ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(再会)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/11/27)




 ー終曲ー



 現在の時刻は、午前十時二十九分。

「何て〜か・・・閑散としてますね〜」

 その日・・・空港へ到着した彼女は・・・いかにも呑気、そんな印象を受ける、聞き慣れたその声を耳にした。
 その瞬間。
 ドクン!
 胸が高鳴る。鼓動が、脈拍が疾くなる。
「・・・ぁ・・・」
 狂おしい『この感情』により・・・息苦しさをも覚える。
「あ・・・ぁぁ・・・!」
 目が潤む。
 きめ細やかな肌は紅潮し、指先にまで震えが走る。
 その理由はーーー明白。
 今もあそこに、いつもと変わらぬ仕草で、こちらの目をとらえて離さない『彼』がいる。そう!『彼』が!いるのだ!
 この様に平静を保っていられない程に、また熱病にでも侵されたかの様に、焦がれた自分を僅か一瞬でも、一目でも見たとしたなら、彼は一体どの様な反応を示すだろう?
「ぁぁ・・・!」
 知りたい。どうしようもないくらいに。『馬鹿だなぁ・・・』と、照れた様な、困った顔をして微笑んでくれるのだろうか?
 それとも。
 もはや『この感情』を抑えきれなくなったこちらが、その胸に『飛び込む』のを、爽やかな笑顔で両手を広げて待っててくれるのだろうか?
 恐らく・・・どちらも違うだろう。
 きっと。
 そう、きっと。


 逃げ出すだろう。

 迷いなど、塵ほども見せずに。


『ア・・・ア、ァア・・・!』
 こめかみに血管が浮かぶ。両手がわななく。朱に染まった肌は今や、赤鬼というにふさわしく。
 それに続き・・・視界までが、全て真っ赤に染まる。心音は更に疾いリズムを刻む。
 そうして、遂に、一歩。
 彼へと、一歩近づこうとしたーーーその瞬間。
「!ーーー!!!!?!」
 ビクン!と落雷を受けたかの様に、彼が全身、強ばらせる
 チッ!と、こちらは舌うち一つ。
 気づかれた。
 彼がいる場所・・・(喫煙コーナーだ。隣にいる金髪の男がタバコを吸っている)・・・から、6、7メートル程にも離れたところにこちらはいるのだが、それでも気が付く事の出来るその危機感に関しては流石といえよう。
 彼がーーー動く。
 瞬時に顔色が青一色に染まる。何やら呻いているみたいだが、さすがに聞き取れない。
 ジリ・・・ジリ・・・間合いを広げる。
 ゆっくりと、こちらから逃れようと、無駄な努力をする彼の瞳は絶望の感情が色濃く見てとれた。
 そして、それはーーー正しい。
 そのご褒美にニッコリと、満面の笑顔を送る。すると。

 もはや、先に述べたとおり、迷わず逃げ出す彼。
 当然、鞭を手にし、追う彼女。

 ここ最近の世界情勢の為なのか、空港は以前程、人であふれてはいない。それでも、無人ではありえない。

 絶叫し、顔中涙や鼻水でイッパイにした、逃亡者。
 怒号と共に、鞭振り回して、追い続けるハンター。

 迷惑過ぎる再会を果たしたその二人により、逃げ惑う人々。
 破壊されてゆく空港内の各施設、設備。その空港はそれ以降、更に加速度的に利用者を減らす事となる。

「立ち入る隙が・・・無い・・・」
「くっ!先生っ!し、死なばもろとも・・・!」
「やめときなさいよバカ犬!ほんとにあんた死ぬわよ!?」

 混乱を極めてゆく空港内。その混乱の明らかな『原因』を、またなのか、と見つめる関係者達。
「美智恵君・・・」
「何です?すみませんが私、最近目が悪くて・・・誰か今度よく効く目薬でも教えてもらえる?」
「は、はぁ・・・」

 かくして。それぞれの再会は、今をもって果たされ・・・

「こんなあんまりな再会・・・いやーーーーーー!!!!!」

 役者はーーー揃った。



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