ザ・グレート・展開予測ショー

大銀河宝樹


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(01/11/20)

『週刊現代』のエロページを読み漁っていた横島は、キヌの異変に気づく。
テレフォンを取っているキヌの姿が何重にも重なって見える。
・・・・ゆがみだ。
そしてキヌは、上を向いて木の枝らしきものを掴んでいる。
いや、掴むというより、触手のようなものに締められているような感じだ。
思い切り体中で震わされているキヌの姿が、時々妙な動きを見せている。
横島は、超エロページに夢中になっていたため、その動作に気が付くまで数秒はかかっていた。

「おキヌちゃん!」

横島は電話口まで走る。
キヌの苦し紛れの息が、横島の脳裏に走り込むまでのタイムラグが、苦しみを増幅させる。
そんなことに気が付かなかった横島には、なんで気が付かなかったのか・・・という思いが
脳裏に差し掛かる。
でも今はどうでもいい。
キヌを、コードレスレシーバーから離さなきゃ。
キヌちゃんがいなくなったら、事務所の掃除・家事は誰がするのか・・・
優しい人がこの世から消えたら、俺はもうおしまいだ。
・・・・・・美神にいつ殺されてもおかしくない・・・・!!

横島のそんな内心が、自分の手に伝わるのに気がつかず、ただひたすら切り離そうとする。
文殊と腕が過剰反応していた結果、同時に力は倍増している。
苦しそうに、キヌは呼吸をしようとするが、出来ない。
息が詰まる。声も詰まる。肥はつまらない。
更に触手が、キヌの腕を締め上げていく。
早く離さなきゃ、次々と触手が体全体を締め上げてしまう。
離せなくなる・・・・・!


「よ、横島・・・・さん・・・・・!」
「喋っちゃだめだ、キヌちゃん!余計に息が詰まるぞ!」

横島はキヌに言い聞かせて、ともかく右手で次なる触手を抑える。
するとまた、受話位置の内部から触手が出てくる。
なんだこいつは!
受話位置から「もしもし・・・もしもし・・・・」と聞こえる。

「協会を・・・・助けて・・・・・・・」

そう聞こえる中、時間は経っていく。
時間のたつたび、キヌの呼吸は横島の耳に届かなくなってくる。
小さくなっている。
こんな俺に助け出せるのか・・・?

「こうなったら・・・」

右側の胸ポケットに向かって、手で触手を捕らえきりながらも念を送る。
「切」「離」・・・と。
とにかくキヌちゃんを放さないととばかりに、右手胸ポケットの中にある文殊に反応させていく。
辛うじて、文殊を発動させる・・・が。
触手が横島の胸ポケットに伸びていく。
もう両手じゃ捕らえきれなくなり、思わずキヌから手を離してしまった。
その間、0.0000000000454475648422213秒。
ポケット内の文殊に手をやった直後には恐るべき自体が待っていた。

・・・・・・
450枚とは発せられている思われる文殊が・・・・・・・・・
文殊が干からびて・・・・・・

時は遅かった。
首をキヌのほうへやる。
触手から手を離してしまった0.0007785955597664秒後、既にぐったりしている。
キヌの生気を・・・・
生気を・・・・・・・全て・・・・・・・・・?
吸われたというのか・・・・・?

横島はそのことに気付くまで、数秒かかった。
記念すべき連載第一話で、キヌを押し倒したこと。
バレンタインのときには、いつもと決まってチョコをくれたこと。
キヌの思いが、横島の中へテレパスするように、とぎれとぎれに流れ込んでくる。

好きになっていた娘。
おキヌちゃん・・・・・・・・
ワンダーフォーゲルに追われての煩悩や種族維持本能的発動よりも、子供の感覚。
百合子とは別の、母親のような柔肌が“好き”
そんな感覚がキヌの姿を一目見て気に入って・・・・・押し倒したんだっけ。

そっと思いを胸にして、スカートの中をのぞき、目も確認すると、両方とも白。
そんな彼女の胸元へ耳をくっつけ、心臓の音を聞く。
・・・・・・・・・・・・・
耳には、何も伝わってこない。
明らかに停止している。
受話器からは、ジジジ・・・・という雑音にまぎれて歪みと亀裂のこすれ合う音が合わさって
重い音を作り出している。
その中から、「GS協会が・・・教われ・・・」と同じことを繰り返す。
だが、そんなことに耳を貸すよりも、キヌの名を叫びたかった。

