ザ・グレート・展開予測ショー

A REBELLION AGAINST HEAVEN(10)


投稿者名:ラクン
投稿日時:(01/10/17)

「ぐぁっ!!」
丸眼鏡(と薄い頭)が印象的な神父こと唐巣の腹部から鮮血が吹き出す。
「先生!!」
こちらは青の瞳と金髪、整った顔立ちが印象的なバンパイアハーフのピエトロことピートが崩れ落ちようとする唐巣の肩を支える。
二人ともに体に無数の切り傷がつき、服を赤く染め上げていた。

ヒュン

風切り音とともに霊気が収束した矢のようなものが四方から二人に襲い掛かる。
「伏せてっ!」
ピートが唐巣を地面に突き倒す。
ドドッ
鈍い音を立て二本の矢がピートの鳩尾とわき腹に突き刺さる。
「あ・・・ぐぅ・・・っ」
あまりの激痛に意識が遠のくがすんでの所で持ちこたえる。
「無駄な抵抗は止めろ、大人しくしていれば楽に殺してやる」
体の奥まで響いてくるような低く重い声がどこからともなく教会に木霊する。
「誰が・・・大人しくするかっ!!」
ピートが霊波を目暗滅法に乱射する。
ドンドドンドン・・・メキメキ・・・バキッ、ゴスッ
「ぐげ!」
もともと老朽化がひどかった上に徹甲弾のような霊波を打ち込まれて、衝撃に耐え切れずに倒れた柱がピートの脳天を直撃し、そのままピートを下敷きにして埃を舞い上げる。
「自爆か・・・生きがいいのは口先だけだったようだな」
男の姿が柱の前に現れる。
身長はおよそ180センチ程度だろうか、黒いフードで全身を覆っているため体つきははっきりとしない。
やがて埃がおさまっていくと、男は柱の下に目をやった。
「・・・・・・・・・!」
だがそこにいたのはうつ伏せになって倒れている唐巣の他に、ピートの姿は影も形も残っていなかった。
「こっちだ!」
「!」
男が声のした右手に振り向くと目の前には拳が迫っていた。
ガンッ!
男が吹き飛ばされる。
「痛っ」
ピートが男を殴った右手の拳に痛みを覚える。
見ると手の甲に指の流れに沿うような縦の傷が一本ついていた。

「バンパイアミストで塵に紛れたのか・・・味な真似を」
男がむくりと起き上がる。
ピートはその男の顔を確認しようとしてギョッとした。
男はなんとも不気味な仮面をつけていた。
ピエロのような笑みを表す上下正反対についたの2つと1つの三日月状の穴、そのうちの上にある2つの穴からあたかも本当に血の涙を流しているかのように写る赤い二本の線。
見るものの背筋を寒くするような仮面であった。
・・・いや、違う。それだけならば多少気味が悪い程度で済まされてしまうだろう。
問題はその仮面のうちから覗く目であった。
その男の目には物の例えでなく本当に・・・一片の光も見出せなかった。
何もかも吸い込んでしまう深遠なる闇・・・ふとピートの脳裏にそんな言葉がよぎった。
気がつけば手が小さく震えていた。
目を向けようとするが、男の目から視線がそらせない。
体だけでなく、眼球までもが金縛りにあったようにまったく動かない。
背中にじっとりと汗が浮き出てくる。
男がピートに向かってゆっくりと歩き出す。
コッ・・・コッ・・・コッ・・・
革靴が地面に当たる音が響く。
男とピートの距離が徐々に狭まっていく。
男が目の前に立ち止まったときには体全身が震えが止まらなくなっていた。
男の手がピートの眼前で止まる。
(駄目だ・・・)
ピートが死を覚悟したその瞬間―――

パァン・・・

一発の銃声が沈黙を破った。




何とか戦闘シーンまで書けました。ふぅ。

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