ザ・グレート・展開予測ショー

BATHROOManotherside――給料日と希望と絶望――


投稿者名:ロックンロール
投稿日時:(01/11/29)

「ふぅ……」
 一仕事終えた満足感。生理的な安息……横島忠夫は今、幸福の只中にいた……
 ……トイレ。
 そう、ここは美神除霊事務所のトイレ。トイレと言うにはあまりにも広い、あのトイレである。
 横島はここで、当然成すべき事を今完了させたのだった。
「給料も出たし……」
 つい先程、美神から渡された茶封筒の中身を確認する。その中にはしっかりと、1円単位まで計算されて、彼の今月分の給料七万五千六百円が入っている。
「フッフッフ……これで今日は久しぶりに袋メン以外のものが食える……たんぱく質を充足させる事が出来る……」
 一ヶ月のキツイ労働の成果。嗚呼青春の給料日……
 生きてて良かった……!
 そうだ、家賃も払わなければならない。もうこれで、3日間逃げ回るだけだった管理人にも顔を合わせられる。自分が家賃を払えば、あわよくば夕食をご馳走になる事すら出来るかもしれない。
 そうだ、今日は久しぶりに隣の小鳩ちゃんでも呼んで鍋でもやろうか。自分の所持金と彼女のバイト代を合わせれば、3人分(除・貧乏神)くらいの野菜(除・肉)は買えるだろう。
 嗚呼……
 夢は膨らむ。
 横島は、ペーパーフックに手を伸ばした。当然、これまでの妄想を実現するためには、取り合えずトイレから出る必要がある。
 トイレットペーパーの端を思いっきり引っ張る。
 ――トイレットペーパーは抜けた。何の抵抗もなく……
「へっ……」
 手の中を見る。
 そこには、5センチ分ほどのトイレットペーパー……
 これは……つまり……
「紙がない……」
 思わず罵る。何と言うことだ……紙が……ない!!
 落ち着け……!! 自分に言い聞かせる。まずは探す事だ。希望を捨てるな。活路は常に希望と共に在る。
 そして、行動。
 トイレの中の戸棚などを全てチェックする。当然がに股歩きになるが、これは仕方ない事だろう。
 そして…………
(駄目だ……ねぇ……)
 絶望。
 希望を全て断絶されたとき……そこに希望を何も見出せないとき……人は得てして、絶望する。そう、自分だけではないのだ……そう、そうだ。
 便座に座って、考える。これからどうするべきか……茶封筒を握ったまま……
 ――暗闇に、光。
 横島は、手の中の茶封筒を凝視する。その内部に大量の紙類を詰めた茶封筒は、何も変わらずにそこに在った。
 ………………………………………………………………駄目だ!!
(出来ねぇ……!! 俺には……俺にはこれでケツを拭くことなんて出来ねぇ!! これが……これがなくなっちまったら……!! 俺の希望が! 青春がぁーっ!!)
 ならばどうするべきか。最後と思われる希望の光は絶たれた。
(こうなったら…………)
 小学生のとき一度試して以来、二度と使うまいと思っていた禁断の方法。
 それを……それをやるしかない!!
 そして横島は、トイレットペーパーの『芯』を手に取った…………

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