ザ・グレート・展開予測ショー

斬妖剣<ブラスト・ソード>=ダブル=


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/11/21)

「獣王牙操弾<ゼラス・ブリッド>!」
リナが、唱えた呪を開放する。生まれ、シロに迫る光球。シロはシロで、容易く光を見切る。
シュオン
「うぉっと!おそい、おそい!そんな飛び道具で拙者は捉えられぬでござる!!」
ビャウッ
「うぁひゃあ!?」
光球はシロの脇を通り過ぎると、鋭くその軌道を曲げる。すんでのところでまた避けるシロ。
ギュオン
「まだ追ってくる?」
ザビビビビビビビビッ
光球を真正面から受け止めた霊波刀が唸りを上げる。威力の程はお互い半端ではない。
「嘘!?獣王(グレータービースト)の力を借り受けた術が防がれた?」
「ぐ・ぐ・ぐ……こ…の…………おどりゃあっ!」
ダガシャアァッ
シロは、抑え込んだ光球を足元に叩きつけて消し去る。さすがに霊波を著しく消耗していた。
「うぉのれ、今の術を破るとは!ならば………結波冷断<ライブリム>!」
なにが「ならば」なのか、詠唱の比較的短い呪文を早口に完成させるリナ。
シュタッ、ビギビギビギッ
冷気を帯びた光条が直撃するより一瞬早く、飛び退くシロ。
「今度はこっちからいくでござる!」
「受けて立つとでもおもってんの?……………浮遊<レビテーション>!」
リナの身体が空に上り、シロの手が届かぬ高さまで到達すると次の呪文を唱え始める。
「そんな…ズルイでござる…!」
「ズルくない!!」
「なんででござる!!?」
「なんでもよ!!!と、いうわけで………冷波吠<ハウル・フリーズ>!」
呪文によって生まれたブリザードが周囲に広がる。シロはその前に退避した。
「攻撃できないのにつきあってられるか!」
至極もっともな意見である。リナも移動速度が遅い浮遊の術は追跡に向かない故解除する。
「浄水結<アクア・クリエイト>」
ばちゃあっ
リナの呪文で、突如虚空から水が生まれる。シロの真上にあったそれは一瞬で彼女にあたる。
「………!?水…?なん……!」
言いかけてシロは気づいた。ブリザードが過ぎ去った後の周囲の気温の低さに。
びぎべりべり、ばぎばきばき
勿論この程度凍らせたぐらいでは彼女を捕らえることはできない。普通に歩ける。
「魔風<デイム・ウィン>」
……るるるるるるるるるるるるるぅぅぅぅぅぅっ
「わだだだだだだだだだ!?」
リナが生み出した強風で無理矢理滑走させられるシロ。
「風波礫圧破<デイミルアーウィン>」
キュボドゥン
風の塊。高圧の空気の波が駄目押しで炸裂する。
「ぐくく……足場が滑って、ふんばれん…」
身を起こしつつ呟くシロ。対するリナも街中で使える術は限られてて戦いづらい。
「氷の槍<アイシクル・ランス>」
パグシャアッ
巨大な氷柱がシロに迫るが、シロはそれを霊波刀で粉砕する。
「ダメか。……烈閃槍<エルメキア・ランス>!」
ボヒュッ
氷が光に変わっても、斬り砕かれるは同じ。しかし、霊波刀の姿が僅かにかすむ。
「う……ぐ?」
シロは軽い眩暈を感じた。精神面世界から対象を攻撃する術を、霊波刀で受け止めたために。
「氷結弾<フリーズ・ブリッド>!」
ピッキィィィン
思いもよらず、(呪文詠唱のタイムラグの為)シロの隙を突くタイミングで術が炸裂する。
脚を完全に固定されたシロ。だが、氷を切り抜けられる霊波刀が、リナにとって厄介なのだ。
「霊氷陣<デモナ・クリスタル>!」
ビシシシシッ
氷で肩まで覆われるシロ。
「しまった……!」
「ふぅ…冷波吠が勝敗を決したみたいね。そんじゃ、色々と訊かせてもらいましょうか。
っても、まずはゼルガディスと合流か……。霊呪法<ヴ=ヴライマ>!」
……ゴググググゴゴ…………
「う…?わわわわわわ!」
シロの足元で何かが脈動し、起き上がる。それは何かも何もごくありふれた普通の土だった。
リナの、土を人形と成して傀儡の如く操る術である。彼女は土人形に命じる。
「ゴーレム!上に乗っかってる氷を落とさないようにして、あたしの後についてきて」
刹那。殺気を感じ、急いで弱い風の呪文を唱えるリナ。虚空を過ぎ去る眩い光が迫った。
「風裂球<エアロ・ボム>!」
ビバチィィィィィン、バギィィィン、バシュッ
シロを捕えた氷が、土人形が、その光に薙ぎ払われて砕け散り、風裂球にも手応えがくる。
「もらった!」
解放されたシロがリナに斬りかかった。
リナの方は土人形の破片の影に飛び込むようにして襲撃者とシロの挟撃から身をかわす。
「黒霧炎<ダーク・ミスト>!」
ブワァッ
シロが肉迫した丁度その時、リナの呪文が完成し、空中に漆黒の蟠りが生まれる。
ダタッ
リナはすぐさま次の呪文を唱えながらダッシュで距離を離す。
しかし、シロは視界を閉ざされても問題なく追撃できる。
「神妙にせい!」
「氷霧針<ダスト・チップ>!」
パシュッ
リナが放った極小の氷の飛礫に一瞬歩を止めるシロ。弱い術だがシロにはそれが解らない。
街中で派手な術は使えない。(さっき冷波吠使っちゃったけど)
それに単純に攻撃力が高い術は詠唱の時間稼ぎも一苦労。今唱えてるものも初歩の術だ。
シロが追いつく。リナは振り向いてショートソードで迎え撃つ。
「爆炎舞<バースト・ロンド>!」
キュボキュボキュボボボヒムッ
炸裂する小さな火球を四方八方に撒き散らす術といえば凄そうだが、威力も小さすぎる。
だが、こけおどしをニ連発しなくてはいけないのは辛いところである。
今度はシロもひっかからず、襲撃者――美神令子にも追いつかれてしまった。

