ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(行方)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/10/17)




 ー終曲ー



『オヤオヤ・・・やっと動きなさったか・・・』
 オカルトGメンの本部。
 その本部の向かって左にある路地裏の陰から、目を光らせるモノがいた。
 それは漆黒。陰よりも濃いーーー闇。
『キキキ・・・ッ!あの顔じゃ、俺様の散らした雑魚共の事も耳に入った様だなァ・・・しかし・・・』
 揃って強ばった顔つき(一部除く)のGSメンバーを見ている内に、漆黒の化身とも言うべし『悪魔』は、何かを堪える様に口元を歪めて、先程若きオカルトGメンの捜査官達を紙のようになぎ倒した、己が右腕を見やった。
『キキ・・・あそこに・・・あんなに近ぇとこに、さっきの連中の百倍は美味そうな奴らが首を揃えてるってのに・・・お!』
 そこでーーー悪魔は見た。
 本部の扉を開けて、外へと出てきたのは色黒の女性。
 揺れる黒髪、整った顔立ち・・・紛う事無き美人だが、少しキツめの両の瞳は今はどこか気だるげに・・・ハッキリと言えば面倒そうだった。
 ともあれ・・・陰に身を潜める悪魔にとって、その女性は『特別』な『存在』だった。
 その『特別』とは、愛しいなどとは全く違う感情。
 彼女を見る魔の眼に宿るのはーーーたった、二つしかない。
 それは純粋なまでの『狂気』ーーーそしてーーー
 『憎悪』
 先の狩人の如き輝きは眼から失せ、今その眼にはただひたすらに暗い闇の炎が渦巻いている。
『ギギ・・・ギリ・・・ッ!』
 知らず知らずの内に、まだ許容量を多く残すその右腕で、狩り続ける己の魔気を解き放ってしまう。
 それはほんのーーーとてつもなく微少なモノだったがーーー
「!」
 気だるげな彼女の瞳が、驚愕の色に染まる。
 バッー!と、左の路地に目を向けるが、そこには何一つとして、感じ取れるモノなど無い。
(気のせい・・・か・・・?)
 自分の過去を思い出させる、あの禍禍しき魔気を確かに一瞬ーー感じたと思ったのだが・・・そう思い、さかんに首をふる彼女に、後ろから声がかかった。
「どうしたの、エミ?」
 ただならぬ旧知のライバルの様子に、たった今本部の扉から出てきた女性がそう、声をかける。
「・・・何でも・・・ないワケ」
 プイッと目を背けてそう言った、小笠原エミに対し・・・いつもなら喧嘩を始める背後の女性は、今はただその背中をジッ・・・と見つめるだけだった。
 そして。
『キィ〜・・・ヤベぇヤベぇ・・・まだここで見つかるワケにはいかねぇんでナ・・・』
 漆黒はそう呟き、しかし変わらぬ狂気の眼で・・・
『まぁいずれ・・・楽しみにしてるがイイさ・・・エミ!』
 漆黒は、闇にーーー同化し、溶けこみ始めた。
 最後に。
『後は任せたぜぇ、クローン坊や・・・せいぜい派手にやりあって、り〜っぱなエサになってくれよォ・・・キキキッ!』
 最後にそうーーー言い残してーーー


「タイガー、調子はどうだ?」
 友人である金髪のバンパイア・ハーフの青年の言葉に、巨体のテレパシストは手をふって応える。
 その頭部には何やら、アンテナを付けた兜の様なモノが収まっていた。
「戻ってきた神・・・会長の話からすると、どうやら相手は霊波の匂いを完全に遮断するらしいから、頼りはあんたの能力ただ一つ。頼むわよ!タイガー!」
「任せといてくんさい!立派に努めてみせますんケェ!」
 敬愛する師の言葉に奮い立ち、気合いを入れ直すタイガー。
 後ろでムス〜ッとした表情の犬科コンビがいたが、気づく様子も無い。
 その更に後ろでーーー・・・
「美神さん・・・」
 不安げなアシスタントの少女に対し、美神はただポンッ・・・と背を叩いた。
「だいじょーぶ!あいつがゴキブリ並な事なんて、い・ま・さ・ら!・・・でしょ?」
 そう言った自分へと、幽かに微笑む少女を見つつ、美神は心の内で呟く。

(そう・・・大丈夫・・・よね?)

 かくして・・・横島及びオカルトGメン襲撃犯の行方を追う、GS達の追跡が始まった。



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