ザ・グレート・展開予測ショー

銀河宝樹


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(01/11/13)


何も無い空。
ルーム。

無から生まれるものなど、存在しない。
しかし、無から作られたものは存在する。
・・・ビッグ・ヴァーン

無から作ることなどできない。
材料があってはじめて、物は作られる。
しかし、「奴」だけはその例外の中の例外。

無から生まれたものが存在する・・・
ループ界の山村貞子のような存在だ。
シゼンハッセイセイメイタイ。
自然発生生命体。
その存在はごく自然なもの。
宇宙の中のモットも自然なもの・・・。
呼吸以外の、動きの役目を与えられていないもの。

植物。
それは、枝分かれする。
分岐する。
形を持つ図解。
大図から、ダイジュへと変化する。
邪な大樹。
邪。
そして、高き邪。
ヨコを取って、タカシマ・・・
タカシマの更なる前世・・・・・・

・・・・・・「奴」
奴は、その概念すら打ち破る。
規律も何も無い。
その生まれ持った宇宙の唯一の発生生命体・・・
いま、その「奴」が空間の出口に気付く。

出口。
念じるだけで生じた出口。
念。
出口から這い出ようとする。
這い出る。
新たな胚が出る。
また分岐する。

「奴」の存在が、隔てる。
隔てる先。
「奴」の出る先。
先に伸びでていくその「触手」と言う「先」
ショクシュ
ダイジュ
二つの言葉が重なる。
ダイジュのユウゴウ
死して、ユウゴウ

ダイジュは死なされた。
ユウゴウした「先」
サキ

裂いて割れる「先」
同様に分身していく・・・
無の中で分身していく


無い
無いものは無い
空っぽと無は違う
空っぽは作られていたもの
無は”はじめから存在しない”という意

宇宙の意思が、ゆがみを起こす
無が、ゆがみに傷をつける
ゆがみは傷により更なる角度を起こす

「奴」は隔世された覚醒体
伸ばしたショクシュは、ダイジュとして這い出る。
その先は・・・


      ☆             ☆              ☆

「そこをどけえっ!」
「ほほほ、宝樹は、燃やさせませんわよ・・・。」

ジャラリ!
精霊石の槍を構え、精霊石のリングを鳴らした空海。
対峙しているのは、由羅綾麻呂【ゆらの あやまろ】

「どかぬと言うのなら、倒すまでだっ!」

きりりと槍を斜めに構えると、一瞬で綾麻呂を貫こうと一閃。
だが、雷のごとく電光石火。
ひらりと横手に槍を避け切るが、はらりと髪が数本きれて落ちる。
完全と決まっていたはずが、閃くがごとく横切った。
横切ると同時に、足をすらりと静かに踏み出す。
そのあまりの静かさに、空海は一瞬の躊躇いを指し締め、精霊石のリングを前にする。
防御に徹しろ!
空海は、体でそう感じ取って、反撃を止めて抵抗を示す。

「邪魔な悪霊払師は、排除しますっ!」

威勢良く綾麻呂の綺麗な声が響き渡っては、空の雲が反応したかのように覆い隠そうと動く。
その動きは、そう速いものではない。
動いたように見えただけで、錯覚を利用して綾麻呂は突撃してくる。
・・・・速い!
電光石火のレベルとはいえない、超高速。
もし距離を入れて観測したなら、マッハ25を越える。
神がかりのようだ。

空海は、そのような蛇や差の威力をまともに食らう。
あまりに重い一撃。
重力を超えたスピードがそうさせるのか、空海は肩を傷める。

「ぐッ・・・・・・!」

肩を抱えた空海は綾麻呂をにらみつけると、強力な念が発せられる。
その念の威力が、綾麻呂の額あたりに命中し、威力にスピードが増して宝樹に体後とぶつかり倒れる。
だが、空海の方が相当疲れきっているようだ。

「ほほほほ、この私を倒せるものかしらぁ・・・・?」

倒れていた綾麻呂は、手足を使わずに不気味に空に上がる。
同時、センスの様なものを広げ、勝ち誇ったように口に当てて高笑いをする。
その声には妖力が乗せられているようで、どうもその綾麻呂に近づけない。

「・・・や、・・・・・やはり・・・・・・・人間ではないな・・・・・・!」
「だったらどうする!負けを認めてワラワに食われるというのかい?」

精霊石のリングを捨てた手で肩を抑えつている空海。
やられた肩は、通常槍を使っているほうの肩で、今や槍を持つことも名探偵コナン・・・もとい
困難。
このままではやられることを察した空海は、最後の手段を使わねばなるまいと判断する。
そのためには・・・精霊石のリングを拾わねばなるまい。
だが、そんな瞬間を綾麻呂が与えるわけも無い。

