ザ・グレート・展開予測ショー

誤解(19)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/10/17)

「な、何いって…るのよ…」
赤くなった顔を見られたくないのかふいと顔をそむけ美神。
だがかすかに震える言葉に美神の動揺の仕方が分かる。
横島はそんな美神の様子に気付かずに頭をぽりぽりと掻き照れたようにはは…と笑う。
なんでも無いように言ってるが実の所この上もなく恥ずかしかったりするのだ。
好きだなんぞ、美神に何度か言っているがはっきし言ってそのどれも崖から飛び降りるかのような心境で言っている。
それこそ心臓の鼓動が全力疾走した直後と同じくらいにと程度には。
そして、横島は心臓の鼓動を早くさせたまま言葉を紡ぐ
「いやだって美神さん俺の事どう思ってるのかわからんかったんですよ…もしかしたら、こー恋人とか思ってるの俺だけやと思って…」
赤くなった美神を横島はみつめる。
確かに、告白はした(まあ告白というか、事故というか怪しいものがあるが)。
拒否もされなかったし、断りもされなかった。
アレは、受け入れてもらえるものだと考えていいと思う。
だけど…だ。
告白した日から何の変化もないのだ。
自分たちの関係は見事なまでに「雇い主」と「従業員」としかいえないもので。
時々抱きしめてもらえるといってもそれは自分が精神的にやられている時が多くて。
しかも、熱い恋人同士の抱擁というよりは暖かい、まるで親愛の情を表すものに近くて。
自分から何かしかけても鉄拳がとんでくるだけである。
(と、いうか所構わず裸でとびついてくれば誰でも鉄拳制裁されるだろう)
まあ、自分としては立派な恋人どうしだと思っているのだが、時々…これはもしかして自分は美神に恋人とは思われてなくて、タダ単に薄給で雇える従業員に同情でつきあってくれているのだろうかと思ってしまう。
もちろん、美神は同情でなんとかなどというそんな性格ではない。
むしろ徹底的に痛めつけるタイプだ。
そんな事はわかりきっている。
だが、それでもそう考えてしまう。
何しろ横島には、自分に自信がないのだ…どちらかと言うと劣等感を持っている。
だから嬉しかったのだ。
落ちていたチケットが。
自分の事を思ってアパートまできてくれた美神が。

「なによ……」
だが、そんな横島の表情とは対照的に強張った声で美神。
「え?」
そんな美神の声にはたと声をあげる横島。
「何いってるのよ……」
その声は先程までの照れを含んだものではない。
「何って…?」
言葉のどうりの意味だろう。と内心首をかしげ横島。
「横島くん、私が、アンタのことなんとも思ってないとでも思ったの?」
いっそ冷ややかとすら思われる声で美神。
その瞳はひどく冷たく感じる。
思ってない…わけはないだろう。
だが自分はそれほど思われている自信もなかったりする。
何しろ言葉どころか、態度にも出してもらったことがないのだ。
「……わかんないっすよ」
ので横島は少しだけ困ったように言う。
かたん
その言葉で、弾かれたように美神は席を立ち机を挟んだまま美神は横島の体を抱きしめた。
強く
それこそ体が痛むくらいに
いままでの暖かい抱擁ではない
熱い、強い抱擁
そして耳元で囁かれる
「好きにきまっとるでしょーがこの馬鹿」
言葉。
どくん
と心臓が一際大きく鳴った。
つづく
甘いかなー(汗)


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