ザ・グレート・展開予測ショー

獣魔吠<ヴォル・ガ・ドゥーガ>=九尾の魔獣と餓えた鬼獣=


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/11/25)

ガウリイが刺し貫いた口だけ魔族は弱々しく蠢き、唐突に沸騰するように膨れ上がる。
「うぉ!?」
ドゴガッ
膨れ上がったその肉のようなものに、ブレストプレートの上から打撃を受けるガウリイ。
「我は真実を語る口。狐は妖魔ぞ。その眼に映すは傾国ぞ。やましきものは姿を偽る」
詠って魔族は低く低く唸り始める。その標的がアメリアと気付いた時、タマモが動いていた。
ゴッガグォン
人型に化け、狐火を込めた掌打で『鳴き声』を撃ち落す。背後で二人が呆気に取られている。
「真実を語る口も一つだけ間違ったわね。この眼に映るは紅蓮の焔よ、あたしが望む限り!」
「やましい妖魔よ……汝は知った。人なるモノとは相容れぬなり、とな」
『口』は言葉を滑らせる。そう何人もが知る筈の無い、幼かった彼女の怨嗟を知っている。
「………アンタにゃ関係無いでしょ?これから消し炭になるアンタなんかにゃ…」
口を動かすのは、激情を外に吐き出すため。自分は冷静なタイプではない。自制しろ。
「それこそが汝の秘されし素顔か……。なれば、ここから先は我には関り無き事」
素顔?剥き出しの心?間違いない。だが、間違ってるかどうかなんてことには何の意味も無い。
「関り無イで済むモのかよ、塵野郎。アァンタは火葬確定だ…………」
自分が『歪んでいる』のが解る。とてもクリアーに自己が壊されてる様子が感じられる。
このモノとは今生に二度と眼をあわすことも無い。コレは滅ぼす。自分がくたばらない限り。
ボンッ、ゴヒュッ、ドジュッ、ガゥッ
周囲で、「心」からダイレクトにエネルギーを送られた空間が弾けて燃えてゆく。
「ィがァアアァァァあァァアア゛ァぁアァァアアぁアァァアアあァぁァアァァア゛!!!」
グァウッ
彼女が叫び、魔族がいた座標を中心に、空間が許容限界を超えたエネルギーを拒絶する。
「ぎょごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
魔族の苦痛にもだえる叫びが、タマモの血を熱くさせる。鎮まりはしない。
「死ね。テメーが生きタ痕跡の一欠けらデも残シやがったらアの世まで追っかけて殺ス」
環境が変わってストレスたまってるとこに気恥ずかしい過去を暴露されたといえ無茶だ。
魔族の言葉で、人から嫌われるのが耐えきれないというのが実際のところであろうか…。
炎に巻かれた人影が飛び出す。口以外は目に見えないだけだったのだろう、魔族。
奇妙なことに、走って逃げる。逆上したタマモはそのまま追う。後に残るは二名。
「………一応、追うか……」
「んと、魔族は悪で……あの娘は…ちょっと……正義っぽく…ない感じが………!?」
「だから、ハッキリさせるためにも追おうぜって。……とりあえず俺は行くからな」
アメリアはその場に一人取り残されていた。

「あ、おばちゃーん!Aランチ三つにBランチ五つと塩カルビ十皿お願ーい!!……って、あぁ!?
ヒトが注文してる間に幾つ食べてんのよ、アンタは!!そっちがそうくるならこっちは…」
ちょちょいとリナが左手のフォークでシロの皿をつつき、隙を見て右のナイフで攻める。
「んぐ!?それは…そのソーセージだけは後生だから返して欲しいでござるぅぅぅ!」
騒がしい食堂。…といっても席について食事してるのはリナとシロの二人きり。
「だぁぁぁぁぁぁ!泣きつかないでよ、鬱陶しい!!」
リナが振り払うと、シロは会心の笑みを浮かべて戻り際に獲物を素手で掴む。
「へへん!油断したでござるな?これは拙者が頂戴したでござる!!」
「てんめぇぇぇ、あたしのはんばぁぐさんをよくも!もう手加減しないわよ!!」
タマモが通った痕跡を追跡するシロと監視役のリナはちょっと遅めの昼食をとっていた。
「ぬぅぅ!?拙者の目を欺くとは小癪な!!しかし、エビフライは見送ってもこれで挽回を!!」
「ぅんああ!?よりにもよってとんかつを狙うとは不敵な!!だったらこっちは…ちぇい!!」
テーブルに並べられた料理が瞬く間になくなっていき、次々新しいメニューが届く。
「ベーコンエッグぅぅぅ!?なんと無慈悲な!ならば拙者も、鬼となる!!」
やはり狼であるところのシロがいると肉類の攻防がメインとなる。
「っっっっきゃああああ!!?若鶏のソテーに手をかけたわね!相応の礼はするわよ!!」
彼女達が本来の目的を思い出すのは、当分先のことのように思われた。

