ザ・グレート・展開予測ショー

ロバーズ・スウィープ〜こっそりライフ・セーバー〜


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/12/ 2)

「盗賊いびり倒して盗品せしめる!?」
声が響いた。あからさまな非難の口調で。
「な……なによ…!手っ取り早いのよ?お手軽な相手だし、わりと貯め込んでるし」
「言い換えりゃ、リンチにカツアゲじゃない!私はそんなモン、五年も前に卒業してんのよ」
「髪切ってグレてたころスか……」
生々しい過去を、妙なタイミングで触れたものである。
「………………なんか…都合悪いことでもあるの?仕事と同じような気がするんだけど」
きょとんとして尋ねてきたのはタマモ。
「お…同じなわけないだろ!?相手はRPGの魔物じゃないんだぞ、人間なんだから」
横島が、なんだか本人的に言ってて虚しくなるほど当り前の事を言う。
「知ってる。でも、悪党なんでしょ?いつも退治してお金貰ってるじゃない」
勿論、美神や横島には悪人しょっぴいて金品を得た心当りなど無い。
しかし、人間でなければある。もっとも、人間にそれをするのはまた話が違ってくるのだが。
「あのねぇタマモ、私達は人間だから人間張り倒すのには抵抗あんのよ」
言い分としては、それが精一杯だった。
理屈で考えて、「妖怪は殺せるが人間はヤだ」などというのは人の身勝手であり
妖怪であるタマモにそういう感情を理解させられるわけも無い。
そもそも、「人間は人間・その他はその他」なんぞという理念が人間の意識の根底に
あったりするのだが、これがとかく無根拠過ぎたりするのである。
動物が呼吸すると空気中の微生物が殺される事になるが、それを咎める人はいない。
微生物に人権が無いのだから当り前というのである。また、殺さないわけにもいかない、と。
当然であり奇妙な話だが、すべての生物を庇いあっていたら生命は成り立たない。
頭で考えれば解るのだが、微生物にだって未来があり、希望があるのである。
それを仕方なく殺している人間だが、どういうわけか「人間様は微生物より偉い」
=「罪も無い微生物より犯罪者の命のほうが重い」と考えているのだ。
これでこの感情を、理路整然と人間外相手に納得させられる筈も無い。
「……なにそれ?よく判んないけど、妖怪のあたしが妖怪退治手伝ってるのとは違うの?」
彼女もやはり、納得はしてくれなかった。そもそも、理解できる道理もないのだ。
美神としても、自分の主張が見当外しまくってるのを承知ゆえこれ以上言葉も無い。
「だって妖怪は退治していいことになってるじゃねぇか……」
――バカッ!
横島の発言を美神が叱責するより早く、タマモの顔の筋肉が小さく跳ねる。
「………どういう意味よ、それ…人間が同じ悪さしても、退治しちゃいけないっての!?」
タマモの押し殺した声音。横島はその変化にようやく状況を悟り、露骨に言いよどむ。
「へ?…あ、いや…べつにそういうつもりじゃ………」
――…ったく、もぅ……しゃあないわね………――
美神は胸中で暗澹のうめきをもらすと、気持ちを切り換えカラッとした笑顔を作って、
「や……やーねータマモったら、やらないなんて一言も言ってないじゃないの」
「…つまり、手伝ってくれるケド気乗りはしないってことを言いたかったの?」
「ま…まぁね!私の取り分多めにお願いね!!」
――これでもし、手違いで寝覚め悪くなるようなことが起こったら…横島殺ス!
口からも胸中からもヤケクソ気味の言葉を絞り出した美神であった。

「んで、あのリナとかってのが呪文で追い立ててるから
逃げてきたのを私らがとっ捕まえてアジトを吐かせる……ま、楽な作業で安心したわ」
「しっかし……どーすんです?モノのはずみで死なせちゃったりしたら」
「あ・ん・たがそれを言うの!?ともかく、あの様子じゃあタマモに任せたら敵さん全員
消し炭よ。いいこと!?私達二人でなるたけたくさん昏倒させたり威嚇して追っ払うのよ」
「あ、そう考えりゃむしろついて来て正解スね」
感心する横島だが美神は猛烈に被りを振る。
「どこがよ!こっちでタマモが何人人焼き殺したところで帰れば罪はチャラなのよ?
つまり、私達のあずかり知らぬとこで好きなだけ殺っちゃってOK!それがすっかり関って」
実際、知り合いでもなんでもない人間なんか千人死んだって知ったところではないのだが
いくらなんでもウェルダンに焼きあがる人間なんぞ見たい気はしない。
「俺、このまま帰っちゃダメッスか?」
想像して陰鬱になり、横島は答えが解りきった質問をした。美神は気の利いた文句を探し…
「帰るんだったら二度と私に会わないことを祈るのね…命に関るから…」
あんまり奇抜な科白が出てこない自分に、軽い舌打ちをしたのであった。