「ぐはぁ・・・・っ!」

肩が切れ、同時に血しぶきが上がる。
綾麻呂の念が、空間を隔てて、空海の肩の皮膚へ直接命令したかのようだ。

「ラッキョウ頭めっ!弟子に志願したというのは、お主が持ち帰ったこのバンヤンを
 焼き尽くすためだったとはな。」

説明しよう!
 バンヤンとは、空海が漢での修行の末に持ち帰ることを許可された吸血植物。
通常は、近くの樹木や台地の生気を吸って生きるものなのだが・・・
この空海が持ち帰ったものは、運悪くも平城京を立てる際に用いられた風水学で言う
陰(イン)の場所で育ててしまったため、魔性の力を持ち始め・・・人間を食らう化け物
として根付き始めたのである。
 これを跡形も無く燃やして供養することを願ったのが、この悪霊払師・空海。

「だが、もう遅い。汝は、ここで死ぬのだっっ!」

そう綾麻呂は言い放つと、口から蜘蛛糸を吐き出す。
吐き出された糸だけに、意図が仕組まれているかのよう、空海の体を一挙に絡め取る。

「どうだ?もう倒せまい・・・」

これが綾麻呂から発せられる最後の言葉かと思うと、空海は負けじと言葉を漏らす。
もちろん、最後まで負けじという言葉かと思われたが、それは違った。
空海の最後の技が決まろうとするべく、宝樹に向かって精霊石のリングがぶつかっていたためだ。

「なにぃ?!!? どこにそんな力が・・・」
「お前を倒せなくとも、封ずることならば出来るっっっ!!!」

綾麻呂が苦悶と驚愕の表情を見せ、隙が出来たその一瞬を空海は見逃すはずは無かった。
遣られる前にこっちから遣ってやるという意思が、相手に伝わることに成功していた。
あとはサンスクリット語を日本語風にアレンジした呪文を唱えるだけだった!

「あぼきゃべえろ!」

この言葉に、精霊石のリングがオーラに輝き綾麻呂と樹の間で空間を作り上げる。

「・・・、しゃのなかも、だらまにはんどもじんばらはらはりたやおんっっ!!!」

一気に呪文を唱え、綾麻呂と魔性宝樹の両者を空間内に封じ込めていった・・・・!
が、ここで歴史が変わってしまった!
「奴」の介入だ!
「奴」の触手が・・・魔性宝樹を捕らえていた!
無論、魔性宝樹はその「奴」から樹を吸い取ろうと機能が動き始める。
だが、「奴」には未だ気は存在していない。
「無」から生まれたが故、「無」の気を持ち、逆にその「無」が宝樹の気を能力ごと吸い始めた。

0.0000000000000000000000001秒の僅か、能力をすべて吸い終わる。
と、空海の気と綾麻呂の能力も吸い上げる。信じられない速さである。
その後僅か0.0000000000024秒、精霊石の槍とリングを見つけると、凡て食らう。
用意されていた狐火と、その薪も凡て食らってしまった。

途端、究極の生物として生まれ変わる。
31の触手を持ち、17の竜の頭、23の豪腕に、29本の尾をもつ宝樹。
銀河宝樹。
「奴」はそのよう・・・名を変えた。

      ☆             ☆              ☆

現代――――

『週刊現代』のエロページを読み漁る横島。
札束の数を数える美神。
キヌはというと・・・物静かに眠っている。
除霊直後の、部屋の後片付けと洗濯、風呂掃除・・・と火事の手伝いをこなしていたためだろう。

途端に電話が入ると、音にびっくりしてひっくり返り起きるおキヌ。
その起き上がる隙間からちらりと見えるパンティーが眩しい。
慌てて電話口に出ると、妙な違和感を感じる。
何か、電話がゆがんで2重に見えるような感じに囚われたのだが、それに構わず
まずは電話に出んわ〜〜とばかりに「ジュワッキ!」と受話器を持ち上げる。
特撮テレビを見すぎた影響だからだろうと、キヌは自分に言い聞かせる。
だが、耳が先に受話器を通して聞き取ろうとしているので、耳に自分を任せる。

「はい、美神除霊事務所です。」

にこやかな声でキヌは相手の声に反応するが、不思議なことに気が付く。
受話器の向こうがザワザワとしていたので、嫌がらせかと思っていたが、そのざわめき方が異常だった。
ガラスの割れる音もすれば、けたたましく風がなっているようなもので、さらに圧迫感が伝わる。
こちらまで締め付けられているかのようで、思わずキヌの息も荒くなっていく。

「あの・・・・はぁ、はぁ、美・・・美神除霊事務所です・・・・けど・・・・・・」
『こち・・ら・・・・・ゴース・・ト・・・スイ・・・・ーパー協・・会・・・・美神さん・・・に・・・・・・』

受話器からそう聞こえた瞬間、恐るべきことが起こる。
受話器を隔てて触手が現れ、キヌの首に巻きついていく!

「おキヌちゃん!!!」

その事態に気がついた横島の声がしたのは、おキヌの喉が締められて呼吸困難に陥った時だった。
横島、キヌが呼吸困難で死ぬ前に助け出せるか!

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