ザ・グレート・展開予測ショー

誤解(終)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/10/19)

美神は、ぐいっと横島の後頭部をつかみそして自分の肩へとおしつける。
もちろん自分の顔を見られない為である。
もう。今自分はこれ以上ないくらい真っ赤であるのだから。
「って…うわっ美神さんっ!!」
そして横島はいささか無理な体勢となる。
机を挟んでしかも前かがみで抱きしめられるというものは体制的に結構きついものがあるのだ。
「…あの…きついんすけど…」
どきどきと高鳴る心臓を自覚しつつ横島。
「気にしない」
有無を言わせぬ強い調子で美神。
「…はい。」
その言葉に一も二もなくしたがう横島。
「それよりも、聞いてたの?」
一応疑問形の問い掛けではあるが命令形である。
聞いてなかったなどと言った日には蹴り倒おされること間違いない。
「馬鹿というのは取り消して欲しいですけど俺のこと好きだって」
「馬鹿でしょーが」
こんなに恋人らしくしてあげてるのに
と美神。
(どこがじゃ?)
これは横島ならずとも思うことであろう。
だが横島の顔は緩んでいる。
それはもうだらしないくらいに。
くい
と横島は美神の肩に埋めていた顔をあげる。
「初めてですね」
そして耳元で囁かれる言葉。
それはひどく嬉しげで
「俺の事すきだっていってくれたのは」
「ったく、わかりなさいよ。それくらい」
わからないですって
と苦笑する。
「明日、チョコもらえます?」
「何?ほしいの?」
「あーはい、欲しかったんですよ好きな女からの」
「………仕方ないわね」
ぼそりと、嫌々そうに美神。
だが本心から嫌がってないことが分かってる。
本当に嫌なら、こんなふうに言わない。
しばらく二人はそのままの体制でいたがふと横島が何か思いついたかのようにぴくりと体を動かしゆっくりと美神を引き剥がす。
「なに?」
当然のごとく顔をかしげる美神。
視界に映る横島は先程の自分以上にまっかである。
「あの…」
「なによ?」
「だから、その」
と、らしくなく、しどろもどろに言う横島。
「だから?なに?」
すこしばかり苛つきを覚えながらそれでも聞き返す美神。
すると横島はごくりと息を飲み込み
「つきあってほしいんです」
と掠れた声で言った。
「へ?」
「だから、俺と、付き合って欲しいんです」
と赤くなりつつもまっすぐに美神を見て横島。
美神は目を見開いたまま硬直した。
それは、もちろん感動したからでは無い。
呆れているからである。
要するに何を今更と言いたいのだ。
あのクリスマスの日から自分達は付き合っているのではないのか?
「…あんたそれ本気でいってるの?」
険をふくんだ声で美神。
「…はい、そういや、俺告白というか…すきやとは言ったけど付き合ってくれっていったなかったじゃないですか?」
だから、自信がもてんのかなあと思って…
と笑いながら横島。
「駄目ですか?」
「………まったく…」
美神は頭をおさえつつデスクから横島の隣まで移動する。
なんで自分はこんなのに惚れているのだろう?
美神はそう自分自身に問い掛けたくなるのを懸命に我慢していた。
でも、まあ仕方ないのだ。
この、劣等感までも良く見えてしまうのだから。
美神は、横島の隣にくるとぐいっと自分のほうを向かせ
横島の肩に手をかけ、そして爪先立ちになり

触れるだけの口付けをした。

「とりあえず。ね?」
ぴきぴきと音をたてて固まっている横島を尻目にしてやったりの笑顔で美神。
「い、今の」
「知らないの?キスっていうのよ?」
「じゃ。なくてあの…」
だらだらと顔中汗をかきつつ横島。
そしてとどめの一言
「付き合っても無いやつにこの私がこんなことするわきゃないでしょーが?」

そちらが一枚上手かなどと考えるだけ野暮であろう?
おわり?
おまけあります(笑)←和馬くん編。

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