ザシュッ
「ギャッ!?」
横島の「栄光の手」に右肩を浅く薙がれ、痛みを堪えず砕けた剣を取り落とす髭面の盗賊。
ドカッ
すかさず盗賊の顔面を踏みつけて沈黙させる横島。肩で息をしてるのは疲労か興奮ゆえか。
「ハァー…フゥー…うし!真正面からタイマン張って勝てるなんて…成長したなぁ、俺」
思わず小躍りしてから、新たに突っかかってくるアイパッチの盗賊と対峙する。
横島の動きは相変わらず拙いが、彼の手から迸る光の奔流は半端な威力ではない。
ガシャッ
またも易々と相手の武器を打ち砕く横島。
ザンッ
横島の追撃が敵の脚を斬り裂き、動きをうばった。
「野郎ぉッ!こうなったら、テメーら!囲むぞ!!」
一人の盗賊が周囲の仲間に呼びかける。横島はそれを聞いて顔面蒼白になる。
「ちょっと待て!男らしくないぞ、そーゆーのは!!」
「馬鹿野郎!テメーこそそんな反則な得物振り回してどこが男らしいんでぃ!!」
「俺は喧嘩と無縁のインテリなんだから、これぐらいはハンデだろ!?」
とんでもない大ボラ吹きである。確かに喧嘩とは無縁な人種ではあるが。
「嘘つけ、お前みてーなマヌケ面のどこがインテリだ!?喧嘩馴れないヘタレに見えるぞ」
向き合ってた盗賊とは別なのが鋭く指摘する。
「うく……今の嘘を見破るとはなかなか鋭い…」
「だから、顔でわかるっちゅーに…」
などとやりあっていると……
ボゴドグゴゥン
爆炎が無数に発生し、その紅く輝く舌のような焔が盗賊たちを舐め尽した。
「横島、この辺はこれでだいたい片づいたよ!」
タマモである。
「お…おぅ、助かった!」
言って、二人並んで喧騒が聞こえるほうに走り出す。彼らが立ち去った後に輝く『救』の字。
「俺はやれるだけやったからな!不運にも死んじまっても化けてでるなよ!!」
「誰が?」
「気にすんな、独り言だ」
横島はタマモの問いかけをさらりと流した。
そして騒ぎの現場に辿り着くと……
びちべちべちべちばちばちちぃぃぃぃん、しゅるっ、ばしぃっ
変形Ver神通棍が唸り、盗賊たちは根こそぎブッ飛ばされていた。
「………想像以上に歯応え無い連中で助かったわ…」
――タマモに来られる前にあんたらを倒す前提で、私にできうる精一杯の手加減はしたわ。
これでも当たりどころ悪けりゃ死んでるけど、日頃の行いの所為ってことで諦めてね。――
倒れた盗賊たちに、美神の視線はそう語りかけていた。

「んーむ…シケてるわねぇ………おーし、もう一軒行ってみよっか!」
「ふっ!それなら私にもう二ヶ所ほど心当りがあるから、任せてもらおうかしら?」
『絶対ヤ(です)!』
必要以上に疲労困憊した二人――美神と横島の声が見事にハモッたのであった。


あとにかくから「あとがき」なら、途中で書くから「とがき」;
このお話はこれ一本じゃ成り立ちませんが、連作に関るわけでもないサブシナリオです。
まー、あえて殺すの殺さないのとネガな話にしたので雰囲気がそぐわないんだから当然。
そういうとこを深く突っ込みたい人や、雑魚戦が見たい人向けです。
途中、俺個人の見解がモロに差し込まれてるのも意図したことです。
だいたい、人が死ぬのには嫌悪しても動物ならそれほどでもないってのは人の都合ですし。
こういう価値観は人間を語る範囲でしか意味を成しません。
また、人の汚さを浮き彫りにするので読んでて何にも楽しくない。
後ろ指差され感で鬱に浸ることうけあいです。俺なら読みませんよ、こんなん(自嘲)
それでも、このお話に出てくるみんなは純粋に自らが動きたいように動いている、
世俗のしがらみ身体に巻きつけたまま振り払わずに驀進する気持ちいいヤツらだって事を
最後に記して、閉幕とさせていただきます。おつきあいいただいた皆々様、センキュー☆

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