ザ・グレート・展開予測ショー

あさばい


投稿者名:みみかき
投稿日時:(01/11/25)




 うっはぁ〜〜、つ、疲れたぁ〜〜。
 結局、朝までかかっちまった……。
 美神さん残業手当、付けてくれるかな〜。
 期待するだけ無駄か…。

 やっと俺はボロアパートに辿り着いた。
 昇りたての太陽にクラクラする。
 うう、ここの階段の傾斜って、こんなキツかったかな〜。

 玄関を開ける。
 盗む物なんざ、一つもないので鍵はかけてない。
 とりあえず上着を全部ぬいで、楽なかっこになる。
 なんつーか、ジャージに着替えるのもタルい。
 メシは後だ。
 とにかく眠たい。おまけに寒い。
 そそくさ俺は布団に入り込む。
 ……………………

 ガリガリガリガリガリガリ

 んだ?

 ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ

 ん?うっせ〜な。玄関か?
 気力を振り絞って玄関に向かい、ドアを開ける。

 おう、シロじゃねえか。
 ひさびさの「犬(狼)形態」で、ドアのまえで
 チョコンと”おすわり”している。
 そっか、さっきの仕事でコイツ、いつも胸からぶら下げてる
 精霊石を使っちまったんだよな。
 シロにしちゃ良く気がついた判断だったけど
 美神さん、頬をヒクヒクさせてたよな〜。
 あのサイズでも、ン千万円するし。
 スペア用意できる間、夕方まで「犬(狼)形態」っー事か。

 「どうした?今ごろ」
 ん、なんか口に喰わえてる。
 かがんで、視線をシロと同じ高さにする。
 口に喰わえてるのは、俺のバンダナ。
 そういや、今、してねーな。
 《落とし物でござる》
 ”おすわり”のまま、しっぽをプリプリ振ってる。
 俺とシロは霊波が近いので、これだけ距離が無いと
 テレパシーで意志疎通ができる。
 シロの肉体が急激に成長をとげた一つの引き金だったと
 美神さんは言っていた。
 「犬(たぶん狼)形態」の時は、コイツしゃべれないから
 ちょうどいいけどな。

 「そっか、ありがとな」
 屈んだ姿勢のまま、シロをなでてやる。
 「犬(狼かも)形態」の時は、いきなり頭からなでない。
 シロは無意識に警戒してしまう。
 だから、最初は肩から。徐々に首筋へと上がっていき
 その流れで頭をなでてやる。
 シロは瞼を閉じて、耳を後ろに回している。
 少し体を俺の方へ預けている。

 頃合をはかって立ち上がる。
 悪かないけど、ずっとこうしてるわけもいかんし。
 とりあえず寝たい。
 「じゃ、お前も早く休めよ」
 部屋へ戻ろうとすると、シロはトコトコ先回りをして
 枕元へチョコンと座る。

 「あのな〜、ココ狭いし、布団は一人分しかねーんだ」
 《一緒でいいでござる》
 「事務所に帰って寝りゃいだろ?」
 《ココがいいんでござる》
 「だから〜、なんでいきなり…」
 《ごほうびでござる!》
 ふ〜、いっか。コイツ、俺を慕って来てくれてるんだし。
 「犬(狼だといいな)形態」じゃ、なんもできんし。
 《犬ではござら〜ん》
 「はいはい、わかったよ。でも俺疲れてるから、すぐ寝ちまう
  ぞ?いいな?」
 《はいでござるっ!》

 俺の右側に、ちょうど腕枕を貸す形でシロが横になる。
 一気に布団の中の温度が上がる感じ。
 体温高いなー、コイツ。
 それよりも遥かに熱い視線で、シロが俺を見つめてる。
 至近距離のコレはチョット落ち着かないので、話題をふる。

 「あ、ありがとな、バンダナ。二つしか持ってないからさ」
 《びんぼーだからでござるか?》
 「はっきりいうな。それもあるけど、あまり買う気がしないだ
  けだ」
 《いつも身に着けてござるのに》
 「なんつーか、代わりを買ってる様で、イヤなんだ」
 《?》
 「前な。小竜姫さまが命を吹き込んでくれたヤツがあったん
  だ。………そいつに散々世話になったんだけど、俺を守った
  おかげで消えちまってな。白いヤツでさ。」
 《 ………………… 》
 「だから、代わりなんて買えねえってさ……」
 《せんせ…》
 「ん?」
 《優しいでござるな…》
 「そうかな?」
 《やっぱり、せんせいは優しいでござる〜〜!!》

 べろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろ

 うあ〜〜〜、イキナリ顔なめるなぁ〜〜〜!
 うお、でっかい足で押さえられてるから、逃げられん!
 ほごぉぉ、口は、口はダメムオガァ〜〜〜!!
 べろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろべろ
 口の、口の中はチョット、うごおおろおおおおおお!!


 はあ、はあ、はあ、はあ、
 …………… もう、おムコにいけない…………
 《拙者がもらうでござるっ》
 「もらわんでいい……」

 幸せそうに、シロが鼻をくっつけて匂いをかいでいる。
 俺、汗くさいんじゃないか?
 《そんなこと、ないでござる。いいにおいでござる》
 うっとりと目をつぶって、ゆっくり息をする。
 《優しい匂いでござる……》

 かわいい……。
 俺はシロの前髪あたりをゆっくり包むと、そのままたてがみの
 方へ流れるままに、何度か手を滑らしてゆく。
 たてがみから次は、背筋にそって。
 背筋から今度は、しっぽの感触を楽しむ様に。
 シロは俺のシャツを軽く甘噛みしている。
 そしてシロの胸回りのフサフサしている所をなでてやる。
 前足を少し開いて、その感触に任せている。
 柔らかいおなかが、息をするたびに大きく動いてる。
 その動きにあわせて、柔らかい部分を守る様に
 軽くさすってやる。
 シロの身体から、だんだんと力が抜けていく気がする。
 考えてみれば、「犬(もはや犬)形態」の時って
 腹はシロの乳房? ………あわわわわわ。

 ようやく静かに寝息をたてているシロ。
 肉球さわってみる。  ぷにぷに。 ふにふに。
 ……… 面白い感触。
 なんだか、これじゃ俺の方が甘えてるみたいだな。

 おやすみ、 ………………シロ。
 きょうは、おまえ……、 がん ば  った
 も  ……ん  な……       ………。


 :後日談
 その日の午後5時15分頃、夕食の差入れにきた花戸小鳩
 (16)が横島の部屋に入ると、同人の布団に横島本人と
 全裸の少女、犬塚シロ(推定12)が同衾(どうきん)して
 いるところを目撃した。動揺した発見者は、手近にあった業務
 用に横島が貸与されていた携帯電話で、美神除霊事務所へ通報
 した。連絡を受けた所員美神令子所長(20)と氷室キヌ
 (16)が駆けつけ、同現場を現認した。同時刻、起床した
 横島が三人の能面のような笑顔を見て、なおかつそばに眠る
 シロの全裸を認め、彼女達に釈明を試みるも、続いて起床した
 シロの「う〜ん、せんせいはてくにしゃんでござった」との
 発言および同少女が横島の腕を取ったため、釈明を成す事は
 叶わなかった。以降、横島忠夫(17)の消息は現在に至って
 も確認できてはいない。
 なお、犬塚シロの服装が変身時、何処に消えるのか、また、
 今回に限って何故着衣が無かったのか等、不明な点は現在も
 残している。

 報告者   美神美智恵

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