ザ・グレート・展開予測ショー

ルシオラ復活の日々 最終章 プロローグ。


投稿者名:アルフレッド・トンプソン
投稿日時:(01/11/16)

風が強い。
「ショートなのに髪が乱れるわ」
べスパや美神さんはもっと大変でしょうね。
でも・・・。そんな事はどうでも・・いいわ。
「タイム・リミット、か」
東京は新宿駅の雑踏のすぐ傍。
色々な人間模様だ。一人、友達連れ、親子連れ、そして恋人達と思わしき男女達。
杖をついた老人も居れば、幼稚園服を着ている子供もいる。
「私には、もうないのね」
時間、生きとし生ける物に唯一にして絶対の平等。
そして惨いまでの無慈悲。
「いいじゃない。今日は私に付き合ってくれるんだから」
時計はお昼の時報を今か今かと待っている。
だが、
彼女の腕に、ポケットの中に、リュックサックの名かには時計に類する物は無い。
それどころか、
駅構内にぶら下がっている時計、アナログであろうとデジタルであろうと、
目を背けてしまう。
「無駄なのは判ってるわよ、でも」
太陽も時計なのだ。
だからといって、暗い場所には行きたくない。
あと寸暇の時だが、
ルシオラとして太陽の日を浴びる事が出来る。
横島と付き合う事が出来る。
ならば、
最後ぐらいは覚悟を決めたい。
「ヨコシマの、心にキチンと残っていたい」
言葉でも、心でもないどこからか、湧き上がる感情。
待ち合わせ先に、大きな時計が見えた。
「・・いやっ」
目を背けた先には、子供では絶対に手の届かない、地味な自動販売機がある。
「そっ、か」
その自動販売機で購入できる品を買おうと財布の紐を解く。
そして、目に入る無機質な文字。
『=明るい家庭計画=』
微少とも苦笑とも取れかねない笑みが零れる。
「私には、関係ないじゃない」
財布の紐を締めた。
そして、
「おーい、ルシオラー!」
「ヨコシマ、こっちだよー」
私は思わず走っていったわ。

創作とは便利だ。ここで少しだけ時を戻そう。
午前中、
「なぁ、なんとかならないのか?カオスのオッサン」
「・・・もうその事は言うてるじゃろが」
「ほら、なんとかなるだろって、こんなに・・・」
手には4っつばかりの文珠。
「1個で精々1分伸ばせるだけじゃ、彼女を、苦しませるだけじゃ」
息を吐いてから、
「馬鹿者!ワシのような老いぼれの所に来る前に彼女の所へ行かんか!もう時間はないのじゃぞ!」
「でも・・」
「でも、もクソもあるか、いいか、小僧。後悔したくはないじゃようが!」
横島が肩を落しているのは涙を見せたくないからか。
「・・・済まぬ、小僧」
「いや・・判っていた事さ、さぁてと、んじゃ今日は俺達遠出すっから」
「むぅ?何処にじゃ?」
「あいつたっての希望でさ、昔のアジトだって」
「そうか。今頃は紅葉が綺麗じゃろうて」
気まずい雰囲気を変えようと窓を開けると風が凄い。
「小僧」
「あん、なんだよ?」
「今日は・・彼女のわがままを、全部きいてやれよ」
「あぁ」
どの種族よりも永遠に近い事を知る老人からのアドバイスは、
誰に相談してもそういったであろうか。

本編、そしてエピローグへと続く。

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