ザ・グレート・展開予測ショー

ルシオラ復活の日々最終章更に別版(後編)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/12/ 6)

「だから―」
そこで言葉を切る。
自分を抱きしめている腕に力を込める。
震えを―止める。
「これは、プレゼントなんだよ」
ふわり
と笑いルシオラ。
「この数日の出来事も、言葉も、もらったこころも、いま思っている私の感情も」
できなかったことを、したかったことを、全てを味あわせてくれた
何よりも、どんな事よりも嬉しいプレゼント。
「オマエが、私にくれた何よりも何よりも嬉しいプレゼント。」
横島はただソノ言葉になにか言いたいのに、言葉がでてこない。
からからに乾いた喉を指輪を持っていない手で抑える。
「だけど、もらってるうちに我侭になっていくの…もっと欲しいって思っちゃう」
もっといっしょに居たい。
もっともっともっと長い時間をと。
横島の最期を苦しむ姿を見なくていいという安堵感と共にくるくるしさ。
まだ、ここにいたいと思う感情。
「だから、ね?こんなにたくさん、ヨコシマに貰ってるのにこれ以上あげようなんて思わないでいいんだよ。何も上げてないなんて思わないで物なんかより大切なものをたくさん貰ってるんだから。」
笑顔のままルシオラ。
そこに嘘は無い。
―だけど
横島は、何も言わずにゆっくりとルシオラの手のひらに触れる。
そして自分の体をきつく抱きしめている指を一本一本外す。
腕には、手の跡が赤く残っていた。
かたかたかた
手を外した途端体中に震えがくる。
「震えてるじゃねえか…こんなに。」
搾り出すような声で横島。
「うん。ごめんね」
嬉しいのに、怖いのが止まらないの。
その声には恐怖はない。
ただ、穏やかだ。
横島はルシオラの左薬指に指輪を嵌める。
すこしだけルシオラのサイズより大きくて口元が緩む。
そして、両手を握る。
二つの薬指にある
―同じ銀色の指輪。
そのことに気付いたルシオラがはたと横島へと視線を移す。
「…ん?」
ルシオラの視線に気付き横島は口を歪ませ
そして
「あたりまえだろ?」
と言った。
何が当たり前なのか
その二つの指輪のもつ意味をルシオラは知らない
だけど
ひどく、嬉しいと思った。

少しづつ力が失われていく
視界が歪む。
体からなにかが抜け出されていく。
ぼうっと体が光る

最期の時が来る

つづく

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