慣れた手つきでせかせか服を着、中庭に飛び出す。いつもの、儀礼用の白い巫女服。
ただ、頭にタマモを乗せてるのがいつもと違う。
「ガウリイさーん?」
「おぅ、アメリア。邪魔してるぜ」
彼女の呼びかけに応えた声は足元からのものだった。認識するのに数秒を要す。
「………なんで倒れてるんです?」
「…ちょっと、色々あってな……」
質問の答えとして適当な言葉を持っていなかったガウリイは、歯切れ悪く言った。
「ふぅん……。そんなことより丁度いいところに!王都に混乱を齎す悪を成敗しましょう」
実をいうと聖王都の街並みは六紡星の印を象っており、常に破呪の効力をもっている。
その白魔術都市で、先刻から攻撃呪文が飛び交って大騒ぎになっているらしい。
犯人は余程見境のない魔力容量(キャパシティ)か、やたら刹那的な思考の持ち主だろう。
「……………丁度いいというよりもだな、暴れてるのはリナって気がするんだが……」
「……そーいえばそーかも…なぁんだ…悪じゃないのか……」
ガウリイが沈痛な面持ちで呟くと、アメリアもつまらなそうに言葉を漏らしていた。
その直後、アメリアの脳裏に再び『何らかの存在の認識』が感じられた。二つほど。
「……アメリア…気づいてたか?誰かが俺たちを見てるみたいだ……」
「実は、街の方にもう一ついるみたい。魔族みたいだし、速攻で片づけないと…」
「やれやれ……疲れる相手じゃなきゃいいんだけど…絶対ねぇな、この感じは」
二人がひとしきり言い終えると、塀の影から声が生まれる。
「ほほぅ?巫女は解るにしても、男ぉキサマに悟られるとはおもわなんだぞ……」
現れたのは、まるで空中にルージュを引いたかのような、唇だけの姿だった。
「………」
「滅びを撒く不浄なる者よ!正義は我らにあります。万に一つも勝機はないと知りなさい!」
ガウリイは言い返す言葉が見つからず黙し、アメリアは朗々と宣言する。
「ハハハ…貴様らが正義なら、ワシは真実を語る者なり。ワシがここで滅びることはない」
「………?言ってる意味がよく解らんが、
魔族にもアメリアと同レベルで張り合う奴なんていたのか…」
「同じぢゃありません!向こうが言ってることはでたらめです!!」
「んじゃ、やっぱり同レベルなんじゃねぇか?」
ガウリイはアメリアが言ってることはでたらめだと思ってたようである。
こうっ
「ぐあっ!?」
空気が震え、いきなりガウリイに見えない何かが叩きつけられる。
「ガウリイさん!」
「貴様らニンゲンには聞き取れなんだか?『第一の犠牲者は剣士』と言ったのだが…」
魔族は面白そうにせせら笑う。その隙に、呪文を唱えながらガウリイに駆け寄るアメリア。
…ぉん
また、魔族が鳴き、アメリアの脚に穴が開く。
「あ……」
「理解できたか?詠唱の速さではニンゲン如きがワシには追いつけまい?」
「だったら……どうだって言うんだ…」
いつの間にか立ち上がったガウリイは剣を持った手をだらんとたらして魔族に語りかけた。
「ふん?まさか、ワシの声より素早くワシの懐に入り込めるつもりか?」
こぉ…
「はあっ!」
ヅギィン
何が起こったのか?どういう理屈でそうなったかはともかく
ガウリイが真っ直ぐに剣を振るった際に何かに当たる音がし、魔族の声が掻き消えた。
「バカな!?」
「崩霊裂<ラ・ティルト>!」
魔族が慄いた瞬間に、アメリアの術が完成し、解き放たれる。青い火柱に飲まれる魔族。
「くゅぅぅぅぅぉぉぉおおおおお!?」
魔族の悲鳴の声量が上がり、火柱がみるみる薄く小さくなってゆく。
きゅぼっ
まさに火柱が消滅する寸前、赤い炎がわきたち、紫色に変色して魔族を飲み込んでいく。
「おぉぉぉ……」
「いい加減、終われッ!!」
ジャビュッ
ガウリイは叫んで剣を唇だけの魔族に突き入れる。今度こそ、その場に静寂が訪れる。
一時の……

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