ザ・グレート・展開予測ショー

奴の名はユダ!・・・22


投稿者名:スーパーたーくん
投稿日時:(01/11/14)

美神が医務室に連れて行かれたのを確認した後、生き残っているGメン隊員全員はコレを見た。
『皇帝の十字架の精製』
紙のトップページにはそう書かれており、二ページ目からは読めない字とその隣の美神の筆跡の日本文がぎっしりと書き込まれていた。
「すっすごいわ、上級ルーン語の方は私はよく分からないけどこの作り方はまさにこの十字架を作った人のみが書き記した物と見て間違いないのね!」
ヒャクメは歓喜を上げその多くの目で紙を見続ける。
「そこには何て書いてんだ?」
それが一番大事である。雪乃丞の質問に全員がヒャクメに視線を戻す。
「どうやら魔法薬学と物理魔法学、魔法構造学のエキスパートが必要な内容だわ、ペトランデスやダイコリハルン、オリハルコンなんて許可が無いと仕入れることも出来ないし」
「私が持ってますけど・・・」
魔鈴は人の後ろの方から手をあげていた。
「それに私、薬学も物理も構造学も全部分かりますよ」
彼女が言うには魔法の学ぶ学問は全部合わせても十数個しかないらしいので彼女は呪詛学以外の全ての学科を受けていたそうだ。
「GS界の○ーマイ○ニーだな」
誰かの突っ込みの後、彼女は自分の家から材料を取ってくると言って外に出た。
「・・・コレが分かんないのよ・・」
ヒャクメは苛立ちながら紙とニラメッコをしていた。
「どの天界広辞苑にも載ってないわ。バーゼブとカミンダースっての、薬草?それとも金属?・・あーーじれったい」
ヒャクメがうなっていると。
「マリア・それ・知ってる」
マリアが紙を見て喋り始めた。
「嘘っ!どこで?っていうかコレ何?」
ヒャクメがマリアにグイグイっと近づく。
「コレは・中世の・錬金術師の・一部の・人間が・遊びで・付けた名前」
「バーゼブ・とは・ドクター・カオスの・一万と三人目の友達です・彼が・カオスの・作った・セリアリン金属を・こう呼んでいました」
マリアが言うには遊びで付けた呼び名なので使うのは本の一部の人間とほんの一部の期間だけなので、天界広辞苑にも載っていなかったそうだ。
「マリアの話が本当だとすれば・・・・」
「カオスがいなくなったのは・・・・・」
カオスは二つの物質を作るために極秘で動いていたのであろうという創造は横島にさえできた。
「美神さんが籠もりだしたのとカオスの失踪の月日が同じだし、マリアが言うにはアレはカオスにしか作れない・・・」
「美神さんもあえて自分自身で上級ルーン語を訳したのは情報漏れを防ぐためだし、作るときになれば専門家はそろっている・・・さすが美神さんだな」
午後には魔鈴がカオスを連れて戻って来た。
「ようやく訳し終わったか、わしの方もさっき作り上げたぞ。セリアリンとコメットを作るなんざぁ四百年ぶりじゃろう、もう二度とこんなもんは作らんと思っていたんじゃが」
「これから精製に入ります。すみませんがカオスさんが作成中は・・・」
「全員で〜〜〜お外の〜〜〜〜警備をしてるわ〜〜〜〜」
「お願いします、それじゃあ」
金属の扉が閉められた。
「・・・雪?」
季節はもう冬か、横島は窓の外の雪を見る。
東京の初雪はとてもとても冷たそうだった。



「・・・・・・・」おキヌは警察署?いや正しくは駆け巡る天使の保安安置場の長椅子に腰掛けていた。向こう側では自分を捕まえた人が怒鳴られていた。
「馬鹿してんじゃないわよ!あの人はユダを倒すために送られてきたってヒャクメから天信で聞いてたでしょ!」
「すみません、すみません」ぺこぺこと頭を下げている。
「横島さんと美神さんみたい」おキヌはふっと思った。
怒っていた女の人がこっちに来たのでおキヌは姿勢を整えた。
「真に申し訳ないことを、アレは深甚な者でして」
「いあえ、良いんですよ、分かってもらえれば」
ワルキューレ?と思わす声だったが顔は全く違っていた、美しいグリーンの目が流し目になっていてクールな雰囲気と魅力が出ている。
「そう言っていただけるとありがたい、あっ!しまった自己紹介がまだでしたね、私は空軍指揮副隊長参尉のジョルレイルです、仲間はジョレイと呼びますのでどうぞそうお呼び下さい」
「あのー、ジョレイさん?私はその・・・」とりあえず十字架の事を持ち出そうとした。
「分かっております。それは隊長がみずから話すと言っておりますのでどうぞこちらへ」
おキヌは奥の扉から外に連れられた。
外にはいくつも建物があったが不思議な形をしていたしすぐに目的の場所についたの思い出せない。
「ここに隊長がいますので、どうぞ中へ」
扉が開けられたのでお礼を言って中に入った、中は美しい庭園とそこの真ん中に大きな木、その下にイスとテーブルがある不思議なセッティングだった。
「ここに腰掛けて・・・隊長!例のユダに関する件の使いの方がいらっしゃいました」
ジョルレイルは木を見上げて声を発した。
「今行きます」
静かな声と共にとても大きな羽がおキヌの前に現れた。
世界の三大美女というのがいたがその彼女たちが百人集まってもかなわないような女がそこにいた。
髪はおキヌが映ってしまうほど綺麗に手入れされた金色。
目は大きくブルーの瞳は一点の曇りどころか文句のつけようも無い。
横島がいなくて良かったと思ったほどであった、彼がいたらすでに裸で飛びついていたであろう。
「そなたがヒャクメの使わしたお方?」声を聞くだけで鳥肌が立ってしまう程の美声。
「はっはい。そのわっ私、おキヌってって言いましゅ・・」声が震えてしまう。
「そう、おキヌちゃんで良いかしら?ここでは気軽に呼ぶためにそうやってしてるの、でも私は隊長としか呼ばれないけどね」少し残念よといった表情でおキヌを見る。
「そのー、隊長さん。十字架を・・・・」率直に言った。
「ええ、そうね・・・・・・・・私ね、考えていたの。それで考えきったわ。あなた達に抱擁の十字架は渡さないって」綺麗な天使はこの世で一番美しい笑顔でその言葉を言い放った。

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