ザ・グレート・展開予測ショー

君がいるだけで(12)


投稿者名:JIANG
投稿日時:(01/10/23)

「このドジッ! 悪霊に取り憑かれるなんて何をやっていたのよ!」
「すんませんっ、すんませんっ」
 怒りに震える令子の声が部屋中に響きわたる。
 その怒りの矛先である横島はただひたすら頭を下げて謝るしかない状態である。
 おキヌとシロがなだめようにも、令子のあまりの迫力にどちらも声をかけられない。
 タマモに至ってはみんなが帰ってくるまでひのめのお守りを1人でしていたため疲れ切
っていて、ソファの上でぐったりしたままである。
 タマモに遊んでもらってご機嫌だったひのめは今は別室でお昼寝中である。
ここで平気な顔をしていられるのは、やはりお互いの母親たちだけであろう。美智恵と
百合子も黙って成り行きを見守っている。
「まったく……! 近頃、ひとりでも仕事をこなせるようになって、少しは見直してきた
っていうのに、こんな大ポカするなんて――! だから、あんたはいつまでたっても半人
前なのよ!」
「うう………」
 令子に叱られて何も言えない横島だが、それ以上に母親の目の前で叱られているという
状況が恥ずかしい上情けなくて、ただうつむいているだけであった。
「令子、そのくらいで許してあげれば…? 横島クンも充分反省しているみたいだし、そ
れにお母さんにこんな処を見られるのも恥ずかしいと思うし…ね。」
「別に母親の私が見ているからといって、手をゆるめる必要はないわよ、美神さん」
うなだれている横島を見て、美智恵が助け船を出すが、百合子の方は息子がドジをした
のだから叱られるのは当然という顔をして言う。
「なんと言われようとも許すわけに行かないわ。罰として一ヶ月分の給料カットよ!」
「そ、それはないッスよー! そんなことされたら、今でさえギリギリなのに、生活でき
なくなっちまいますよー!」
「うるさい! だいたいゴーストスイーパーのくせして悪霊に取り憑かれるあんたが悪い。
自業自得よ!」
「………悪霊に取り憑かれるのは自業自得ね。確かにそうなんだけどねぇ―――。」
「むっ―――。何か言いたそうね、ママ」
「いえね。私もチューブラー・ベルにずっと取り憑かれていたから、あんまり強いことを
言えないかナーって………」
「うっ………でもそれはママが小さいときで、GSになる前の話でしょう。こいつはまが
りなりにもGSなのよ」
「それもそうね。………でも、令子。あなたもある意味では悪霊にずっとつきまとわれて
いたようなものだったじゃない」
「それ、どういう意味よ。ママ」
 ケンカでも売っているのとでも言うような顔で母親を睨みつける。
「あなた、生まれる前から――つまり前世から、アシュタロスに魂の結晶を狙われていた
じゃない」
「な……………!?」
 令子は思ってもみなかったことを言われ言葉をなくす。
「ねえ、令子。霊能力があるっていうことはGSとしての素質があるっていうだけじゃな
くて、悪霊や妖怪、物の怪なんかも引き寄せてしまうと言うことなのよ。わかるでしょ」
(そういえば、私やママだけじゃなくて親父も霊障に悩まされていたんだっけ……。それ
に人間に戻ったおキヌちゃんも霊団に体を狙われたのがきっかけで東京にくることになっ
て……。こいつは(横島をにらみつけ)はまさに妖怪、物の怪に好かれる体質だし……。
しかも、ここにはシロとタマモという妖怪の見本のようなのも住み着いているんだったわ)
 はあ―――と溜息をついた後、
「わかったわよ、ママ。今回は横島クンのお母さんもいることだし、さっきの件は許して
あげるわ。」
「美神さん……」
 おキヌは令子の言葉にホッとする。
「美神さーん!」
 横島も令子の怒りが溶けたのを知り、大げさに涙を流して喜ぶが……しかし、美神令子
は甘くなかった。
「だけど横島クン、私たちに迷惑をかけたのは事実だからね! 罰は受けてもらうわよ」
「そ、そんな――」
「まあ今回はママや横島クンのお母様もいることだし、大まけにまけて……一週間給料カ
ットってことで勘弁してあげるわ」
「そ…そんな――」
 一ヶ月給料カットよりはましだが、貧乏学生にとってはきついことには変わりない。横
島は文句を言おうといたが、令子にギロッと大迫力でにらまれたため、これが譲歩の限界
だろうとあきらめるしかない。
「わかりました。それで良いです……」
 ガックリと頭をうなだれてそれを受け入れた横島であった。

*** つづく ***

 すいませーん。まだ1,2話続きそうです、日本編。
 ここまでは先週のうちに書いていたんだけど、この続きをここに入れるか入れないかで
迷いに迷い、結局入れませんでした(爆)
 後はもうナルニアに行く行かない、連れてく連れてかないの話なんですけどね。
 まあ結局、横島は母親と一緒にナルニアに行くわけですが、彼らが去った後いよいよ
小竜姫たち神族魔族が動き出します。
 この辺の小竜姫たちの話は日本編とナルニア編の間の話になると思います。
一応、これからの予定でした。

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