ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(解析)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/12/ 5)




 ー終曲ー



 重苦しい沈黙が、包むーーー

 この空港内にある、要人が利用する応接室。
 その部屋の中、ゆったりとしたソファに腰かけた二人の女性の内、一人がその場にいる他の全員に向かい、口開く。
「勿論・・・複製だからといって、彼がアシュタロスの配下として産まれたとか、そういう事ではないのね〜〜〜」
 間延びした口調とはいえ、それを語る女性の眼差しは真剣そのもの。それをただ黙って聞く者達の顔も同様だった。
 女性の両隣に腰かける、もう二人の女性に、更に対面する形で向かいに座る神父。そしてただ一人、直立不動の姿勢を崩さぬままでいる軍人風の青年。
 その場にいるのは、一人を除いては全員・・・誇張抜きに人類の存亡をかけた大戦にて、多大な貢献を果たした者達だ。
 ヒャクメーーそう呼ばれる女性が更に、言い募る。
「まだ解らないけれど・・・現時点での結論からして、彼はアシュタロスとは何の関わりもないのね〜・・・なのに・・・」
「ルシオラ、ベスパ、パピリオ・・・彼女達三姉妹と同じ霊基構造をしている・・・そう言うのですか?」
 そう問うたのは、神父。
 ヒャクメはゆっくりと頷いた。
「そう。・・・でも〜、少し違うのね〜〜〜・・・」
 そこからの説明には少し窮するのか、ヒャクメがチラリと、軍人の青年、ジークへと目配せの合図を送る。
「ゴホン!ここからは、僕ら魔族側の言うべき事ですから・・・まずは彼の霊力値、測定では500と出ました。この数値は、あの三人の複製としては、非常に少ないものといえます」
「そうね・・・」
 説明を聞く中の一人の女性、美神美智恵は思い出していた。
 以前にあまりに強力、圧倒的な力を持つ彼女達三姉妹に対抗するべく、他でもない自身が指揮を執り、その最終的な手段として・・・自分の娘と、その下で働くバンダナとみなぎる煩悩をトレードマークとした青年とを合体させる事により、活路を見いだそうとした事を。
「確かに500というのは、少なすぎるわね・・・第一もし彼が、あの三人の娘達と同レベルの力を持っていたなら、令子やピート君、タイガー君だけでは・・・」
「・・・恐らく、殺されぬまでも勝てはしなかっただろうね」
 美智恵の言葉を続けた神父。
 黙ってそれを肯定し、ジークはなおも語る。
「複製とはいえ、彼の能力は全く別物です。彼は大気中に満ちる微弱な霊気を、髪から吸収し、そのまま自分の力へと変換していたと思われます。あの銀色の髪や瞳が灰色に変色したのは、変換する能力が休止状態であるからだと・・・」
「待ってくれ!じゃあ彼の力は無限とでも・・・」
「容量としては、その通りです。しかし上限という意味では違います。彼の力は決して500という数値は上回らない。しかしこの世から霊的な力が消失でもしない限り、理論的に彼は、ほぼ恒久的に霊力を使い続ける事が出来る筈です」
 ドサッ、と立ち上がりかけた神父が再び腰を下ろす。
「信じ難いな・・・そんな『力』を持つ魔族の、しかも複製なんて中世にもいたかどうか・・・」
「・・・ですが、事実です。補足するとして、大気中の霊気を吸収する事が可能な彼にとって、風を霊力の刃とするのは非常に相性の良い攻撃手段といえます。霊力を物質化させ、恒久的な鎧として攻守両面の力を上げる魔装術もベストな選択です」
「・・・以上が、現時点で解っている彼に関する事全てなのね〜〜〜」
 そこまで言い終え、ヒャクメ、ジークが共に口を閉ざすと、場は再び重苦しい沈黙に包まれた。
 その空気を振り払うかの様に、美智恵が立ち上がる。
「・・・そろそろ行きましょう。問題の彼もこちらに運ばれている筈だし、フライトの時間も迫ってるわ」
 そう言いながら歩を進め、ドアの前でふいに立ち止まると、振り返らぬまま、美智恵は言った。
「会長、ヒャクメ様、ジーク君、陸奥季さん・・・有り難う。でももう一つお願いがあるの。彼の事、皆には・・・特に横島君には、今は・・・」

 そこまで言い、ドアを開けた瞬間ーーー

 美智恵は言葉を失い、絶句した。

「!?!」
 目を疑う。
 話に集中していたとはいえ、『全然』気がつかなかった事を不思議に思うほど、非常識な光景がそこには在った。
 燃えている。『彼』の足元が燃えているのだ。
 その『彼』は、何故だかはりつけにされており・・・すぐそばにはうろたえるネクロマンサーの少女の姿も・・・例の黒衣には何か書きこまれた張り紙が・・・それに目を向けると・・・


 私は傷つき弱った敵役美形キャラぶっていい気になってます


 グラリ・・・と、張り紙を読み終えた美智恵がそのまま卒倒しかけた瞬間、良く知る声がいくつも、耳に飛び込んできた。

『美形ぶってんじゃねーぞコラ!』
『先生!もっと燃やそうでござるっ!タマモっ!狐火!!』

 とりあえず・・・

 激しく頭痛のしだした側頭部を抑えて、美智恵は大きく息を吸い込んだーーー

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