ザ・グレート・展開予測ショー

A REBELLION AGAINST HEAVEN(13)


投稿者名:ラクン
投稿日時:(01/10/25)

―――都内某所の廃ビル
「おほっ、派手にやられおったなぁベリアル」
「やかましいキィ!油断しただけだキィ!邪魔が入らなけりゃ勝ってたキィ!キィーーくやしーーー!!」
「あんたこそキィキィキィキィやかましいのよ!おすわり!!」
「ぎゃふっ!?」
暴走しそうになったベリアルがシンディの一言で地面に叩きつけられる。
「キィィィ!せっかく狭い牢屋から出られたってのになんだってまたこんなクソ女に操られなきゃいけないんだキィーーーー!」
「クソ女・・・?」
シンディの目が怪しい光を発する。
「あ、いや、これは物の例えで・・・その・・・」
シャオロンが十字を切る。
「『クソ女』がどういう物の例えなのかしらぁ?」
「そ、それはそのぉ・・・」
ベリアルが部屋の片隅に佇むリオンにフォローしてくれと目で訴える。
だがリオンは無情にも力なく首を横に振る。
「ベリアルちゃぁぁん」
シンディがこれ以上無いほどの笑みを浮かべてシンディがベリアルに歩み寄る。彼女の顔をピカソの画法で描いたならばもう一方の顔は・・・推して図るべし。
「は、はひ・・・」
そして人の仮面を被った地獄からの裁判官は目の前の哀れなる被告人(?)に判決を言い渡した。
「・・・お死になさぁい(はぁと)」
判決・・・死刑。
「ひべべべべべべべべべぁぁぁぁぁぁ!」
何十Gという重圧を一気にかけられ、10階から地下駐車場まで1.5秒という驚異的な速度で落下したベリアル。目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

誤解の無い用に言っておくが、別にシンディはエスパーでもフォースの使い手でもましてやベリアルに魔法の首輪をつけているわけではない。
おキヌを含めた他の者のように笛こそ使わないが、彼女もれっきとしたネクロマンサーなのだ。
ただし彼女は下級の悪魔程度ならば相手と目を合わせるだけで自らの僕とする事ができた。

今でこそネクロマンサーと言えば笛を使うものとして認識されているが、昔は死者を操るには様々な方法があった。
魔法陣を用いて操霊を行っていた者もいれば、道具を何一つ用いずに意のままに霊達を従えた者すらいた。
ただその中で笛を使うものが大半で、それ以外の術式は非常に稀だった。
そして、その少数派の術は時代の流れとともに廃れていった。
それゆえ現在に残るネクロマンサーは笛を扱う者しか残っていないのだ。

またネクロマンサーは、大きく二つに分類されていた。
後天的にネクロマンサーの才能を得た者と、先天的に才能も持っている者だ。
おキヌは前者、シンディは後者に当たる。
そして後者の場合、家系が代々ネクロマンサーである場合がほとんどであった。
しかし先天的にネクロマンサーの能力を持っているものは、そのあまりの力の強さゆえ、時として畏怖の対象にすらなり、無実の罪を着せられて次々と処刑されてしまった。
類稀なる才能を妬んだ他のネクロマンサーが領主や国王に告げ口をしたためとも言われているが、今となってはその事実を確かめる術は無い。


「ひゃぁぁぁ・・・。ほんまバケモンみたいな力やなぁ・・・」
シャオロンが底の見えない穴をしげしげと眺める。
「自業自得よ」
シンディが逆立った髪をセットしなおそうと右手の鏡に顔を向ける。
普段は空の様にすんでいる彼女のブルーの目は、右の目だけいつのまにか血のような真紅に色を変えていた。

―化け物・・・か

同じ言葉を子供のころ聞いた覚えがある。
そう・・・あれは今夜のような、空は曇っているのに満月だけがやたらとはっきり見えた夜・・・・・・



試験勉強が終わったのでとりあえず書き残してたやつを完成させました。
ネクロマンサーの設定は僕がオリジナルで考えたもなので史実とは一切関係ありません。
第一ネクロマンサーなんて職業が本当にあったかどうかも窺わしいし。
次回はシンディの過去です。
あうう・・・どんどん収拾がつかなくなってくる(泣)

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