君がいるだけで(18)
投稿者名:JIANG
投稿日時:(01/11/30)
妙神山に来てから何かと口うるさい小竜姫が自分に向かって頭を下げる姿を見たパピリ
オはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。
「そんなに私たちに協力したいんでちゅか? それなら条件があるでちゅ」
「な、なんですか。その条件とは……?」
小竜姫はパピリオの表情に嫌な予感を感じながらも聞き返す。
「えっとでちゅねー。まず、私の修行の時間をもうちょっと少なくして欲しいでちゅ。そ
れから自由時間を今の倍…じゃなくて3倍はほしいでちゅね。それから食事は3食とも最
高級の蜂蜜を出して欲しいでちゅ。それからおやつにはこの前、天龍童子がおみやげに持
ってきてくれた青い桃の缶詰がいいでちゅね。あれはほっぺたが落ちるくらい甘くておい
しかったでちゅ。それから……」
「ちょ、ちょっとお待ちなさい、パピリオ! あなたの言ってることはいつものワガママ
と同じではないですか。それに殿下がおみやげにお持ちになられた缶詰の桃は蟠桃といっ
て大変貴重なものなんですよ。そう簡単には手に入るモノではありません。殿下もおっし
ゃっていたでしょう、めずらしいモノだと…」
「ちょっと、小竜姫。殿下から蟠桃を戴いたって本当? だとしたら、あの遊園地にお連
れになったときでしょう。私にはそんなこと一言も言わなかったじゃない」
突然、ヒャクメが蟠桃のことについて激しく言及してきたので小竜姫はしどろもどろに
なって説明をする。
「え!?…だって、あれは……その……妙神山に新しく来たパピリオのお祝いと遊園地に
お連れするお礼をかねて殿下がお持ちしたものだから……それに、あの時は冷やすために
氷室に入れたばかりだったし……あまり数もなかったし……。」
「いくつもらったのよ!」
「全部で5つだけど……。そんな怖い顔で迫らないで、ヒャクメ」
「うるさい! それで、残っているのいないの?」
「えっと………き、きのう斉天大聖老師が天界から一時お戻りになられたので、その時お
出ししたのが最後だったの……」
「なんですって……! よりにもよって老師になんかに……。あの人は若い頃、天界で大
暴れしたときに、西王母さまの宮殿に忍び込んで実ったばかりの一番おいしい時期の蟠桃
を片っ端から食い散らかしたという前科があるのよ! その石猿に缶詰とはいえあの桃を
与えるなんて……。もったいないのねー!」
「なんか、話のとんでもない方向にそれてますね、姉上」
「う、うむ………」
ジークとワルキューレはあきれたように成り行きを見守っている。
「そうでちゅ。話がずれてまちゅよ。今重要なのは、白猿のおじいちゃんの事じゃなくて、
私の要求についてでちゅ!」
「それも違うだろ!」
ベスパがとうとう堪忍袋を破ってパピリオに頭にげんこつを落とす。
「痛いでちゅ。ベスパちゃん……」
かなり痛かったらしくパピリオは涙目で抗議するが、ベスパににらまれて体を小さくす
る。
「パピリオ、おまえが余計なことを言うから話がそれちまったじゃないか。あんたたちも
いい加減にしなよ。ヒャクメ、小竜姫」
半ばあきれた様子でヒャクメと小竜姫をにらみつける。
「あうっ……、ごめんなさい。でも神族は蟠桃には目がないのねー」
「すいません、私としたことがパピリオのペースに乗せられて……」
どうも今回に限って小竜姫とヒャクメの2人はベスパに対して分が悪いらしい。
(前回、こいつら神族相手に真剣に戦いを仕掛けていったのがバカバカしく思えるのは気
のせいかねぇ)
ベスパはそう心の中でつぶやいた後、ふと思い浮かべたのは空母の上で戦女神のごとく
長柄の戦槍を振り回す美神美智恵の姿であった。
(あの時は、やばかったよ。もしもヨコシマとパピリオの助けがなかったら、最悪除霊さ
れてもおかしくなかった……。土偶羅様じゃないけど人間の方に脅威を感じるなんてね。
ちぇっ、なんだかヤなことを思いだしちまったよ)
「ベスパ……?」
少しの間、物思いにとらわれていたベスパはワルキューレに問いかけられハッとして顔
を上げた。
「あ、ああ……あんたたちが協力してくれると言うのなら、別に断る理由もないよ。ただ
し、パピリオじゃないが条件がある」
「それはなんだ?」
今まで小竜姫が議長役となって受け答えをしていたが、先程の一件で立場が弱くなった
せいか、彼女に代わってワルキューレがたずねた。
「私らはすでにある程度の行動指針を決めてあるんだ。それにルシオラのことは私ら姉妹
に関係していることだからね。だから今回はこちらの指示に従ってもらうよ」
「そうだな……。すでに動いている分その方がいいだろうな」
「姉上…!? こいつらはまだ保護観察中の身ですよ。いいんですか?」
「もちろんベスパとパピリオたちが行動する際には我々が監視につくさ。――それがあん
たたちの指示に従うこちらの最低条件だ。それでいいね、ベスパ?」
「まあ。それはこっちも立場上納得するしかないね。いいだろう、交渉成立だ」
「あんたはどうだい、小竜姫」
「ええ、私たちもそれでかまいません。ルシオラの件は同じ姉妹であるベスパが主導で行
動するのが妥当だと思います」
話がやっとまともなものなり、一同は再び席に着いた。
そして今後の行動についての話し合いがはじまった。
*** つづく ***
今回の話は閑話休題といったところです。
シリアスな展開に作者であるJIANGが耐え切れなかったんだよ〜(笑)
予告で意味深なことを書くときは、本編ではギャグになっている可能性が高いです。
期待された方、すいません(謝々)
(15)からナルニア編ってことになっているけど、今までの展開を振り返ってみると、
べスパが主役の妙神山編ですな、ここまでの話(苦笑)
それでどうなんでしょう、べスパの印象は? それではコメント待っています。
今までの
コメント:
- じゃりんこ かわいすぎ〜(笑) (ペス)
- なるほど。「青い桃の缶詰」ってのは、その昔、悟空・・・じゃなくて、老師が盗み食いした蟠桃のことだったんですね。 (富士見と美神のファン)
- うう、やっと追い付きました。
桃缶とてんびんにかけられるルシオラって……(笑) (みみかき@風邪悪化中)
- ↑過去ログの旅おつかれさーん
そうとう潜っていましたねー
(ペス)
- あれを桃カンにするのは好いなぁ(笑)。こういう妙に俗っぽい処がいかにも『極楽』っぽいですね。 (Iholi)
- ああ……いつもの風景だ(笑)
相変わらず極楽のキャラが忠実に再現されてるねー。 (天邪鬼)
- ペスさん
コメントありがとう
・富士見と美神のファンさん
コメントありがとう
そうなんです。老師は元天界の暴れ者ってことにしました。
その後、偉いお坊さんお供で天竺までありがたーいお経を取りにいったんですよ(笑) (JIANG)
- みみかきさん
コメントありがとう
風邪をひいていた中、読んでくれてありがとうございます。
Iholiさん
コメントありがとう
あの桃缶は自分でもヒットです。
実はこれをネタに短編書いてみたいと思っているところです。 (JIANG)
- 天邪鬼さん
コメントありがとう
ハイ! がんばって忠実に再現しようと心がけています。
それが、ウリのひとつですから(笑)
物語そのものも楽しんでもらえるようがんばりますね〜。 (JIANG)
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa