ザ・グレート・展開予測ショー

パピリオ幼稚園(3)


投稿者名:西久保
投稿日時:(98/ 7/17)

 続きを書かせていただきます。

 今日は日曜日で、幼稚園はお休み。パピリオは、事務所の近くの公園のベンチに一
人で寝そべって、この一週間の出来事をふりかえっていた。
 パピリオは、幼稚園がどんなところなのかを理解していた。自分にふさわしくない
場所であることも理解していた。アシュタロスによって創造されたときに与えられた
肉体的年齢は人間に直せば小学生くらいだし、与えられた知識と力は人間の比ではな
い。
パ(でも、とっても楽しいんでちゅよね...。なんか、ずっとこんなことが欲しか
ったような感じがするんでちゅ...)
 パピリオのみつめる空に、仲良しのひろみちゃんとまりこちゃんの顔が浮かぶ。
パ(アシュ様は人間のこと、ゴミみたいに言ってたけど...)
 自分もそう考えていたことを思うと、心がチクチクと痛む。
パ(...こんなこと考えてても意味がないでちゅね)
 そう思った時だった。
声「パピリオ様...パピリオ様...」
パ「誰でちゅっ!?」
 不気味な声の方を向くと、一体の悪霊が笑いかけてきた。もう存在するためのエネ
ルギーが尽きかけているらしく、ときおり明滅を繰り返している。
パ「何でちゅかお前は」
悪「パピリオ様...何をなさっておいでなのです...早く...人間共を...
根絶やしにして...我らの...楽園を...」
パ「...」
悪「パピリオ様...いかがなされたのです...あなたのお力なら...人間など
...ゴミも...同然でしょう...」
パ「うるさい!!!」
 霊波の一閃。断末魔の叫びもなく悪霊は消えた。
 だが、パピリオの中に、どうしても消えない何かが残った。
 その日の夜、いつも夜更かしするパピリオが、とても早く寝たことに気付いた者は
いなかった。

 次の日。いつものように、幼稚園は子供達の活気に包まれていた。パピリオも、み
んなに混ざって鬼ごっこに興じている。そんな彼女達を見つめる二つの視線があった
。フェンスごしに会話をしている横島とおキヌだ(六道女学院は隣だったのだ)。
キ「かわいいですね、みんなあんなにはしゃいで」
横「遠くで見てればいいんだけどなー。近くにいくと始末に負えないんだよ」
キ「いいじゃないですか。それは、横島さんが好かれてる証拠ですよ」
横「あんなのに好かれても嬉しくねーけど...」
園児「用務員のお兄ちゃんも遊ぼーよー!」
パ「そうでちゅ、ポチも来るでちゅ!来ないと安楽死でちゅー」
横「あちゃー、御指名がかかっちまった。それじゃ、また後でね」
キ「がんばってくださいねー」
 子供達の輪に入っていく横島の背中を、じっと見つめるおキヌに、後ろから一文字
が声をかける。
一「へー、横島さんって子供に好かれるんだな。意外といい父親になったりして」
キ「そ、そうだね」
一「なに赤くなってるの?」
キ「えっ?、えっ?」
 一文字に問い詰められるおキヌの顔の横を、季節外れのモンシロチョウが飛んで行
った。
 
 理事長は、まだパピリオのカリキュラムのアイディアが浮かんでなかった。
理「どうすればいいのかしらねー。...あら?、アゲハチョウ?きれいねー」

次回に続きます。ああっ、10分後はテストだ...。






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