ザ・グレート・展開予測ショー

Heimdal the left――迷子のがーどまん――


投稿者名:ロックンロール
投稿日時:(01/12/ 7)

 東京を訪れるのは久しぶりだ。
 彼は思った。今は夜間。だが、東京の街は眩しいほどの『色』に満ちあふれている。
 ……と、その様な事を考えながら鬱々と歩いていたとしても。
 自分が、今、その東京のど真ん中に、独りで放り出されたという事実は変わらないのだろう…… 残念ながら。
 そして、仮に無事に再会できたとしても。
 やはり彼が長年かけて築き上げてきた『信用』は、大いに失落するに違いない。考えていると、また頭が痛くなってくる。
 本来、自分と同じ任に就いているべきである相棒も、二時間程前に、『探してくる』と言ったきり、戻ってこない。恐らく、どこかで自分と同じように、独り鬱々と膝を抱えているのだろう。いや、そうに違いない。
(東京は恐ろしい……)
 簡単に、一人の人物を雑踏の坩堝に飲み込んでしまう。そして、そのことを何もなかったことのように、日常の一部として取り込んでしまう……
 そして、
 自分も今また、東京の混乱の坩堝に飲み込まれようとしている。
 彼は、陰鬱にそれを自覚した。
 絶え間なく続く同じような景色は、彼の方向感覚、距離感覚を破滅的なまでに狂わせ、雑踏は、自らの位置の認識を曖昧にする。
 都会。
 恐ろしい……東京。
 廃ビルの前に腰をおろし、彼は考える。独り、孤独に、鬱々と、考える。このキカイと生命のカオスの中で……
 果たして自分は、目的を達する事が出来るのだろうか……
 否……!
 果たさなければならない。目的は……
 まずは自分の位置確認。そして、相棒と合流。そののち、再会を目指す。取り合えず、目指す。
 否、相棒との合流は後回しにしたほうが良いだろう。取り合えずは、『目的』を果たさねばならない。そもそも、自分がこんなところに足を運ぶ事になった理由――それを果たさなければ意味がない。
 その為には、探さねばならない。『あのお方』を。そも、それが第一の目的だ。自らに課せられた使命でもある。『信用』は裏切れない。そして、『あのお方』をこのような所で失う訳にもいかない。
 立ち上がる。決意を新たにして……
 その後で、相棒も見つけなければならない。相棒にとっても、自分にとっても、お互いは大事な朋友にして盟友だ。必ず……見つけ出す。
(腹は括った……決戦じゃ!!)
 自らに叱咤して、彼は跳ぶ。人に在らざる跳躍力。彼は満月に吸い込まれるように、夜空へと跳んでいった……


 後日。
「で、昨晩の行動を説明してもらいましょうか……」
「いや、あの、その……」
「左の! 天竜殿下をほおって置いて何処へ行っていたのだ!?」
「うん、ああ、え〜と……」
「鬼門(左)! お前は余の家来ではなかったのか!? 余をデジャヴーランドへ連れて行ってくれるのではなかったのか!?」
「あう……うぅ、む〜ん……」
 何故かグリーンランドで救助された彼――左の鬼門は……
 当世一代の貧乏くじを引く事になるのだった………………

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