ザ・グレート・展開予測ショー

BATHROOM――紙は何処――


投稿者名:ロックンロール
投稿日時:(01/11/28)

「紙がない……」
 遠くから、横島の声。
 おキヌは、その悲痛な……悲哀のこもった声を聞き、自らの耳を疑った。
(そんな……まさか!!)
 当たり前だ。トイレには当然トイレットペーパーは常備してある。恐らく今の日本の家庭のトイレに、トイレットペーパーがないところを探すほうが難しいだろう。
 そして、
 トイレットペーパーは昨日おキヌ自身が近所のスーパーマーケットで購入し、しっかりとここ、美神除霊事務所のトイレに据え付けておいたはずだ。
 だとしたら何故?
(何故、何故なの? 横島さん……)
 仮定その1。備え付けのトイレットペーパーが発見できなかった。
(……違うっ……!!)
 横島は自分より前からこの事務所で働いている。そんな勝手知ったるわが家のような事務所の、トイレットペーパーの置き場所を、横島が知らないはずはない。
 仮定その2。自分が買っておいた分も含め、トイレットペーパーを使い尽くした。
(……多分、違う……よね?)
 そう。自分はトイレットペーパーを2ケース(1ケース12個×2)買っておいた。
 仮定その3。……紙のことは何かの口実、実は自分を何らかの理由で呼ぼうとしている。
(……でも、だとしたら……)
 やり方がまどろっこしすぎる。横島が自分を呼ぶなら普通に呼ぶだろう。ついでに、トイレの中に自分が呼ばれるような事態というのも思いつかない。
 さて。
 予測した可能性が全てつぶれた時点で、おキヌはトイレの前にいた。中から人間の気配。横島がこの中にいることは間違いないようだ。
 ドアをノックする。
「あの……横島さん? どうかしたんですか? 紙がないって……」
「おキヌちゃん! 入っちゃ駄目だ!!」
「……横島さん?」
 再びドアをノック。
「来るなっ!! おキヌちゃん!!」
「横島さんっ!?」
 激しくドアを叩く。気付くべきだった――――横島は……今危機にいるのだ。
 自分は気付かなかった! 激しい自責がおキヌの胸の中を駆け巡る。しかし、今は逡巡している場合ではない。横島を助けなければ!
「今来るなっ!! おキヌちゃん!!」
「今助けます!! 横島さん! 幽体……離脱!」
 幽体になってドアをすり抜ける。
 広いトイレの中には……
 今まさにズボンを上げようとしている横島が、
 一人そこに固まっていた。
 その足元には、
 細かくちぎられたトイレットペーパーの『芯』が散乱していた…………


 ――ちなみに後日。
 おキヌが買っておいたトイレットペーパーは、倉庫の中で発見された……

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