ザ・グレート・展開予測ショー

初代ゴーストスイーパー横島大樹・極楽超作戦 〜開け、チューリップ!(後編・完結)〜


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(01/11/ 8)

美神が走り寄ってくるところを、大樹はその姿を手で覆い隠す。
見る必要はない。
残り最後のビブロスは、俺が片す!
そう考えに至るまでわずか数秒、ビブロスの超妖波を僅かばかり受ける。
しかし、その威力をいとも簡単に消し去る。
いや、消し去ったのではなく、殴りつけて威力を弱めエネルギーを透け通るだけだった。

その瞬間、思わずふらりと大樹は足をよろけさせる。
4匹のB級大妖怪をたった一人で退けることなど、成し遂げられた人物など過去にはいない。
それはこの場にいる横島大樹、ただ一人だけだ。

これが最終回であることを大樹は気付くと、強がって立ち上がる。
しかしそれでも、ビブロスはオカマなだけにお構いなしに波動を放ってくる。
大樹の手が二たび、ビブロスのほほを殴りつける。
しかし、流石は超A級妖怪だけあり、結果、大樹は妖波の前に屈する。

体が言うことを聞かなくなってきている。
気が付くと、体が鰓呼吸しているかのように、肩で息をしている。
そして、美神が傍らに押さえつけようとしているのにも気がつかなかった。

「もういい!私がやるわ!」

美神は、大樹に囁くがように耳元へ呼びかける。
それに対して、美神の耳元が熱い。

「・・・頼むから、俺にやらせろ!」

むくりと、美神に抱えられた自分のボディーを立てる。
それでも、美神は無理にでも押さえつける。

「やめて!もういいってのに・・・」
「いいや・・・、お、・・・お前には忠夫を頼む。・・・この後のことを。」

この後に起ころうことを、大樹は気が付いている。
世界の破滅がやってくる。

『2016年三十七の月
 真なる恐怖の大王が舞い降りる
 悪と神、人間の定義を捨て去りて
 火焔の獄に倒置は起こる』
 
聖書級壊滅(ハルマゲドン)など目ではない。
世界中の時間が止まる。
・・・・アシュタロスを捨て駒に扱う、その父親的存在が動き出す。
ハヌマンからの直接の命を受けた横島の父は、一応は息子であった忠夫の文殊に全てをかけるつもりだった。
自分の命をなげうっても。

そのためには、今ここでビブロスを倒しておくこと。
それが、この俺にできる最後の使命。
百合子は、霊にある程度なれてるからいいけど・・・
その瞬間、ビブロスの強力な魔力が大樹を突き放す。

「ぐわあっ!」

その上に、倒れた大樹の体に何かが乗りかかる。
いや、ビブロス自身が妖重力をかけて載ってくる。
・・・重過ぎて、あと3分持てばいいところだ。

『・・・大樹、4匹を倒したとこまではいいけど、言うほどのことはねーなぁ。
 ほーーっほっ、ほっほっほ、我らが最強妖怪様の敵ではないようねえ。』
「・・・な、なんだとお!」

ビブロスの言葉の中にある最強妖怪・・・
それが、世界中の時間を完全に止めるものなのか?
辛うじて息をする大樹には、さっきの一言を言うだけで精一杯だった。

「大樹さん、しっかりしてっ!」

いつになくヒステリックに、ドラマチックに涙を流して美神は叫ぶ。
しかし、これほど強いものに勝たなくてはならない・・・!
今は、こいつを倒さねばならない。
なんとしてもだ。

そう考え、最後の力を振り絞ると、ビブロスが乗っかったまま起き上がる。

『なにいい?霊能力を持たないやつが・・・どうして・・・!』

ビブロスは、驚きをあげる。
妖力の隙を見つけ、精神力だけでビブロスを持ち上げるなど不可能に近いはず。
なのに、現にこの大樹はその動作をこなしている。

「・・・に、・・・人間ってのはなぁーー!」

そう大樹は言いながら、両手でガッチリとビブロスの両足をつかむと、ブンと振り回す!
目を回させるつもりなのだ。

『・・・無駄よ!この超A級妖怪にかとうなど・・・!』

だが、大樹の耳には届いていない。
自らを旋回しながら、こいつを倒す術を考えている。
そんな方法など、本以外の媒体では皆無のはずだ。
でも、それでもいい。
倒せなくとも、彼方へと飛ばしてしまえ!

そう結論づくと、ラストにとどめの言葉を言おうとし、回転力を上げていく。
ジュオン、ジュオン、ジュオン・・・・・・・・・!
大樹の回転力が、コンパスの要領でスピンと化して、地へ穴をあけていく。
益々、その回転スピードを上げて地へ潜りつつ更に穴をあけていき、地球の裏側を目指す。
その異様なスピードが、地殻を破る。
さらにマントルを破り、地球核をすり抜けてまたマントルに入り、地殻にでる。
地球の裏側の地を目指していく。
もはや人間レベルではない。
そして、日本の新宿の裏側が・・・ちょうどナルニアに達していたのは偶然であり、百合子がいる。

「あなたっ!」

百合子は驚くが、やるべきことを察する。
両手でがっしりとつかんだビブロスを、その回転力をつけたまま投げ捨てろと感じ取っていた。
その旨を把握し、百合子はビブロスを捕らえると、えやああ!とばかりに
背負い投げを決め、大樹が回転力で気絶させたビブロスの体を粉々に砕けちらせた。
・・・百合子&大樹という究極のパワーが、ビブロスをやっつけたのだ!

だが、
「あなた、あなたぁ!」
と叫ぶ百合子の顔がある。
精神力をすべて使い果たした大樹の抜け殻が・・・空しく、百合子の顔を見たまま目を開けて倒れていた。
最初で最後の、百合子に対する愛情。
病院に運びこまれる前に、大樹の肉体はボロボロに風化して魂は完全に抜けていた。

「大樹さぁぁーーーーん!」

と、空いた穴から美神の声が届くが、もはや届かない。
大樹が故人と化したことが、GS協会ナルニア支部を初めとして、日本に伝わる。
GS伝説は始まるのだ!

だが、それと同時に真の恐怖が始まる。
最強妖怪が、1000年以上の彼方で黄泉帰り、全ての時間を止めるべく現世へ現れようとしている・・・!
ハヌマン級の力を持ちえた大樹を失った今、横島たちに勝機はあるのか?
次回から、はたまた新章である!!

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