ザ・グレート・展開予測ショー

第52話(ほぼ実話)


投稿者名:みみかき
投稿日時:(01/12/11)




 美神令子除霊事務所には様々な設備が完備されてある。
 それは防犯、対魔施設のみならず、娯楽施設においても
 それなりに充実されている。
 過去彼女に降りかかった厄災により、やむなく事務所に居住
 している為であるが。
 3Dサラウンドシステム付壁掛け液晶モニターが3台。
 地下の一室には完全防音の通信カラオケルーム。
 しかもJOY SO○NDとセ○!(←マニアック)
 そしてこの度CS衛星放送が導入された。

 CS自体はそんなにコストのかかるものではない。
 チューナとアンテナのセットは2万円代でザラにある。
 設置だけでン万払うのはしゃくなので、横島をこき使った。
 実際コンパスとレンチがあれば、なんとかなる程度のものだ。
 チャンネル契約料も高くはない。
 普通、2、30チャンネル加入して、月々7千円くらい。
 それが自分の趣味に合う番組のみを観る対価に高いか、安いか
 。
 まあ美神の様に、全てのチャンネルに加入する者は
 あまりいないが。

 まあ、つまんない蘊蓄はこれくらいにして(反省)
 事務所の居住者は、おのおのの興味の持つチャンネルを
 観ている。
 美神は音楽番組と映画、某経済新聞ニュース。
 タマモはグルメと自然探索、以外やドキュメント番組。
 シロはもっぱら時代劇&特撮。
 おキヌは昔のドラマとお料理専門チャンネル。
 それとテレビまんが。(よーするに昔のアニメ)

 おキヌちゃんはリビングで、毎週楽しみにしている
 テレビまんがを観ていた。
 「あれ、おキヌちゃん、これ……」
 実は、こっそりスケベなチャンネルを観ようとした横島が
 ソファに座って喰いいる様にモニターを見つめてる
 おキヌを見つけた。
 「あ、横島さん。これ知ってますよね」
 モニターに映るアニメは70年代人気があった
 名作物とよばれる作品だ。
 画家を夢見る貧しい少年が、忠実な犬と共に世間の
 厳しい風の中その夢を抱いたまま、打ちひしがれてゆく
 悲しい話。
 「子供の頃、観てたよ。冬休みになるとやってたよね〜」
 「今日、最終話なんですよ」
 おキヌは握り拳を作って力説している。
 「このシリーズ、好きだったよな〜。日曜夜7時半は
  かかさず観てた。ト○・ソーヤとか」
 「私、フ○ーネとかも大好きなんです!顔の形がそらまめ
  でしたけど」
 「俺、暗かったけど少公○セー○、観てたよな〜」
 「えへ、赤○のアンも大好きです!」
 ………ちょっと待て、アンタら。 歳いくつだ?

 「でもやっぱ、ペ○ーヌ物語はいいよな〜」
 「そ〜ですよね〜」

 「えっ、何?ペ○ーヌがどーしたって?」


 なぜか、美神が現れた。
 思わず、モニターに目を向ける。

 「…………チッ、なによフ○ンダースか……」
 いまいましそうに、舌打ちをする美神。
 「………………」
 「………………」
 なにか言いたいのだが、あえて黙る二人。

 「あれ、せんせ。ここにいたでござるか?」
 「おキヌちゃん、また”めいさくげきじょう”観てるんだ」
 シロタマの二人のやってきた。
 「ええ、二人も一緒に観ない?」
 ちょっとひきつりながらも、おキヌ。
 「まあ、名作劇場は”ペ○ーヌ”が一番だけど、
  たまぁ〜には、いいかもね、暇潰しに」
 なにか、アノ作品に思う所があるのだろうが、
 二人にはそんな”地雷”を踏む様な勇気は、無かった。



 物語は佳境に入り、少年は寂しく雪降る町並みを歩く。
 画家になる夢も破れ、やさしいおじいさんにも先立たれ、
 思い出の家も追い出された少年は、宛も無くさ迷う。
 「シロ、タマモ。覚えておきなさい。人間社会でお金が
  無いって事は、なにも無いって事なの」
 諦めの表情で、美神はつぶやく。
 「古来から変わらないお金の価値は、その人への信頼。
  ごらんなさい。どんなに才能があっても、お金が無い人は
  決してその才能は実を結ぶ事無く、消えてゆくわ。
  夢ばかりでは、人は生きてはゆけないの」
 感慨深げに頷くタマモ。
 「あ、あんたなぁ〜」
 つっこむ横島は、美神のエルボーで沈黙する。
 主人公の誤解が解けた村人が少年を探す。
 少年と親しかった少女も雪降る中、少年の名を叫ぶ。
 思わず涙ぐむ、おキヌ。
 しかし美神は首を振りながら、つぶやく。
 「アノ子が他人を心配できるのも、あの赤くて暖かいコート
  があってこそよね。自分に余裕が無ったらヨソの心配なんて
  できるワケ無いもの」
 おキヌの涙は、途中から”別のなにか”に変わっていた。

 心も身体も費えようとしていた少年は、大聖堂をめざす。
 あの心より憧れた、ルーヴェンスの聖母の絵を求めて。
 氷の様に冷たい大聖堂の廊下を、裸足の少年が歩く。
 その薄闇の中、彼が恋焦がれたその絵はあった。
 『ああ、神様。僕はもう、ほかに何もいりません…』
 爆笑する美神。
 「あははははは、バッカじゃない?ちゃんと満たされてれば
  ふつーに見れたじゃない!キャハハハハハハ」
 そして少年の愛犬が、彼の手袋をくわえて追ってきた。
 もう足取りもおぼつかない。
 「うう、いいこでござるな〜」
 「でもさあ、こうゆう場合、動かず体力を体温の維持に使う
  モンでしょ。本能忘れてるよね、この犬」
 タマモが身もフタも無いツッコミをいれる。
 少年は彼の愛犬と寄り添い、最後の時をむかえる。
 『パト○ッシュ、僕はもう、疲れたよ……。
  とても、眠いんだ………』
 静かに、息を引き取る少年。

 「せんせ〜、せんせ!死んだでござる!ネ○が、
  ネ○、死んだでござる!」
 あたりまえの事を、そのまんま言われるほど、
 興醒めするものは無い。

 やがて大聖堂の天窓から、やさしい光が二人を照らすと
 幾人かの天の使いが降りてきた。
 「せんせっ、ハエでござる!もう死体に目をつけたでござる」
 「気温低いのに、どこでも現れるのね、ハエって」
 完っ璧にメーターを振り切った勘違いをするシロタマ。
 ”ハエ”に導かれ、虚空を駆ける少年を愛犬。
 星の河を微笑みながら、駆け登ってゆく。
 「おお、えすえふでござるか?」
 とシロ。
 「犬に台車牽かせて、喜んでんじゃないわよ、ガキ」
 とタマモ。
 「フッ、最後まで現実逃避?」
 これは美神。

 「さぁ〜てと、DVDでペ○ーヌ物語でも観ましょーか。
  アレって最後は金持ちになる話だし」
 「せんせ、さんぽ行くでござるよ!」
 「………………寝よ」

 おキヌと横島はソファで膝を抱えて、泣いた。
 モニターの向こう側ではなく、不幸な自分達に。
 そして二人でこっそり、エンディングを口遊んだ。

 『パト○ッシュッ、僕の〜♪友達、僕の〜♪』


     お し ま い (←元ネタ風に)


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