ルシオラ復活の日々五日目『現と幻』中編。
投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/11/ 7)
もぐもぐもぐもぐもぐもぐっ
うららかな日が差すボロアパートの一室で、横島は一心不乱に朝食にむさぼりついていた
もちろん口にしているのは、ルシオラお手製の朝食である。
一応自分の分も用意しているが横島のあまりの勢いにあっけにとられているわけである。
第一自分はこおゆう食事というものは、必要ないのだ。
(に、しても)
ものすごく嬉しい
と思う。
自分が作ってくれたものをこんなに美味しそうに食べてくれる事が嬉しい。
しあわせだなあ
と思う。
「んぐっ!!!」
とご飯を喉に詰まらしたらしい。
「ヨ、ヨコシマッ大丈夫?はい、お茶。」
ごほごほとむせかえる横島にわたわたと不器用な手つきながら緑茶を淹れて手渡す。
すると横島が湯のみをルシオラから手渡されたまま動かない。
「ヨコシマ?」
少しだけ首を傾げルシオラ。
どうしたのだろうと思う。
途端だああああああっと滝のように涙を流し始めたのだ。
「っ?????」
当然の行動にどう反応してよいのかわからず益々首をかしげるルシオラ。
考えられる所といったら。
「ご飯美味しくなかった?」
という結論に彼女のなかでいきつくらしい。
だが、横島は単にあまりの幸せに感動しているだけだったりするのだが。
「で、どっかいきたいとこあるか?」
と食事を終えそして細細した身支度」や掃除を終えてからの横島の台詞である。
時間にして10時を回ったくらいだろうか?
ある程度昨日の仕事でかねもあることだし。
どこか連れて行こうと思っているらしい。
まあ西条への返金はどーするのだという声が聞こえてきそうだがそれはこの際無視である
「うーん…」
そうねえとルシオラ。
折角横島が二人でどこかへいこうと言ってくれてるのだ。
いけるものならいきたい。
だが、適当な場所が思いつかない。
だけど、
「行った事のない、綺麗なところがいいな…」
とぼそりと呟くようにルシオラ。
「綺麗なところ?」
おうむ返しに横島。
「うん。私とヨコシマの新しい場所が…うん一個でもほしい」
と言ってルシオラは笑った。
―新しい場所がほしい。
それは、もう少しで作ることができなくなるという事だ。
自分の時間が無くなっていっていると言う事だ。
そしてそれを彼女ははっきりと自覚していた。
無意識の中にもう別れは零れ始めている。
「とっておきの場所案内してやるよ」
続く
今までの
コメント:
- ふふふふふふふふ(汗)
いいのかこれ!!大丈夫かこれ(自爆)←駄目です。
なんかあまあまでーんでちょっち悲しくという感じです
JIANGさん、ペスさんコメントありがとーございます (hazuki)
- 大好きなひとにご飯を作ってあげるしあわせ。
大好きなひとに「美味しい」って笑ってもらえるしあわせ。
良かったね、ルシオラさん。本当に、良かったね。 (猫姫)
- 砂時計の砂はあと僅か。
それでも、日々のしあわせを求めるふたり。しあわせであろうとするふたり。
終焉から目を逸らさずになお、かけがえのない現在を精一杯かみ締める。
これは強さでしょうか? 弱さでしょうか?
俺は、強さだと思います。 (黒犬)
- 朝御飯を2人で食べる・・・こんな日常の一コマも時間がない2人にとっては大事な思い出になって行くんだろうな(しんみり) (JIANG)
- 新しい場所……掛け替えの無い物を求めて止まないのが人の性とは云え、新たなそれを手にする事が出来るのは幸せなのか……それとも。 (Iholi)
- 雰囲気出てきたな〜。
二人の幸せはいつまで続くのか……。
あと何日残ってるんだろうか……?
精神と時の部屋?にでも連れてってあげればいいのに(笑)
とにかく続き楽しみっす。 (天邪鬼)
- さすがは先輩、自分の想像を大きく越えた作品を書いてくださる
横島とルシオラの新しい思い出となり、そして悲しくも思い出と残る場所はいったいどこなのか
楽しみに待ってますよ、先輩 (いたけし)
- 2人で朝食を食べ、そして新しい思い出を作るためにどこへ出かけたのだろう?
そして、やはり横島くんは西条さんへは返金する気は無いんだろうなぁ(笑) (G-A-JUN)
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