終曲(間隙)
投稿者名:AS
投稿日時:(01/12/10)
ー終曲ー
ーイタリア、フィウミチーノ空港ー
ローマ市街から南東に約35kmのところにある国際空港。
観光に訪れる旅行者達の姿も多く見受けられ・・・ルネッサンス、バロックの芸術を一目見ようと、美術館へと足を運ぶ者もいれば、スペイン広場、トレヴィの泉などの名高き名所めぐりを目的とする者もいた。
この国で行われている、自他共に認める世界最高峰のサッカープロリーグを目当てとする者達もいる。
遠く離れた国から、長時間の空での旅を終えた彼らの顔には、喜びや期待、充足感といった感情が強く現れていた。
これからが本番と、高揚する気持ちを抑えられずに盛り上がる旅行者達。家族ぐるみで、気心知れた仲間内で、短い時間を精一杯楽しもうとする・・・
・・・哀れな人達。
幸福な時間とは、そこで決別。彼らが記す旅先での手記などには、う書き記されていたという。
『到着した時にでも、長旅の疲れなどは微塵も感じさせぬテンションの、多くは日本人の集団が現れたのだ』
『彼らを目にした時、私に生存する為の本能・・・というべきものが危機を知らせる。皆が・・・特に先頭の派手ないでたちの二人の女性が鬼気迫る眼差しのまま、殺伐などという言葉では表しきれぬ程の負のオーラがこちらに伝わってきて・・・我々は膝をつき、彼らが足早に去るのを、神に祈るより他無かったのだ』
「何だかさっきから・・・私ら腫れ物扱いなワケ!もうあんた仮面でもつけたら!?」
張り合うように隣を歩く色黒の女性の言葉に、しかし彼女は激する事も無く、ただ微笑んだ。
「いいわよぉ?確かに仮面でもつけたげなきゃ、いつまでもあんたとの差を周囲に見せつけてるだけだしね〜〜〜!」
そこで二人は全く同時に足を止めた。そうしてまたも同時に向き合い、互いに微笑みかける。
『うふふふふふふふふふふふふふふ・・・!』
まさにコロす笑み。これこそが、二人出会った時の日常。
そんな『微笑ましき日常』を、遠く異国の地でも繰り返す彼女達に・・・後方にいる者達は皆頭を抱えるか、恐怖に縛られ動けないでいた。
「あの、令子さん達止めなくてもいいんですか?」
おずおずと、頭を抱えててもある種の風格が感じられる女性に向かい、そう声をかける者がいた。
「あ、そ、そうね・・・ありがと陸奥季さん」
疲れはてた表情で引率を努める女性、美智恵は言った。
知らぬという事は、時に本人が思う以上に他人に重責を強いる時もある。彼女がもう少し『あの二人』の事を知れば解決するのだが、今の段階でそこまで理解を求めるのは酷だ。
(しかし・・・どっちがエコノミーに座るかなんて事でここまで・・・全くあの子達は・・・!)
ひたすら頭痛の種を抱え続ける美智恵は、今もっとも自分の隣にいる会長の懐深さを痛感していた。
しかし。頭痛は増せど、決して和らぐ事は無い。
「と、とにかく!二階のロビーに・・・」
「美智恵さん!いえお義母さんっ!」
新たな種が転がりこむ。
「大変です!ぼかー凄まじく大変な見落としをしてました!」
煩悩男の勢いに引きずられながらも、美智恵は聞き返した。
「み、見落とし?」
「そうですっ!この宇宙始まって以来の・・・ああ何故!俺はシロ達あやしてたとはいえ、気がつかなかったのか・・・!」
そこで煩悩青年のーーー横島の瞳が怪しく輝く。
「お嬢さん!陸奥季さんっすねーーー!?住所と電話番号!ああぼかーもー!!!」
「ちょ・・・横島く・・・!」
美智恵が止める間も無く、横島は陸奥季が驚きで目を閉じたのに構う事無く、飛びつこうとしてーーー・・・
「ブギョベッ!?!」
突然、床にめりこんだ。
「・・・・・・?あっ!よ、横島さんっ!」
陸奥季が目の前で押し潰された格好の横島に気がつき、慌てて駆け寄った。揺さぶる。
「先生・・・今のは・・・?」
「強力な負荷をかけられたのよ・・・危地にあって目をつむる時、彼女はその目で最後に映した原因を強く拒絶する。そうした時、彼女はああした形でその『拒絶』を現すの。西条君も気をつけて、『ね』?」
「や、やだな、先生、僕はそんな・・・(彼女を狙うなら見えない方向、つまり後ろからだな・・・)」
潰れて虫の息な横島をよそに、そんな会話が展開される。
「さ、行きましょうか。あ、氷室さんとシロちゃんは横島君をお願いね」
「何だか・・・」
「最近こんな役まわりばっかでござる・・・」
口をとがらす二人に苦笑し、美智恵はなだめるように言う。
「まあまあ・・・今回の事が片付いたら、買い物でもしましょうか。西条君や魔鈴さんがミラノにも詳しいらしいから、一緒にみんなで・・・」
『地獄へどうぞ』
その瞬間、美智恵の胸を一筋の霊光が貫いたーーー
今までの
コメント:
- 「不満も残りますが、続きです・・・読んでもらえれば、本当に嬉しいです」 (AS)
- 美智恵さん・・がんば!ですな。
イタリアで地獄へようこそですか。
媒体等でしか、イタリアは知りませんが、
なんとなく、似合う単語だと、
個人的に思います。 (トンプソン)
- 西条…彼女の視界を考える前に、ちゃんと口説けよ。
『拒絶』されてる時点でダメだろーが。 (黒犬)
- あの2人あれでも仲はいいんだよ
きっと・・
日本人はよく海外でひんしゅく買うって言われるのは
こんな人たちが来るからかな (ペス)
- 美神とエミの、年中恒例行事と言おうかなんと言おうか、そんな感じの「冷戦状態」ケンカの様子がとってもうまく描けていると思います。 (ジャムカ@トンプソンさんに指摘されたので「富士見〜」からH・N変更中)
- 冷戦状態といえば・・
<誰が為に金は鳴る>の
ドラゴンズのにらみ合いが好き〜 (ペス)
- そもそも切符代ケチるなよ、Gメン(苦笑)。
陸奥季の能力、受動的ではありますが個性的で面白いですね! 使い処が楽しみです。
べんべぬ〜と・ある・いんふぇるの。 (Iholi)
- ←うっかり忘れてました。お詫びに地獄へ行ってきます。ちゃ〜お・あ・とぅってぃ。
(Iholi)
- 地獄へようこそ。Iholiさん(Byラプラス) (トンプソン)
- エコーズ・アクト3!?
陸奥季さん、スタンド使いだったですか? (猫姫)
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