ザ・グレート・展開予測ショー

全国除霊道派選手権!!!(その6)


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(01/10/30)

ファイティングはフラッシュバックされる。
幽体離脱を利用した、”変体慣性能力”が三蔵法子へアッタクッタ…いや、
これはKusuKusuのCDタイトルだった、アタックした瞬間。
そして”ネクロマンサーの剣”は今まで、三蔵法子戦にて変体慣性能力と供に使用され、
今戦で2度目の発動をし…
それはあくまでも、勝つ為に生かす能力でしかなかった。

なのにその能力が今、戦闘中の相手である空作に尻目掛けて火をつけた。
実際、空作がキヌの幽体離脱姿中だった鼻にぶっ掛けたけども。
それはいいとして(笑)

火の付いた空作こと、我らがタイムボカンシリーズ最強のヒーロー・イタダキマン!
ついに、最大の技を放ってきたのだ!

「今回のWEB版・ひょっこりひょうたん球!」

そうイタダキマンは言いながら、瓢箪を叩き上げると球が飛び出す。
一見、ただの球のように見えるが、実際の能力は計り知れないものである。
その球は、一瞬で「ひょっこりひょうたんダマ」と一つの文殊でその数の文字を
反応するや、一つが二つ、二つが四つ、四つが八つ、八つが十六つ、十六つが三十ニつ、
三十二つが六十四つ、六十四つが百二十八つ、百二十八つが二百五十六つ、…………
(中略)…………、一万三百八十四つ、二万七百六十八つにまで数が膨張していく。


      ☆           ☆           ☆


「お、おキヌちゃん!」

美神は、リング外の観戦場から叫びあげる。
あんな数の球から生まれるチビメカの正体を知った美神には、恐怖を味わずに居られない
ような隠しきれない表情が募る。
しかし、その横には横島はニマリとヨコシマな笑みをあげて冷静を装う。

「大丈夫ッスよ。これでもうおキヌちゃんの勝ちさ。」
「え?」

美神は今度は横島に驚く。

「どういうことよ。」

美神の、その震わし引き攣る頬を横島の方へ向ける。
その頬を、横島は人差し指でツンとつんのめらせた。

「なにすんのよ☆」

一瞬やられた横島の、子悪魔的いたずらに思わず反応する美神。
だが、ハヌマンがわざとらしく突っ込んでいたのには、創作者も驚いた。

『こりゃお主ら二人でイチャついとるでない。』
「べ、別にイチャついて居るわけじゃないわよ。この馬鹿が…」
『そんな事はどうでも良い。いやいや、懐かしい感じじゃな…!』

この自分が鍛えてやったキヌの試合を見逃すわけには行くまいと、
ワザワザ下界に降りてきたハヌマンは懐かしい感じに襲われていた。
その理由も、後々に分かる事だが、ハヌマンはそのことを詳しく口には出さない。


      ☆           ☆           ☆


説明しよう。
今回、イタダキマンが出した「ひょっこりひょうたんダマ」と云う文殊は、
凄まじい冷気を放出し、「綺麗切れ神」という蟹そっくりのチビメカへ変化を遂げた。

「切れ神、切れ神、切れ神…」
「綺麗カニ、綺麗カニ、綺麗カニ…」

そう、神道系装束を切り裂いて戦闘不能にしてやろうと言う意志が見え隠れしていたのである。
何よりその証拠は、本人のにやけた顔である。

イタダキマンの意志により、一万三百八十四匹の切れ神と一万三百八十四匹の綺麗カニ
が交互にハサミを開いては閉じてのアクションを起こしながらキヌへ襲い掛かる。
襲い掛かられたキヌは、ネクロマンサーの笛から念により変化させた剣を持つ。
そのハサミを刈り取るように、蟹を倒すしかなかった。

「っはっはっはぁ、これで僕は勝たせてもらうよ!」
「負けるモンですか!」

キヌも意地に、一点を見据えて剣を一閃と振るわして蟹数百匹を倒していく。
だが、間一髪、剣を交わした蟹がキヌの装束の胸元辺りを切り裂く。

「きゃあっ!」

キヌも可也の女の子である。
思わず、剣から左手を離して胸元を隠すのだが、それがキヌの新能力・ネクロマンサーの剣の
盲点となることを読み取られていた。
恐るべきは、空作だ。

「そおぉら、左手に襲い掛かれ!」
「いやあぁぁ‥‥!」

思わず胸のほうへ剣を持った右手も移動させて剣を縦に構えるや、イタダキマンは跳ぶ。
シュバッと、闘いの場のマットを蹴り上げて飛ぶや、背後に回り込んでいった。
負けじとキヌも幽体離脱をして、そのイタダキマンの更に背後に回るが…
そこには、可也の数の蟹が待ち受けていた。

「い、痛ッ!」

キヌは悶え顔を上げる。
そう、蟹が幽体離脱姿にハサミを突き刺してハサミを開いていた。
複数の蟹が更にハサミを赤袴に挟んで切り裂く…
と言う事は、幽体に直にダメージを与え込んでくるのである。
おキヌ大ピンチ!