しかし横島に悲しんでいる暇は与えられなかった。
次なる文殊を吸い取ろうと、「奴」は一部の触手ごと横島の体へずぶりと差し込まれていく。
途端、横島の体も現実の横島と重なり始める。
重い。
重すぎる。
キヌの命を奪った重さがずっしりと伝わるばかりか、国府田風の声で横島の脳裏で話し掛けてくる。

『・・・私と一緒に・・・なりたい・・・・・・』

プレッシャーというよりも、重力的なプレスが横島の体を覆う・・・
というより先に、背後から振り落とされるかの音が聞こえると同時に横島は倒れる。
美神の神通棍だと気付いたときには、横島はすでに気を失いかけた直前だった。

「こぉの馬鹿横島ッッッッ!!!!!!
 何を堂々と、おキヌちゃんを押し倒して・・・して・・・・」

美神は、いつもと違うことに気がつき口をパクパクさせる。
キヌが倒れ果てて、
両目も、何やらきょとんとしたように、気を正しく持とうとおちかけている。
コードレスホンが下に落ちて、「美神令子さん!美神さん!」と電波が狂いっぱなしのような音や、
重力が過剰にプレスされて歪みが発して亀裂とこすれ合う異様な快音にまぎれて聞こえる。

美神がボウと顔を青ざめたままそのコードレスホンを拾い上げると、ブゥゥゥンと電磁波の重たい感じの
音がする中で、「ゴース・・・ト・・・・スイー・・パー・・・・協会・・・・美・・・神さん」と聞こえる。

「ゴーストスイーパー協会いい!??!!?」

美神ははっと我を取り戻して叫んだ途端・・・・
目横にあったテレビがパッとつく。
ブラウン管の中には、キヌの巫女姿が映し出されている・・・?
いや・・・・・・・・・・・・・・?
まさか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!
ブラウン管の中のあの後姿がおキヌちゃんとは断定できない。

途端・・

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

コードレスホンから移り住んだ「奴」が、テレビのブラウン管から触手を伸ばす。
がしい!と美神はいとも簡単に取り押さえられる。
その取り押さえられた右手の掴んだ受話器から、
「あっ、美神・・・令子・・・・・で・・すか・・・・?助け・・てくだ・・・さい・・・なぞの・・・・」
とは聞こえるものの、口を抑えられて応答できない。

美神は、何とか縛り上げられた体全体を振るい、精霊石を反応させて「奴」の触手を断ち切ろうとした刹那、
その精霊石を先に、触手もとの口がガリガリと噛み砕く。
そんなまさかと、美神は焦りを感じ始める。

・・・・・・・今まだに存在しないタイプの敵。
「奴」
「銀河宝樹」

その時、横島はタイミングよく気を取り戻して美神のほうを振り向く。
思わず横島は我を忘れて怒りの気を発する。

「くそおおおおお、キヌには飽き足らず、美神さんまで・・・・!!」

美神はほっとしていた。
だが、横島に対してではなく、自分が助かろうかということでほっとした。
横島の手にした2つの文殊からは「切」「離」と反応していたが、またも「奴」の触手はその文殊めがけて
0.00000000000000000008672349975643328548889761秒の間にくっつき、全650マイトの霊力を飲み込み干からびさせる。

またも美神は青ざめ始める。
どうしようもないのか。
だが、助かる術は何かしらある・・・そう思い美神の手から、「奴」の触手に触れないよう引っ手繰るが再び横島へ
触手は襲い掛かる・・・。隣のICPOへの連絡・・・・
西条は癪に障る野郎だが、今はもうほかの手段などない。
美神の苦し紛れの応酬もさながら、攻撃している霊気自体を吸い込んでいく「奴」
その光景を目前としながら、横島はプライドを捨てきる。
協会からの電話を切ってICPOへ連絡するしかないんだ・・・


      ☆             ☆              ☆


ぷるるるるる
ICPOの受付の電話が鳴る。
ぷるるるるるるるる・・・・・・
こういうときに限って、なかなか出ない。

9回目の発信音を最後に、「留守番電話サービスへ接続します」という声とともに
触手は横島へと襲い掛かる。
西条たちICPO一行は除霊中なのか?!。
ついに除霊事務所、壊滅か!?

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