終曲(来訪)
投稿者名:AS
投稿日時:(01/10/21)
ー終曲ー
不機嫌そうに、彼の眼差しが鋭さを増す。
この場に集った彼の顔見知りの連中、多数・・・その内のほぼ全員が、現在行方不明中のバンダナ巻いた友達(ダチ)と、そのダチの行方と何らかの関わりがあると思われる銀髪の男を捜索する為に出払ってしまっていた。
ーーーだというのに。
今も彼だけは・・・見知った黒髪のネクロマンサーの少女と共に、召集されたオカルトGメンの本部に取り残されていた。
但し、今居るのは待合室では無い。
作戦会議室だ。
部屋は整然とされ、モニターの前には一組の男女。
例によって威厳をもってこちらに接するのは、日本、いや世界でもトップクラスのスイーパー、美神令子の母親・・・美神美智恵だ。
その彼女の横には、最近とある事件の影響によりGS協会会長に就任する事となった、どこぞの貧乏教会の・・・
「何か言ったかい?」
「ナニカ?」
・・・ご立派な教会の、流石に『鋭い』オッサンだ。
こちらへ向けられてくる、オッサンの疑わしい眼から、視線を右にそらすとーーー『念写女』と目が合った。
「・・・・・・」
暫しの間、見つめる。
向き合っているのだ。こちらの視線には、とっくに気がついている筈だというのに、その女は全く微動だにせず、気づいた素振りも見せずに、ただジ〜〜ッとこちらを見つめ続けて・・・?
妙な違和感。
そういえばこいつ、何故さっきからサングラスを外そうともしない?
そういぶかしむこちらに対し、やっとその女・・・陸奥季綾が声をかけてきた。
「あ、あの・・・」
プイ!と、前方に視線を戻してから、答える。
「・・・何だ?」
「伊達雪之丞さんですね・・・あの時は弟が大変お世話になりました・・・」
ーーー弟?
疑問混じりでこちらが口を挟む前に、更に女が言い募る。
「実はあの時・・・『視』ていたんです。・・・心配・・・でしたから・・・」
???
雪之丞には、陸奥季が何を言っているのかが、さっぱり解らなかった。
(弟?心配?あの時『見』ていた??)
やがてーーー閃く。雪之丞は再び、陸奥季と向き合った。
「まさかあのガ・・・雹の?」
陸奥季はコクリと頷いた。
「心霊関係の記者を目指している友達から・・・貴方と雹が建物の屋上から、屋上へ・・・駆け抜けてくのを見た・・・っていう電話があって・・・それで・・・」
『陸奥季さん!』
鋭い声。
気がつくと、その声以上に鋭い眼をした、美神美智恵がそこにいた。
「驚かせてしまったわね・・・ごめんなさい、でも陸奥季さん、そこから先はGメンの機密扱いに・・・」
「はい・・・」
力無くうなだれて、陸奥季はそれきり口を閉ざす。
それを見、美智恵はフゥ・・・とため息をついてから、廊下に続く扉の向こうへと声をかけた。
「さて・・・もういいです、こちらへどうぞ」
そうーーー彼女が言った直後ーーー扉が開かれた。
『では』
『失礼します』
『お邪魔するのね〜〜〜』
入ってきたのは、あまりに唐突な顔ぶれ。
「!!?魔族野郎!」
「し、小竜姫さま!?それにヒャクメ様まで!!?」
すかさずの言葉に対し、三人(三神?)はそれぞれ違う意味で、しかし揃って複雑な表情を浮かべた。
「雪之丞・・・その呼びかたはよせ・・・!」
「(ピコンピコン・・・!)うっ!タイマーがっ!」
「久しぶりなのね〜〜でも何故か『どこも』全然お変わりないのね〜〜〜不思議なのね〜〜〜〜」
早速始まるーーーお約束。
彼は、呟いた。
「彼ら・・・何しに来たんだい?」
「・・・・・・」
美智恵はその呟きには応えずに、渋面のまま・・・ただうつむいていた。
今までの
コメント:
- 「続きです・・・面白かったら、嬉しいです」 (AS)
- 雪之丞視点、イイかんじですね!事態が動き出しそうな予感をはらんでて、良いと思います。 (ダテ・ザ・キラー)
- 「うっタイマーが!」がツボ♪ (けい)
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