ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(懺悔)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/12/13)




 ー終曲ー



 ーーーただ、見ていた。
 ーーーママの胸を『何か』が貫くのを。
 ーーー動けずにいた私をよそに、ゆっくりと、ママはーーー

「ママァ!」

 実際にそんな筈は無いのだが、瞳の中のママはとてもスローモーションに、ただ空港の床へと崩れおちた。


「美智恵君!」
 最初に立ち直り、駆け寄ったのは神父。それに続いて、西条、魔鈴、ピートも美智恵の側へ行き、傷を看る。
「神父・・・これは!?」
 慎重に、声一つも発する事無く、ただ黙って傷口にヒーリングを施す神父は無言のまま頷いた。
 物理的な攻撃では無い。通常の霊的な攻撃ですらない。
 傷は見るからに深く、貫通はしていないが、心臓、脊髄にまで損傷をもたらしている事は明らか。だのにも関わらず、血は一向に、一滴たりとも傷口から外へ流れてこない。
「これは・・・駄目だ!エミ君!魔鈴君!それにドクターカオス!どうやら君達の・・・」
 専門分野だ!ヒーリングでは対処出来ない!そう続けようとしたが、神父はそこで言葉をきるしかなかった。
 駆けつけずに、美智恵を攻撃した者の所在を探ろうと残っていた者達が皆ーー・・・一様に同じ方角へと、険しい表情を向けている。ただ今倒れている美智恵の娘で、神父の弟子でもある彼女だけは、身じろぎ一つする事も無くただじっとしていた。
「・・・美神君」
 己や他人が傷つくのとは比較にならぬ程、近しい身内の犠牲に強い抵抗を抱くのは、神父が思うに彼女の美点だ。
 しかしこの状況においては・・・
 皆が見据えている空間が、ぐにゃりと歪む。
 ざわついていただけの空港関係者や、一般の旅行者達が、その非日常的な光景におののいて、我先にと逃げ去っていく。こう言っては何だが好都合だ。これから起こる事に普通の人間が関与しようとすれば、その人は命を落としかねない。
「ドクター・カオス!アレハ空間移動ノ一種ト思ワレマス!何カ強イチカラヲモッタナニカガ・・・!」
「何じゃと!?」
 マリアの分析を裏付けるかの如く、空間が正常な状態へ戻ると・・・先ほどまでは誰もいなかった筈のその場所に、二人の女性の姿が在った。
 女性ーーー必ずしもそうとは言い切れない。二人は共にゴーグルをつけており、銀髪の男と同じ黒衣を纏っている。その線の細さからして、女性と思える・・・というだけだ。
 その二人の内、片方が、こちらへ向かい口を開いた。
『控えよ』
 そう一人が言い放った瞬間ーーー
 まるで、この空港自体が、大きく揺れ動いたかのような衝撃が疾った。
「ド、ドクター・カオスッ!!!更ニ強イナニカガ・・・!」
 マリアの声にも若干の驚き、動揺と脅えが感じられる。
 当然だろう。神父が満身の力をもって見回すと、誰もがその圧倒的な『力』の前に身動き一つ出来ずにいるのだから。
『懺悔せよ・・・!』
 声。姿は視えない。
『我に刃向かおうなどと思いあがりし事を・・・その様な下らぬ夢物語を果たそうとし、こうしてこの地に我を引きずり出した事を・・・!』
 その『声』自体にも、強い『力』が込められている。
 動けない。
 誰もがその重圧に、ただ押し潰されている中で、もう一度あの言葉が響く。
『懺悔せよ・・・!』
 言われるままに、ひれ伏さんとした、まさにその時。
「ざけんなクソ野郎っっ!!!」
 !!?
 今確かに、何かを耳にした。
 しかし・・・それは・・・
「あんたね・・・あんたなのね・・・よくもママを・・・とっととツラ出しなさいよ!そしたら二度とどこにも顔出せぬよう、顔面総整形したげる!!!」
『ク・・・!』
 その瞬間。
 呪縛が解けた。しかしそれに気づく必要も無く、押し潰される事すら無しに、ただ立っていた女性が言う。

「・・・出てきたわね?」

 その視線の先。

『美神・・・』

 『仮面』をかぶった『闇』が・・・

『美神・・・令子!』

 姿を現したーーー


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