ザ・グレート・展開予測ショー

未来掲示別編(ラプラスの語り22)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/11/ 8)

そこは一筋の陽光も蛍光灯もない薄ぐらい部屋である。ある特殊な牢屋だ。
貴方はどうしてもこの鬱蒼とした部屋の奥へ行かねばならなかった。
=よぉ。名嘉真さん。どうだい、ここは?=
悪魔ラプラス、確実に未来を映し出す能力を持つ。

待ちなって、未来ってのは無限の可能性がある。その数と同等の俺がいる訳だがな。
それでも聞きたいのなら、俺の知っている歴史を語ろうじゃないか。そう忠告を一つ。
ここは、牢獄だ。それでもいいなら語ってやるぜ。

横島って奴は、まぁ悪い奴じゃないがね。ある種の人間には用マークってな訳でな。
その一つが学校とやらに従事する連中だ。
「本日の議題ですが、二年生の横島忠夫君についてです」
「あぁ、あの美神GS事務所のアルバイトをしているという?」
「そうです。我が校、副業を認めておりますが・・」
「確かに。本業が疎かですなぁ。この成績は」
「決して能力が劣ってるとはおもいませんがねぇ」
先生というのは、かばうのが本分なのかねぇ。
「いいえ、そうは思いません」
おっと、俺と同じ意見を吐いた女がいるぜ。何々?美術の教師だと?
『美』なんぞ、俺にゃとんと興味はないがね。
「この絵をご覧下さい!!」
そして、横島って奴が書いた絵を見せてから、文句が続いてねェ。それは面白い。
何もなってないそうだ。何が何だか。

まぁ、結局補習期間を厳重に設けようって結果だ。そいつを美神という女に手紙で渡したってんだから、面白い。
「・・・あんたこの成績なんなの?」
と、いう訳で決定した。ついでにいえば、保健体育とかいう教家意外は3以下だ、と。
まことにもって下らん数値化だな。
「えーん。おうち帰して―」
「泣いても駄目だ。次は科学だからな・・」
・・。そんなに需要か、おべんきょうなんてモンは。
最後の1時間だってぇから、横島も頑張っただろうがね。
「やったー、終わったぜ!!」
「ちょい御待ち!」
「げっ、暮井せんせー」
ほぉ。ドリアンの絵の具で遊んでいた女じゃないか。
「ようやく、私の番ね、ちょといらっしゃい」
「はい・・うう」
泣くな横島、明日はあるさ・・・けど、似たようなプログラムか。

「先ずあんたが提出したこの絵、何?」
「何って・・ウサギのつもりですけど?」
「これがウサギですって!まるで象じゃない。それに・・・」
色使いだのなんだのて、うるせぇ事!大体あんただって、美展のボツ常連じゃないか。
「さぁ、やりなおしです。何か書きたい物でもあるの?」
流石にふってくされたのかな。
「ヌード!」
普通の奴なら、顔を赤くするなり、怒るなりだがよ、美術志望の人間てのは変ってる。
「あんた、本気で書きたいの?それなら、いいけど?」
「あぁ、そうっすよ・・って??」
あーあ、やっぱりねぇ。まっ、それだけ体に自信があるんだろ?
「さぁ、はやく書きなさいよ」
ママ意外の女性の裸体をナマで観たのもはじめてだろうなぁ、横島。
役得だぜ。だが、鑑賞だけだ。
「さわるんじゃないよ」
「はっ、はい」
大人しいじゃないか。横島。
何時、書き終えたかわからない横島だが、取りあえず筆が終わった。
「はい、出来たっすよ先生」
「早いわねェ。どれどれ」
なんか着ろよ。暮井センセ。だが次の言葉は意外過ぎた。
「・・・・あんた、ウチに来なさい」
「はい?」
おんや、生徒と先生のイ・ケ・ナ・イ関係、ってか?

話しを総合すると、横島の書いたラフ・スケッチ、それは見事な芸術だったらしい。
だからだろうな。美の奴隷という暮井センセは興味を持ったのさ。
蛍光灯も寒々しい、夜の路地に二人がいたぜ。
「ねぇ、横島君?絵とか興味はあるの?」
「いいえぇ。正直無いっすけど。稀に仕事で美術館とか行きますし」
「なるほど、少なくとも普通の人よか、『美』に触れてるのね」
そうかねぇ。・・・、悪魔象グラビトンとか、か?
「でも、横島くんのラフスケッチ、まだ荒いけど、いいセン行ってたわ」
なんでもナントカ太郎の若い頃に似ていた、とか、どうとか。誰だいそりゃ。
「でもね。美にはオリジナリティーが必須なの。それに知識も」
「はぁ」
興味の無い奴の返事だな。最も俺が横島と同じ立場ならそう言うか。
「だから、ちょっとだけ、教えてあげるから、ね。今度の美展に・・」
「えー、まじですかぁ?」
「本気よ、そうね。若し受かったら」
私をあげる、だぁ?それは自殺行為だぞ。煩悩少年には。

補習期間の間、横島はおうちに帰らないで直結直帰で暮井宅で、美術の御勉強だ。
「そうっすねー。味気ない数学とか、絵筆を握ってる方が煩悩が出なくて・・」
と、いいながら、シャワーに耳を傾けてるのは誰だい?
又な。この暮井って先生も変ってて、バスローブ姿でおしえていやがる。
役得ってか?
元来横島は手先は器用だ。ほれ竹とんぼをナイフ一本で作っちまう奴だぞ。
それにな。何度か通ったヌード教室では、はちきれんばかりでね。
芸術にたいしての、憧れみたいなのがね。
そして、暮井センセの「美」を体系的に教えるのは一流だった。
「こんな考えをしていたから、落選でしょうけどねぇ。私の流儀なの!」
と、威張っていたのが青くなったのは、今日の新聞だ。
『美展コンテスト、一位は無名の高校生!!』
芸術面のトップだった。ちなみに、出展の絵はヌードでなくて、犬をかいた物だ。
そら、毎日シロちゅー、狼と遊んでりゃなぁ。
「うそぉ?」
その話題で学校が持ちきりだ。当たり前だわな。

学校側も御邪魔虫的な扱いだった横島の風当たりは一編した。
『表彰状、横島忠夫画伯』
だとよ。
こうなると、当然モてる。だがね。学生を隔離した先生がいたのさ。
当然だろう。暮井緑先生さ。
「何をやってるの?貴方達が邪魔すると横島画伯の創作活動にさしさわります」
驚く事に、横島も、
「そうなんだ。わるいけど、暮井先生の仰る通り、ゴメンな」
クールに決めりゃ、更にモテルってか?
だが、あの煩悩の塊がどうして、こんな好条件を否定するかだって?
そういう欲望を一手に引き受ける女性がいたのさ。
もっとも、ソレがばれて横島画伯は退学の危機にあったがね。
そりゃ、子供が出来ればねぇ。
美神令子も立つ瀬無しってね。殴りに行けば、屈強なガードマンにさらばいばい、だ。
おや、画伯。今度は、風景画にちょうせんですかい?

-くくくく、忠告したはずだぞここは牢獄だ、とな-
上方から何かが降りてくる音を貴方は耳にした。
瞬時、激しい閃光の後、気がついたら、四方檻になっている。
バチカン側のしかけが、誤作動したのか、侵入者対策なのか、
どの道、万策尽きた貴方にラプラスは一言。
=よ!御仲間さん、どうたい、ここは?=

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