裏路地――駆け抜ける魔族は周囲の生き物という生き物に触り、焼き殺しながら進む。
タマモは後一歩のところで追いつけず、走りながらでは狐火も飛ばせない。
だが、魔族が次の通行人を襲おうとした時に異変が起こった。
「覇王氷結陣<ダイナスト・ブレス>!」
ガギゴキゴキィィン
「ぐぎょおぉぉぉっ!?」
「ほーっほっほっほっほ!どうしたのかしら?まさか魔族ともあろうものが
『無抵抗の人間しか襲えない』などと言いだすんじゃないでしょーね!!」
魔族の身体を氷が蝕み、苦悶の声と女の高笑いがセイルーンシティに響く。
そして、高笑いした女の呪文詠唱が朗々と風に流れる。
「させるものか……!」
「そっちにばっか気をとられてないでね。焼却するわ、アンタ」
猛る魔族、タマモが待ったをかける。そしてしばらく沈黙が落ちる。
ジャッ
先に動いたのは魔族。タマモに向かって一足飛びする。対するタマモは慌てず騒がず狐火。
「脱」
魔族がポツリとそう言うと、火は魔族をすり抜けて路地の奥へと飛び消える。
「な………!?」
ぞぅっ
タマモの驚愕もよそに、彼女の左胸を手刀でぶち抜く魔族。
「精神世界面での干渉を強引に外す。そう連発できる技でもないが、理論上我は不死身だ」
狐火は念だから精神体である魔族にも有効なのだが、その念を精神世界から除外する。
「青魔烈弾波<ブラムブレイザー>!」
光条が走り、魔族に迫る。魔族はそれを楽に避けて告げる。
「汝は二度と術を撃つことは無い……唱え終わる前に殺す」
魔族は呟くと、右手の指がロープのように捻じれ合いながら伸びて真っ直ぐな棒状になる。
ドギャィィン
これ以上ない、甲高い大音響と共に魔族の右手と駆けつけたガウリイの剣が噛み合った。
「むぅ……?」
「海王槍撃破<ダルフ・ストラッシュ>!」
魔族の宣言をこえナーガの術が解き放たれる。鍔競りあったまま動けない魔族とガウリイ。
「はぁっ!」
ズザゥッ
互いに飛び退った瞬間にガウリイの剣が銀光の軌跡を残し、魔族の頭を斜めに断ち割る。
「碑」
一方、魔族の声が地を操りガウリイを飲み込むように動く。
「崩魔陣<フロウ・ブレイク>!」
「どわわわわ!?」
新たに声が現れ、魔力の干渉を中和された土砂が重力に負けてガウリイに降りかかった。
「ちぃ……増えすぎたか…ガウリイ=ガブリエフ、決着は次の機会だ……」
しゅおん゛
魔族はぐるりと見回して舌打ちすると闇に、ものの喩えではなく闇に溶け消える。
「…俺、名乗ったんだっけか?……と、助太刀ありがとう。シルフィール」
敵に名前を教えた覚えは無いような気もしたが、仮にあってもどうせ無いので
多分あるのだろう。………ややこしい男である。
「どこにもお怪我はございませんか?」
シルフィールがそわそわとガウリイに近づきつつ語りかける。
「掘りおこしてもらわないとなんとも………」
「ふっ!あなた達も中々やるようだけど、そっちの娘の傷の方が深…はぅっ」
一生懸命件の重症を見ないように喋っていたナーガだが、人間恐いもの見たさという
衝動を持っている。そして、流血タマモの姿一撃視で卒倒する。意外に神経細いなァ…。
「お二人とも、ウチに運び込むしかなさそうですわね。
そうそう、リナさんやゼルガディスさんもいらっしゃいますよ。それと他にも何人か…」
「え?……ははぁ…アイツ、自分でアメリアんとこで集合って言っときながら忘れてたな」
ガウリイはやおら、ぽんと手を打って有り得ない事を言う。
「その可能性だけは…天地が引っ繰り返りでもしない限り、ありえないと思いますけど…」
…………いや……そーなんだけど…面と向かっては言わんぞ、ふつー。
なにをかくそう、シルフィールのところで話し合うことになったのはゼルが原因。
ここいらの事情は別に複雑なこともなく、ゼルガディスが横島達を捕縛した時に
負傷させたおキヌの治療が必要だと考えた際、当然白魔術に長けた二名の友人の名が
思い当たった。一人は言わずもがなのシルフィール。
残るもう一人はアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。
ここで問題なのが、顔合わせるまでの手間の違い。ほら、難しくも無い。
まして、見知らぬ他人には顔も見せたがらないゼルガディスのこと。
人二人もひきずって王宮行ったら門前払いはよいほうで、最悪ひっとらえられかねない。
合理的に考えれば、妥当な選択は一つしかないわけだ。
なんにしろ、ガウリイはシルフィールとともに彼女の住いに向かった。
タマモとナーガを担いで。

知恵熱出して唸ってたアメリアが侍女達にベッドまで運び込まれたことを追記しておく。

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