ザ・グレート・展開予測ショー

奴の名はユダ!・・・23


投稿者名:スーパーたーくん
投稿日時:(01/11/17)

セラはそれ以上の席巻を許してくれなかった。
「すまないが隊長がああ言うので、明日には部下のものに送らせよう・・それじゃあ」
おキヌはそう言われて部屋に入れられた。
「どうしよう、私これじゃあ・・・」途方に暮れる。
ベッドに腰掛け外を見る。
「・・・あの子はいるか・・」
「大丈夫だ、私達が見張っているから・・」
「あまり大声を出すな、聞かれたらどうする」
彼女達の声は筒抜けだがおキヌは自分が軟監禁されてると気付いた。
窓の月は地面降り立った霜のよう、おキヌは肩の力を抜く。
「必要なときには悪にでもなれるっ!今はアレが必要なんだから」
自分に言い聞かせる。笛を奏で始める。笛の音は下界にまで届くほどの澄んだ音であった
その音を聞いて一人の男はこう詠む。
「月光よ名さえも知れないこがし色音にかられてよしあかしかな・・・李白」
おキヌは魔物を呼び出す、彼らに殺さないように念を押して行動を開始した。
「敵だぁあ!敵が侵入したぞぉお!衛兵!衛兵!」
すぐに戦闘が始まった、おキヌはこの隙にとセラの寝所の方向に足を運ばせる。
「ヒャクメが十字架は神木にくくりつけてあるって言ってから・・・ここね」
彼女が通された間にやってきた、予想どうりに美しい十字が掛けてある。
「問題はここから・・・無事に脱出できれば・・・」
「残念、それは無理みたいよ」声と共に扉の閉まる音がする。
「しまった!」ギャグでは無い。
「悪い子ね、それを返してくれないかしら?今ならその白い肌を傷つけずにすむし」
綺麗な女性ではあるが少し地雷系の雰囲気があるとおキヌは感じた。
「・・この人危ない人かも・・・・」
セラは足音すらたてず一歩一歩おキヌに寄って来た。
「さあ、お嬢さん?どうしたの、返してくれない?」剣に手が掛かり始めた。
「悪い子はお姉さん好きじゃないわ、早くしなさい。これが最後よ」
束を握った。おキヌは走った、窓をめがけて。
「ダメな子っ!貴方が悪いんですよっ!」セラは跳躍と同時におキヌの首にめがけて一撃を繰り出す。
だが・・・・・・・・・。
「きゃっ」セラは倒れこんだ、剣はどこかへ飛んでいってしまった。
「お前は・・・・」セラは驚愕の表情を浮かべた。
「あれ?私のこと知らないんですか?でも良いですよね。どせ死んじゃうんだし」
刃が袴から出てきた。
「お前は・・・ユダ・・・・」セラは自分の状況の不備に気付いた。
「なんだ、知ってたの。そうよ、私がユダです、以後おひいきを美しき天使さま」
恭しく一礼し微笑んでみせる。
「いつから入れ替わっていた!彼女をどうしたっ!」
セラは素早く立ち上がり戦闘体制に入る、部下も構えた。
「最初からですよ、私は貴方と最初からお会いしましたよ、貴方がすんなりくれないので強行手段にでただけです。本物の彼女はどうでしょう?道にでも迷ったんじゃないですか?」
「貴様、我々を殺すきか」セラは霊力を迸らせる。
「いや、めんどくさいのは嫌いなんだ。今日はこれが欲しかっただけ」
十字架を懐にしまいこむとユダは出口を作った。
ドギャアアア!轟音と共に壁が吹っ飛ぶ。
「これで人間はお終いかな?あなた達は動かない方が良いですよ、長生きしたければ」
「くっ」
「良い子ですね、長生きできそうですよお嬢さん、それじゃあごきげんよう」
ユダは漆黒の空に姿を消した。



「魔鈴さん達がこもって何日目だ?」
横島はトランプを引きながら聞く。
「さあな、今日で二日目くらいじゃねえか・・おっしゃフラッシュ!」
「うおお、違うじゃけん。今日で三日目じゃあ、がっはっはストレートじゃあ」
「何にぃぃい、イカサマかてめえっ!」
「馬鹿じゃないの、このトランプでイカサマは無理よ、あたしもいるしっ。きゃっフォーカード!」
「冥子眠た〜〜〜い、今日はもうお寝んねする〜〜〜」
トランプを置いて部屋に向かった、彼女はファイブカードだった。
「・・・・ほれ横島さん最後じゃぃ」
タイガーはお菓子に手を伸ばす。
「ふっふっふっふ、今日は俺の勝ちじゃあ!見ろっおロイヤルストレートフラッシュだ」
トランプをテーブルに叩きつけて笑う横島。
「嘘オオオオ」
「まじかよ!」
「いやじゃああああ」
横島は配当品をもらっていく。
「悪いね悪いね、お前ら全員脱ぎやがれえ!」
脱ポーカーにはまったせいかここの三日はこればっかである。
「はっはっは、それじゃあ明日はこの状態からだな」
一日二回がこの脱ポーカーの基本的原則である。今日は冥子が一戦目を勝ったので全員が服を着なおすはめになった。
「ちくしょお、寒すぎる」
雪乃丞が文句言いながらタイガーと部屋に入っていく。
「横島さん、こんなことしてて良いんですか!?」
ヒャクメは靴下脱ぎ脱ぎやってくる。
「今は仕方ないさ、こうやって精神的に誤魔化さないと・・・みんな酷く怯えてるから」
横島はモニターに目を向ける。
「連絡が入ったみたいね」
ヒャクメが機械をいじり始める。
「セラからだわ、作戦は成功ですって。これで第一段階は突破のようね」
「いや、シロたちに働いてもらわんとな・・・・・」
横島は後ろを振り返る。
「おキヌちゃんもそう思うだろ?」
「そうですね」おキヌは笑って返す。
作戦は確実に波に乗った。

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