ザ・グレート・展開予測ショー

午後10時47分


投稿者名:みみかき
投稿日時:(01/11/11)

  ↓今回は箸休めという事で……



  おキヌちゃんは、火の元点検。
  シロは、消灯確認。
  タマモは、2階の戸締まり。
  そして美神は、1階の戸締まりと結界確認。

 そそくさと美神が2階へ上がってくると
 廊下でおキヌが、枕を抱えて待っていた。

 「美神さん、えへへ、今日いいですよね」
 照れ隠しにちょっと吹き出してみせる。
 「はいはい、お姫様」

 少し最近冷えるので、美神はストライプの入った
 グレーのパジャマ。
 おキヌちゃんは薄いピンクの、無地のパジャマ。

 近ごろ2人は、すっかり一緒に眠る回数がふえた。
 夏ならともかく、冬はやっぱりここちよい。
 うれしそうにおキヌが、美神の後ろを
 トコトコ着いてゆく。

 ダブルのベットの、左側に美神が入る。
 右側におキヌ。
 いつも5分か10分、時には30分くらい
 たわいない話をかわして、眠りに入る。

 くっついてもなければ、離れてもいない。
 お互いの肩の微妙な距離が、いつの間にか決まっていた。

 おキヌは軽く目を閉じたまま
 つぶやく様に問いかける。

 「美神さん…」

 「うん?」

 「……横島さんのコト、好きですか?」

 美神が薄く目を開き、少しおキヌの方へ首を傾ける。
 それに合わせたかの様に、おキヌが体を右に向ける。
 薄闇ごしに、優しい、ちょっぴりイジワルな
 瞳がみつめている。

 「さあね、………どうだろね。
  おキヌちゃんは、好きなんでしょ?」

 「そうですね……、ないしょにします」

 「?」
 意外な回答。

 「美神さんがおしえてくれないから、私もないしょです」

 互いの微笑みが瞳に写る。
 どちらとも無く、上を向いてまぶたを閉じる。
 今日のおしゃべりは、短めらしい。

 入浴後の高めの体温と
 伝わる互いのぬくもりと
 かすかな香り。
 2人をねむりの海に、沈めてゆく。

 ………………………………………

 ………………………………………………………………


 ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

 バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ

 まぶたを開けて天井を見つめる。
 音源がチョロチョロ移動しているのがわかる。
 すっかりまどろみから、覚めてしまった。

 「……だいたい、拙者の………が……いつも……でござる!」

 「アンタが………結局その……で…みたいに……じゃない!」

 おキヌが恐る恐る、美神の方を見やる。
 うっすら笑う美神の目は、三白眼のギャクモードだ。
 左の眉が微妙な角度で、つり上がっている。
 血管マークが3つは出ている。

 むーん、むーん、むーん、むーん

 あああああああ、効果音まで聞こえてきた。

 「あンの、夜行性どもがぁ、いつになったら
  人間社会に適合すんのかしらぁぁ〜?」

 ムクリと起き上がると、近頃ご愛用の
 [制裁専用ほうき]をつかむと、天井裏へ上がりだす。
 背中を向けたまま、おキヌに優しく言葉をかける。

 「おキヌちゃんは眠ってていいわよ」

 「あっ、いえ、私も行きます」

 1人で寝てる気まずさよりも、2分後の上の2匹の
 安否の方が気になった。

 再び悪魔グラヴィトンの呪いにかかったかの様な
 足音を刻みながら、美神が階段を上がってゆく。


 時刻は、まもなく午後11時。



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