ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(覚醒)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/11/ 2)




 ー終曲ー



「決着・・・ついたみたいですね」
 そう言い、フゥと安堵のため息を洩らしながら、彼女は手にした双眼鏡を、真横にたたずむ彼へと手渡した。
「はい。しかし・・・ここ日本でもトップクラスといっていい、あの三人とほぼ相打ち・・・聞きしに勝る、です」
 手渡された双眼鏡を、片手にしたケースの中にしまいつつ、彼はそう答えた。
 付近一帯に点在する、無数のビルやらを、全て一望の元に見渡す事の出来る高層ビルの屋上。
 彼らはそこにいた。
「こういうのは・・・正直なところ好ましくありません」
 気まずそうに・・・申し訳ないといった表情をし、そう呟く様に彼女が言う。その言葉を耳にし、彼は・・・
「仕方が無いでしょう。尻尾だけを痛めつけるのに、こちらの手の内全てを見せるわけにはいきません」
 と、即座に答えた。
「ですが・・・」
「小竜姫様」
 今だやりきれぬ顔の彼女を一瞥し、彼は前を向く。その視線の先には、屋上で、揃いも揃って尋常ならざる『力』の持ち主達が、真正面から霊力をぶつけあうという、激しい戦闘の行われたビルが在る。
「そろそろ『彼女ら』を保護しませんと・・・いたずらに騒ぎを広めるのは、得策ではありません」
「そうですね・・・」
 何かを抑えこむように、堪えるようにし、彼女はそう答えたーーーそしてーーー
「行きます」
 ーーー全身輝かせ、空を舞った。


 目を覚ます。
 この上無く重い・・・瞼を開く。
 最初に見えたのは、ボヤけた何か。
 まるで世界に霧がかかった様だ。
 目を閉じる。もう一度、開く。
 今度はさっきよりも、ハッキリと見える様になる。
 ーーー天井。
 妙に豪華なシャンデリアが、こちらの目をひく。
 こんなもんが俺の部屋にあったか・・・?
 そう疑念を抱くが、そこから先へは思考が進まない。
 夢か・・・
 そう無理に結論づけ、再度瞼を閉じたーーーその時。
『ーーーーーーー!!!』
 その瞼の裏に、ある映像が浮かぶ。

 ーーー銀色。
 ーーー黒色。

 二つのーーー忌まわしい、何か。

 ガバ!とーーーベッドから跳ね起きる。

 ベッド?

 見ると、それは確かにベッドだ。真白いシーツが焦点定まらぬ眼に眩しく映る。

 ここはーーー何処だ?

 グルリと見回してみる。

 部屋だ。屋内である事は間違い無い。

 暖かい・・・暖房がかけられている様だ。

 妙な事に窓はない。代わりに換気をする為の設備があるらしく、空気は乾いてない。

 そして右の方に、ドアが・・・

『うまい!日本の酒もいいもんだな!』
 
 ドアの向こうから、声がした。

 誰か・・・いるのか・・・?それを確かめるべく、ベッドから降りようとする。

 すると、何かカードの様なものが、パラパラと落ちてきた。拾って間近で見てみる。そこには・・・

(何だこれ・・・アルファベット・・・?)

 首を傾げる。

 その時・・・彼は気がついた。

(腹・・・へった)

 今だ意識は曖昧なまま、やむをえずベッドから降り、『横島』はドアノブに手をかけたーーー



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