ザ・グレート・展開予測ショー

奴の名はユダ!・・・19


投稿者名:スーパーたーくん
投稿日時:(01/11/ 8)

ガタガタガタガタ!病院内にタンカの歯車の独特の音が鳴り響く。
「どけえっ!この患者は重症なんだぞっ!!」ブラックの声が響く。
おキヌは横島の隣を一緒に付き添いながら走っていた。
彼女は病院内を見渡す。廊下にまであふれ出た患者の数々、包帯まみれの人、車椅子を使う人、他にも様々な人がここに収容されていると思う。
「患者の血圧は五十!脈はもうほとんど無い!緊急にヒーリングを行ったが細胞の崩壊のほうが早すぎる、それから・・・」
おキヌには医学の専門用語は良く分からない、だが横島が危険なのは一目瞭然であった。
「・・・・く・・キヌ・く・!・おキヌ君!聞いてるか!?」おキヌはビックと声のほうを向く。
「はっはい」返事は意外としっかりでた。
ブラックはかなり心配そうにおキヌを見る、医師としてはこっちの方が心配なのだろう。
「良いかね?我々は心霊手術というのをこれから彼に施す。これはヒーリングと手術を合わせて行う画期的な方法だが・・本来は君に言うようなことでは無いんだが・・」
ブラックの声が曇る。
「何ですか?私に出来る事なら何でも・・!」
迷いは無かった。
「そうかい・・実は人手が足りないんだ・・・手伝ってもらえるか・・?」
ブラックは苦しそうに言う、彼にも苦しい経験はあったのであろう。
「もちろんです」
おキヌはブラックと共にオペ室に入っていった。


「どうするんですか・・・」ヒャクメの声は抑制無くGメン本部に響く。
「美神の大将は?」雪乃丞はまだ包帯を体中につけながら対談の席で話す。
「美神は作戦考えるって・・・」タマモは奥の部屋を指す。
「完全に止まったんじゃ・・」カオスはマリアの調整をしながら話す。
「もはや人間であるワシらに勝ち目は無い・・神ですら恐れ魔族ですら倦厭するような奴じゃ、サイは投げられた時には結果が決まっておるんじゃ・・・今回はそれが奴の勝ちを示しただけじゃ」
不老不死であろうと体の部位が無ければ生きることは出来ない、カオスも体の四分の三が破壊されれば死ぬと以前彼らに説明していた。
「だけど、まだあきらめるのは・・」神無は早いと言おうとしたのかそこまで言って言葉を濁す。
「若いうちは可能性を信じれるじゃろう・・じゃがワシはそれをする事も出来なくなったようじゃ・・」カオスはそれだけ言って部屋を出る。
「カオスはああ言っているが、そっちの方はどうなんだよ」
雪乃丞はジークとワルキューレに意見を求める。
「確かに今のままではみな死ぬだろう、奴は自分の王国を作るとかこの世をやり直すとかに興味が無い・・この世を破壊し尽くすのが奴の望みだ、だがな・・・」
ワルキューレの一言に全員が席を立つ。
「方法がまだ、あるのか!?」
「まあ、落ち着け座るんだ」
ワルキューレはみなを落ち着かせ席に着かす、いたって冷静だ。
「良いか、あくまで可能性としての物だがこれ以外には何も考えつけん」
全員は彼女の言葉に耳をただ清ませる。
「ユダを誘き出すため血の十字架を使ったな、アレを使う」
血の十字架は確かに使った、今は確か美神が所持していたはずだ。
「おいおい、まさか悪魔と契約結んであいつを倒す力でも貰うってのじゃないよな」
雪乃丞はワルキューレにはき掛ける。
「いや、それではあまり事態の改善にはならんだろう、そうして奴を倒しても奴が自分の意思をそいつにプリンティングをするかもしれんからな」
「それじゃあどうするでござるか」
ワルキューレは立ち上がり喋った。
「三っつの十字架を使う!最強の神・・いや最強の者ギャダランを召喚する!!」
ワルキューレはその目を輝かせ叫んだ。


あれからどれだけたったか、手術はとうに十時間を過ぎていた、副オペ師はもう三回は交代したであろうか、ブラックと彼の助手と彼の友、そしておキヌだけがフルに横島の体を治していた。
「そこをつないでいく、ペンバー!」体の大きな穴は完璧といって良いほど閉じられていた。
「すいません、汗を・・」おキヌはすでに精神的にかなりきていた。
彼女は横島の手の修復を担当する事になった、腕も破損がひどいのでブラックは肉を全て除去し骨の破片を丹念にヒーリングで修復していく方法を伝えた。
骨は腕の肘の多少上まで砕けていた。
おキヌにとってオペはまるで悪魔の儀式であるようだと感じた。
腕の筋肉を綺麗に除去し骨の破片を抜き取り一つ一つ丁寧にヒーリングで組成させていく筋肉は骨が全て再生したのち上から同じ作業を続けていった。
「・・・・えほえほ」
吐き気がする、体を生理的悪寒が走り虫唾がほとばしる。スプラッタが好きな作者が信じれないと彼の友人のTは語った。
「おキヌ君、休みたまえ。君は私やブラックと違って素人なんだ」
「いやです、医術的にはそうかもしれませんが、少なくてもこの中で横島さんを一番知ってるのは私です・・ううん、きっと他のだれよりも・・」
彼女はたとえどんな窮地に追い込まれてもオペを抜ける事は無かった、そして・・・・
バシューー。オペ室の明りが消える。十五時間も掛かった大手術だった(もちろんブラックとその仲間が行ったからこれだけですんだのだ)
「っううーーーー」ブラックはイスに飛び込む。
「先生・・・」おキヌはブラックに近づく。
「君は彼のそばにでもいなさい・・私と喋ってもつまらないからな・・・」
「あっありがとうございます!」おキヌは走って病室に行く、どうやらそれが聞きたかったらしい。
「ただし絶対安静だから・・って聞いてないか・・」彼は口元を緩ませイスから立ち去った。


「良かったですね」おキヌは横島に話し掛ける。もちろん応答は無い。
「最近張り切りすぎです、も少し休んでも・・・」そんな事は言えない。
すでに多くの友が死んでいった、ここで終わらすわけにはいかない。
「ごめんなさいね、横島さん。私行くよ。」
すっと立ち上がる、おキヌは心に決めていた。
「私はユダを倒す・・・たとえこの命が・・・・」
ピピピピピピッ!携帯が鳴る、おキヌは急いで出た。ヒャクメだった。

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