…かと思いきや、カンカンカンとゴングが鳴る。

『…孫田空作反則負け、おキヌの勝利です!』
「えっ!?」


      ☆           ☆           ☆


「ふっ、やっぱりな!」

横島は髪をフッと手でナビカセ、見通したようなフリを見せる。

『流石だな、横島。』
「えっ、どういうことなのよ。」

…美神と冥子の二人は状況を把握しきれて居なかった。
無理もない。
この話は元々、ゴーストスイーパー業とは対にある業界だけに、
このルールについては詳しく把握していなかった。

「ようやく思い出したぜ、この大会のこと…」
「横島、もったいぶらないで教えてよ。」

美神は苛立って横島の胸元を握ろうとした瞬間、ある男が現れた。
その男は、この大会の会長にして、それは‥‥

『やはりお前の仕組んだ大会だったか、大樹。』
「…なんで親父がここに居るんだよ。」

云うまでもなく、超ゴーストスイーパー伝説を生み出した張本人。
霊能力皆無にもかかわらず、初代ゴーストスイーパー試験を初席クリアしたという
曰くつきの地上最強のゴーストスイーパー・横島大樹本人のことなのだ。

「…久しぶりだな、ハヌマン。」
『久しいのう、あれからなかなか妙神山に姿を表さんと思ったら…』

      ☆           ☆           ☆


しかし、そのハヌマンの台詞を堂々と無視してツカツカとリングへ登る。
それも、キヌと空作の今もって終了したリングへとロープをあっさりと潜って。

「どういうことだよ、僕が優勢だった試合なのに…」
「孫田空作…とかいったな。
 この闘いには、お前は向いていないんじゃないのか!?」

大樹は、空作に指を挿して命令口調に喋る。
イタダキマン姿の空作は、得意の”喧しい口論攻撃”を大樹に向けかけるが、
その事など全く気にしないで正論を挟む大樹には無理だった。

「お前は、殆どこの文殊を多用しているようなら、寧ろゴーストスイーパー系だな。
 試合前に渡された条約文の第18条を読んでみろ!」
「…………」
「読めないのなら、俺が代わりに云ってやる。
 第18条、霊力を最小限に抑え、念と精神で戦う事こそがこの試合の本命である。
 従ってな、霊力任せに戦うような奴はゴーストスイーパーなんだよ。
 わかったらこの場を神妙に去る事だ。」

しかし、その事には納得がいかないことを前提で参加した空作は、
それを証明しようとしたのだが‥‥はっきり云って、大樹にはこれまた無理だった。

「…その試合で使った文殊は何だ?
 一般的に、文殊は400マイト近くの濃い霊力を放出させる。
 しかも使い方によっては死人を出す。
 そこで、第22条をよく熟読したか?」
「………でもさぁ、その22条には、試合で最大500マイトまでの使用が許可されると…」
「それは、この大会全般を通した全試合での話だ!
 お前はこの3試合目までで、合計何マイトを使用した!??!」

ここまで大樹の話を聞いて、改めてこの選手権の要領を理解した。
それは簡単な事である。
霊力が全てはなく、そして、霊力をフルに使いこなす事。
…30巻の美神の母親を思い起こすと、いちばん簡単なことだ。

「霊力があることよりも、ごく普通に霊と渡り合える精神を鍛える事。」

そのよう、そしてその美神の母親を例に話していた。
そこへ、令子本人と横島たちが近づいて来る。
すると令子は即尋ねた。

「なんで、私の母親のことを?」
「知らんわけがない!元は、唐巣は私の教え子なんだぜ…!
 けど、唐巣の真面目といったら、俺の冗談を魔に受けちゃってさ、
 自らがまいた種だと気付くまで何日とかかった事か。」

ここまで一息で言い、わざとらしく両手を挙げ拡げる。
同時にフウと溜息をつくなり、右手からポリポリと音がした。

「そう云われると、辻褄が合うなー。」

いつの間にやら、忠夫はカキピーを摘んでポリポリと食べながら頷く。
以前に唐巣から聞かされた話も含めると、神に背くようなことをしていたのは…
云うまでもなく、大樹の悪い部分の影響だったのだと容易に想像できてしまう。
なんて凄いんだ、横島大樹!!

「…ともかく、氷室君の勝ちだよ。
 遠慮なく、第3回戦も頑張れよ。」

そう大樹は言って肩を叩くと、同時、空作を一瞬のパンチで彼方へ葬り去った。
ゴーストスイーパー業をナルニア支社に設けるといい、なんて精神力だ。
その後、大樹はハヌマンの方を振り向き、発した言葉はというと・・・・

「よおハヌマン、相変わらず小竜姫はいいケツしてっか?」
「…は、ハヌマン様を呼び捨て…!」
「そういえばさっきもだったわね。」

美神、忠夫、ハヌマン、キヌは思わず汗タジであった。
云うまでもなく、このことに嫌な気配を感じて小竜姫が降りてこなかったのかも
しれないと思い始めた一同だったが、ドサクサ紛れに今度の三回戦の相手がその背後に
混ざっていることには気が付いていなかった。

その相手とはずばり先に視聴者に教えちゃおう。
キヌの三回戦は、その混ざりッ気の通り、ドクターカオスなのだ。
それにしてもカオスが相手とは、ラッキーだねぇおキヌちゃん♪
では、今回はここまで。

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