ザ・グレート・展開予測ショー

誤解おまけ(中編)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/11/18)

急転直下―この言葉が和馬の今の心情を最もよく表していた。
何しろこの上も無く上機嫌だったところから、世界で一番憎たらしい男登場で、これ以上、下がり様が無いと言うほどに機嫌が下がったのだから。
それもこれも目の前の変態のせいである。
和馬はコメカミに青筋をうかべつつ
「忠夫は、きれーなバイト先のねーちゃんと今ごろいちゃつるやろ」
とはき捨てるかのようにに言った。
ちなみにこの瞬間和馬の頭のなかで横島の待遇が決まったのは言うまでも無い。
…まあ幸せの後には不幸がくると言う事で。
「あ、そうか、令子とか。」
とはたと思い当たったように手をぽんと叩く。
そういや今日はバレンタインだもんなあ
せっかくハニーからチョコレート預かってきたのになあ
と心底残念そうに関。
両手で大事そうに木箱をもってしゅんとうなだれている。
と、いうか35歳の男がこーしょんぼりしてるのが似合うと言うものもどうだろうか?
「で、そのチョコくれや。」
とそんなしょんぼりしている関の目の前にずいっと手のひらを差し出し和馬。
「駄目だよ」
そんな和馬の言葉ににっこしと関。
その言葉こそ柔らかであるがどこか抗いがたいものがある。
―と、普通の人間なら思うかもしれない。
だが和馬は普通というには少しばかり無理がある人間であった。
「なんでや」
と和馬。
むっとした表情は目の前の男をどうとも思っていない証拠である。
「だってこれは、ハニーが横島君の為に作ったチョコだし、僕も横島くん以外にあげるつもりはまったくないからなあ」
せっかく横島くんの喜ぶ顔みたさに大阪からきたのにと言う。
「だいじょうーぶ、ゆうこさんのチョコなら世界で一番俺が喜ぶにきまっとる」
と自信まんまんに和馬
だからくれと和馬。
そしてそれに対する関の答えは
「駄目だよ」
というものであった。
関曰くこれは横島あてにゆうこがわざわざ手作りで作ったチョコレートなのだからそやつ以外に渡すわけにはいかないと言う事である。
確かに…
うっと言葉につまる和馬。
そりゃ関がどーしよーが和馬はそのチョコを貰うつもりでいたのだが、でもゆうこが横島の為につくったチョコレートであるということは、それを自分が食べたらゆうこが悲しむかもしれない…
……いや、あの女性にそんな気遣いは無用なのだが。
いかんせん恋する男は相手をすこしばかり美化してみる傾向があるのだ。
「でもなあ、ゆうこさんのチョコ食べれる機会なんぞ無いしなあ。」
ぼそりと和馬。
その声は寂しさがある。
実の所GSなろうと思ったのも彼女の特異な力のためである。
まあ目の前の男に負けたくないというものもある、同じ土俵にたってぶちのめしたい。
そうやって自分の力で振り向かせたいのだが今現在、ゆうこは関とつきあっているのだ。
告白も何度もしてるが受け入れてもらえない。
まあそれにへこたれる気なんぞまったく、一ミリもないし将来的にはこっちに振り向かせるつもりなのだが。
でも、やっぱし寂しいものはあるのだ。
ほんの少しだが。
彼女の触れたものがほしいと思う。
つづく

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