ザ・グレート・展開予測ショー

未来掲示・別編(ラプラスの語り23)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/11/10)

そこは一筋の陽光も蛍光灯もない薄ぐらい部屋である。ある特殊な牢屋だ。
貴方はどうしてもこの鬱蒼とした部屋の奥へ行かねばならなかった。
=何?お前が気になる事だと?=
悪魔ラプラス、確実に未来を映し出す能力を持つ。

待ちなって、未来ってのは無限の可能性がある。その数と同等の俺がいる訳だがな。
それでも聞きたいのなら、俺の知っている歴史を語ろうじゃないか。そう忠告を一つ。
お前さん、良い子かい?

妙神山は言うまでもなく神宿るホーリープレイスだ。
だから「魔」に狙われる。前はアシュ様とか言ったな。今度は更に強い奴だ。
「くっ、右の!援軍を呼んできてくれぇ」
「判った左の」
だからどうして人間に頼る?鬼とドラゴンが。
おっと、その人間も元を正せば悪魔とそいつを契約した悪魔だったかな。
だが人だろう。美神令子とその下僕は・・。ちょいと自信はないがね。
そんな馬鹿な話しをしていたら、大爆発があってね。
「ぎゃー死ぬぅぅぅう」
この時ばかりは弱音でなくて走馬灯まで過った横島だったが、
「ポチ」
その可愛い声だけが、耳に残ったそうだぜ。

「ポチ、ポチ!!起きてでちゅ?」
「あん・・?」
恐る恐る目を開けるとね。何処だか判らない森の大木によっかかっていた。
そして目の前には、
「よかったでちゅ」
「パピリオじゃないか・・一体どうなっちゃたんだ?」
外見は赤ちゃんだが、強い精神力と狡猾な老人に勝る知識を持っているパピリオ、がだ。
「・・・うぅわーーん」
「どうしたんだ、泣くなよ、泣くなよ!」
「でも、だって・・ここが何処だか判らないでちゅ」
そうなんだ。空気があって、森が有る。だがそれしかねぇ。
普段ならパニ来るよこっちだが、今回は目の前に女の子が居るんだ。
「そうか。でも俺とお前ならナントカしてここから抜け出せるだろ?」
「でも違うでちゅよ。わたち、力を振り絞って世界を一周したんでちゅけど」
結局、この大木に戻ってきちまうらしい。
「まさか・・妙神山の」
まぁ、な。御存知だと思うが妙神山には無限に広がる結界を貼る技術がある。
「わたちも、そう思でちゅ。きっとさっきの爆発で無限空間に」
おやおや、おめめうるうるだね。パピちゃんよ。
「泣くなって。大丈夫。美神さんがいるから」
よちよちと、頭をなでると嬉しそうにしていやがる。だがね。心では
「あの爆発でいきてるでちょうか。小竜姫様も」
・・・。結果は合えて言わないでおこうか。

こうして寝ていても、腹が減るだけだけだし、風も凌げねぇ。
「うーん。そうだな。先ずはテントからだな」
そう言って枯れ木と枯葉で器用にも住居区をつくりやがった。
更に簡易トイレまで作ってね。
「ポチ・・すごいでちゅ!!特にトイレはれでーにとってありがたいでちゅ」
れでぇーねぇ。まぁどうして横島がこんな器用かと言うと、
「はは。オヤジから教わったんだ」
良い親父だな。おい。
水も有れば、火は文珠を使えばいい。幸い魚がいた。
「これ、なんちゅー魚か知ってるか?」
「いんにゃ、知らないでチュ」
俺もその魚の名前は知らん。
そして就寝時間だ。布団はパピリオがお花を編んで作ったメルヘンな作品だ。
「んじゃ。おやすみ」
しん、と静まり返ったテントだったが、
「ねぇ。ポチ」
「ん?どうしたんだい?」
「その・・でちゅねぇ」
ふむ。イヤにモジモジしているなぁ。
「へいへい。わかりましたよ。夜がこわいんでちゅねー」
「そんなんじゃないでちゅ!!」
怒っても説得力皆無かな。トイレに付き合って、じゃね。

二人だけの生活意外と長かった。
「今日も誰もこなかったでちゅね、ポチ」
「そうだねー、ふぅ」
それでもだな。二人がこざっぱりしているのは、ちゃんと洗っているからだ。
洗剤をつけなくても、案外綺麗になるんだねぇ。洋服ってのは。
だが、今日は違った。今まで雨だった。
そしてね。
「ねーでちゅ。わたち、ちょっと寒いでちゅ」
「おん?どれどれ」
おでこに手をあててみるとね。熱があったんだ。
「お前風邪だよ」
薬もねェ、医者もいねぇ、こんなトコでの治療は手当てしかないな。
つきっきりで看病。抱いてやる事だな。
「ねぇ・・ポチ、言いたい事があるでちゅ」
「どうしたんだよ。黙っていな。トイレ以外はね」
「もぉー、でれかしーの無い奴」
ひでぇ言い分。
「そうは言っても、だな苦しそうだぜ」
「・・パピリオは、若しかしたら・・・・・」
・・か。
「駄目だ。俺を残さないでくれ!」
熱の体で、だ。嬉しそうに判った。
「わたちは・・ルシねぇちゃんがうらやましかったでちゅ。だってポチは・・相思相愛」
「・・やめてくれよ」
まぁな。
「でも。本当はわたちだって」
おめめうるうる。病気以外の熱を発して、
「お気に入りだったんでちゅよ」
ものすごい咳だ。
「おい、わかったよ、だから安静にしてよぉ」
泣きそうな横島を見て、これまた嬉しそうにしている。
「ありがとでちゅ。こんな状況でたよりにちてくれて」
血か?
「駄目ぁっ!」
その時、まさしく横島が発したのは奇跡なまでに高められた霊力でね。
「あり?」
鼻声が直ったと同時にだ。急に横島は重たさを感じる。
「・・・おい、パピリオ。ってお前」
「どうしたんだろ?私」
そうだ。どうみても横島と同年代か、やや上の年恰好をしているパピリオだ。
「すげぇ」
それしかいえねぇわい。しかも、だ。腕に抱いた状態で、しかも着ている物は?
言うまでもなかろう?
「うぅ。パピリオちゃんよりも胸が」
「胸なんてかんけーないさ!」
「ちょ、ちょっと」
我慢していた煩悩が爆発か。そして大人になったパピリオも大人しくしたがったね。
これは勿論、横島が発した霊力の賜物だが、
俺の目に見えるのは、二つの月さ。
地球以外の星に誕生した種族の起源、アダムとイブ、か。
それは、お子様を大人にする事と、もう一つ犠牲が、ね。

-くくくく、忠告したはずだぞ。お前さん、良い子かい?とね-
気が付くと、貴方はどうした事だろう。天井が高く見える。
そればかりか、檻の感覚も広くなったか。
あわてて貴方は自分の手を見る。確実に小さくなっている。
どういう事かと問い詰める貴方への、ラプラスの一言は、
=なーに、お前、餓鬼になること、だと=

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