笑いを聞いていると、どうしてもそいつのことを思い出してしまう。・・・ちくしょー、私が犯罪まがいのことにも手を染めて苦労してるってのに、今頃はあいつ、向こうの世界で豪華な食事でも摂ってるんだろうなー。
 ・・・無事に帰れたら絶対たかってやる!そう、私は心の中で堅く誓うのだった。
「いやぁ、あんた、口先だけの高ピー女だと思ってたけど、なかなかやるじゃない。精神的に追いつめないために、盗賊にわざと逃げ道を開けてやる手際なんか、とても素人とは思えないわよ」
「そう言うあんたも、なかなかやるじゃないの。ウチのボンクラ助手なんかよか百倍役に立つわね。どう?よかったら私の事務所で働いてみないかしら?」
「みっ・・・美神さぁぁぁん・・・そりゃないッスよ。俺だって必死に頑張ってたのにぃ・・・」
「はいはい。わかったから情けない声出すんじゃないわよ・・・」
 アルコールが入っているのか、なれなれしく私に触れてくる横島クンを、足蹴にして隅に追いやりながら、私たちはにこやかに談笑を続けた。
 リナは、どうやらかなり機嫌がいいらしく、先ほどよりかなりくだけた口調で話しかけてくる。
 かく言う私の口調も、自然と盗賊団を襲いに行く前よりは和らいでいた。共に盗賊団を壊滅させたことで、お互いに妙な共犯意識でも芽生えたのだろうか?
 何故こうなったのかは、未だよくわからないし、うまく説明できない。なんてゆうか・・・こう、いつの間にか、私たちの間にあった垣根が取り払われて、「こいつらは他人」という意識がなくなってしまったのである。
 ふと周りを見れば、おキヌちゃんは巫女さん風の容貌の女性と、シロは金髪の剣士と、タマモは神官風の服を着た少女とそれぞれ意気投合しているようだった。
 ちなみに、横島クンは・・・先ほどから、相手方の女性陣やら酒場のウエィトレスやらに声かけまくって、しかも声をかた人物全員に断られていたりした。
 まったく、あのバカは・・・異世界に来てまでやることは普段となーんにも変わらないのかしらね?ま、私は関わり合いになるのもイヤだったので、放っておくことにした。
 が、いつまでもバカ騒ぎをしているわけにもいかない。彼女たちからは、いろいろと聞かなければならないことがある。
 私は、いよいよ本題に入ることにした。
「ところで・・・あんた・・・リナさん、だっけ?ちょっと聞いてもいいかしら?」
 リナの目を正面から見据えて言う私に対し、「言わなくてもわかっている」と言うように、こちらのセリフを手でさえぎりながら、リナは言った。
「そー言えば、お互い自己紹介もまだ済ませていなかったわね。丁度いいわ。魔族に対抗するための作戦を立てやすくする意味でも、この機会にお互いのことを知っておく必要があるわね」
 が、リナがそう言った途端、ガタン、とイスを蹴って立ち上がった人物が二人いた。ともに、警戒心がその全身からにじみ出ているような険悪な雰囲気である。
「俺は反対だな」
「そうね。私もこいつらのことをまだ信用したわけじゃないわ」
 口々にそう言ったのは、岩の肌をした白装束の男と、タマモだった。お互いにうちとけた空気の中、この二人だけはその輪の中には入らずに、黙々と自分で酌をしていたのである。
 立ったまま、お互いににらみ合う二人。酒場に再び険悪なムードが満ち、トラブルの気配を感じ取った他の客が思わず逃げ腰になる。
 それに対し、タマモにアプローチを試みようとしていた神官風の少女と、おキヌちゃんがフォローに入った。
「もうっ、ゼルガディスさんったら。どーしてそう疑り深いんですか。お互いに正義を志した仲、もっとお互いのことを知って仲良くなれれば、それにこしたことはないですよ」
「まぁまぁ。タマモちゃんも落ち着いて。話してみると、結構いい人たちですよ」
「そうでござる。こんなひねくれ者のキツネはほっぽいて、拙者達だけで盛り上ろうでござるよ」
 最後のシロの言葉は、直前まで金髪の剣士との剣術話題でかなり盛り上がっていたせいか、場の雰囲気をかなりはき違えていたものだったが・・・。
「いつまでもお互いギスギスしてたって仕方ないでしょ?とにかく、理由はわからないけど、あたし達は共に魔族に狙われている。しかも、敵はあたし達と彼女たち、両方のことを知っていた。戦う目的は違えど、『魔族を撃退する』というお互いの利害は一致したし、争う理由もない。なら、協力して敵に当たったほうが賢い手段、ってモンでしょ」
「そうね。ここで私たちが争っても、結局漁夫の利を得るのは魔族だけ。なら、せめて相手の思惑だけでもハズしてみたいじゃない?」
 シメのリナの言葉を、私がつないだ。リナは、やや意外そうにこちらを見やったが、やがて、はにかみながら、こちらにびしっ!と親指を立てて見せた。それに対し、私は片目でウインクを返した。
 とにかく、一色触発の状況は回避されたのである。
「・・・ちっ」
「・・・フン」
 二人は、それぞれ不満そうな顔で席に着く。・・・こりゃあ、また一波乱ありそうな雰囲気よね・・・。
 それを見届けると、リナは自分たちのことを話しはじめた。まず、自分たちのことを先に話すということは、それだけこちらのことを信頼した証なのだろう。

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