ザ・グレート・展開予測ショー

黄昏中編。


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/10/25)

どんなに辛い思いも、感情も、生きていてさえ居れば時が少しずつ解決してくれる。
人は『忘れる』と言うことができるのだから。
日々の中に埋もれ少しずつ少しずつ忘れ、生きていく。

で、なければ生きていくことなどできないであろう?


押しつぶされそうな圧迫感の中それは何をするでもなく雪之丞を見ている。
憎しみも何も無いその空虚な瞳で。
そして、雪之丞は手を出してこないそれと対峙しながら、一つの答えにたどり着いていた。
(コイツは…)
言葉に反応して攻撃(と言えるのだろうか?)を仕掛けてくるもの。
GS…の霊と言っていた。
さっきの男の言っていた言葉が脳裏をよぎる。
『生前はひどく優秀な退魔師でした。その人の言葉を聞くだけで全てわかったとかわからなかったとか言っておりましたが…』
(テレパシスト!)
しかもかなり強い力の…ならば納得できる。
ごく稀にそおゆう力を持つ人間がいるのだ。
しかもキーワードは「言葉」らしい。
普通テレパシストは、何もせずに人の心が流れてくる。
だが、この目の前の男はその人物の言葉に精神が「感応」した瞬間その言葉の持ち主の感情がそれに流れ込んでくるのだ。
否応もなく。
ぽたり
額に滲む汗とは別にひどく冷たい汗が背筋を流れた。
と、いう事は今自分が考えていたことや感情が全てあちらに流れていったと考えてよい

手の内が全て読まれている。
迂闊だった。
と雪之丞が舌打ちをした瞬間。


【声】が聞こえた。
それは耳を通してのものかそれとも直接脳に響いたものなのか判別できない。
だが、確かに聞こえた。
『怖い』
と、
そしてその瞬間心の中に溢れ出す恐怖。
昔、遠い昔まだ力が無い時に感じた恐怖。
―たすけて。
―誰か
―僕を助けて。
いるのは小さな子供。
誰も助けてくれない、手を差し伸べてくれない恐怖。
オソロシイ
その感情で全てこころが覆われそうになる。

違う!!
もうあの時の何にも力のない自分じゃない!
恐怖なんぞ

雪之丞はぐっと拳を握りしめ
―それこそ血が滲むくらいに
「違う!!!!」
と叫んだ!!
だんっ!!!!!!
次の瞬間再び壁に打ち付けられる。
「っっっ」
声を出す事もできずそのまま床へと
―崩れ落ちることは無かった。
くい
っと唇から流れ落ちる血を親指でふき取りそして雪之丞は笑った。
つづく
(後編…………)

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