ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(思念)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/10/21)




 ー終曲ー



 Gメン本部に珍客が訪れた、その頃ーーー

 捜索部隊はただひたすらに、悪戦苦闘していたーーー

「タイガー、どう?まだ何も感じとれない?」
 ハイヒールで傍らを歩く女性『美神令子』が、巨体のテレパシスト『タイガー寅吉』へと、そう問いかける。
 今彼らはGメンの本部から横島のアパートへ、真っ直ぐひたすら歩いていた。
 彼らーーー『三人』は。
「・・・・・・」
 ムス〜とした顔で、美神は『逃亡者』達を思い返す。

「悪いけどーーーちょこっと気にかかる事があるから失礼させてもらうワケ」
「ごめんね〜、冥子〜、お昼寝の時間なの〜〜〜」
「あ、私、新作の魔法料理の作りかけだったんです!手伝ってくれますよね?」
「おいおい!ま、魔鈴君!ひ、引っ張らないでく・・・れ、令子ちゃぁぁぁ・・・」

 それはーーーまるで波がひく様にーーー
 連鎖的に四の五の抜かして・・・途中で帰ってった連中に対し、美神は疾風怒涛の様に罵りはしたが、それはあくまで心の中でのみ、だった。
(ムキになってるなんて思われたくないし、ね・・・)
 表面上はあくまで平静に努め、丁稚の捜索より私用を優先させた面々に薄情と怒鳴り散らしたい気持ちを必死に抑えてーーー美神は黙って手を振り、彼らを見送った。
 その後残されたのは、(自分を含め)たった三人のみ。
 バンパイア・ハーフのピート。テレパシストのタイガー。
 結果だけ見るならーーー捜索にはもってこいのメンバーだ。
(ま、ぞろぞろ集まってりゃ見つかるわけじゃ無し・・・かえって良かったのかもね・・・)
 そう独りごちてから、横を歩くタイガーと、少し離れて緊張した表情のまま周囲を探るピートを見やる。
 タイガー。
 改良に継ぐ改良により完成されたーーー『思念増幅機』を組み込んだ、カブト虫の様なアンテナ付きヘルメットをかぶり、そのずんぐりした巨体と併せ技で、絶妙な調和をかもし出していて・・・何というかハッキリ言ってーーーいや、言わなくとも怪しさ『宇宙崩壊大爆発』的レヴェル?
 いろんな事に目をつむれば(主にチクチク刺さる好奇や怪訝の視線)とりあえず混雑した道を通るのには楽だ。
 同類とみなした風評がたったらーーーヤる。
 ピート。
 こちらはこちらで・・・前者とは全く違った意味で、注目を浴びている。
 何せ道で女性とすれ違う度にジ〜〜〜ッと見ては、やがてため息。この繰り返し。無論、それは女性に限ったワケではないのだが、男は前を歩くタイガーの(前述した)異様な姿におののき、誰も近づこうとはしない。
 それが女性になると、ピートの『愁いを帯びた美形っぷり』に磁石が如く、次から次へと吸い寄せられる。
 つけ加えれば・・・どうやらその時彼女らの視界では、タイガーの姿はプラックアウトするらしい。
 それだけなら良い。タイガーにはミクロに悪い気もするが、それだけならさしてーーー問題無い。
 問題は、ため息。
(敵の変装か!?)と、そういう意味で近寄る女性の顔を見つめては(違った・・・)と、安堵のため息を洩らす。
 しかし!それはあくまでピートにとって、だ!
 女性達の側からすれば、勝手に品定めをされて、そのあげくに侮蔑のため息・・・そう解釈してしまうしかないだろう。
 更に言えばーーーその女性達は皆、その『品定め』を受けた後、キッ!と涙を浮かべてこちらの側に寄っては、敵意むきだしの眼でジロジロと見、やがては『もはや鬼の様』としか形容しえない眼をして去っていく。
 カミソリやら、ゴソゴソ動く箱がうちの玄関やポストにあったら・・・まとめて教会に送ろう。
 総括。
 頭が痛い。てゆーか割れる。
 こいつらも放り出して、単独で捜そうぜ・・・そんな甘美な囁きまでが聴こえてくる。
(そうね・・・ナイスアイデア!)
 その囁きに従い・・・グーを握った、その時。
『こ、これは!?!』
 ヘルメット越し、緊迫したタイガーの声。
『こ、この思念は・・・間違いないケェ!あそこジャ!』
 ビッ!と指差す。
 遠目に見える、ビルの屋上。
 強い風に吹かれ、はためく黒衣、なびく銀髪。
 気づかれたというのに逃げようともせず・・・冷笑すら浮かべてこちらを見据えている。
 そして、あろうことかーーー『相手をしてやるから、こちらへ来い』などと言いたげに、手招きをした。

『ーーーーーー野郎!上等よ!』

 たちまち強い霊力の輝きに包まれた全身を、銀髪の男にブチ込む一発の弾丸と変え、美神は飛び出したーーー

 それを待つ銀髪の男の、口元が歪む。

『来い・・・!そして、吐いてもらうぞ・・・』



『タダオ・ヨコシマの居場所を!』

 



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