ザ・グレート・展開予測ショー

A REBELLION AGAINST HEAVEN(9)


投稿者名:ラクン
投稿日時:(01/10/16)

チッ、チッ、チッ、チッ・・・
壁にかけられた時計が秒針を規則正しく進める音がシンと静まり返った廊下に響く。
手術室の前に置かれている長椅子に座るのはおキヌ、連絡を受けて駆けつけてきたシロ、タマモの三人。
美神は日本ICPO本部で今回の事件に関する会議に出席する事になっていた。
本心は病院に残りたかったのだろうが、横島が心配だから病院についていく、とは口が裂けても言わないであろう。

おキヌは両手を握り締め、祈るように目を瞑っている。
シロが尻尾をぱたつかせながら、まだかまだかと廊下をうろうろと行ったり来たりしているのをタマモが見兼ねて座るように促す。
しかしタマモ自身も、頻繁に組んだ足を逆に組み替えたりと落ち着きが無い。

おキヌが顔を上げ時計に目をやる。時計の針が午後8時丁度を示していた。
先程確認したときが7時半ごろであったから、まだ30分程度しか経っていない。
だが自分の感覚ではそれが2時間にも3時間にも感じられた。
手術の終わりを待つ人間には時間の流れがひどく遅く感じられるとよく言われるが、本当にその通りねといまさらながら思う。
自分の親しい人が苦しんでいるのに、自分はただ祈る事ぐらいしか出来ない。
そう思うと悔しさのあまり思わず涙があふれ出そうになってきたその時―
「あっ」
シロが小さく声を上げて立ちあがる。
おキヌとタマモが顔を上げるとドラマでも同じみの「手術中」と標された赤く光るランプが消えていた。
ガチャリと音を立て、いつかの笑気ガスを吸っていた医者がドアを開ける。
『先生・・・』
おキヌとシロの声が重なる。

「・・・一応手術は成功だ。心配された脊髄への損傷も背骨に罅が入っているだけで無事だった。常人なら早くて3ヶ月といったところだがこのボウズなら1ヶ月ぐらいで退院できるだろう」
「ありがとうございます!」
おキヌが感謝の涙を流す。シロは、よかったでござる〜〜と滝の涙を噴出していた。
タマモもやれやれと安堵の息をつく。
「ただ後頭部に強い衝撃を受けているからまだ目は離せん。面会は明日からだ。今日はもう遅いし帰りなさい」
「・・・わかりました、横島さんのこと、よろしくお願いします」
まだ横島の事が心配ではあるがこればっかりはどうしようもないので素直に承諾する。
「えー!!先生には会えないんでござるかー!?」
駄々をこねながらおキヌとタマモに引きずられていくシロであった。

一方―――

「遅い・・・あいつら何やってんのよ」
美神が紅茶が入れられたカップを乱暴に皿に置く。
部屋の一番奥の席に座っていた美神令子の母、美知恵も頷く。
「そうね・・・いくらなんでも遅すぎるわ。迎えに行かせた職員からの連絡も無いし・・・どうしたのかしら」
「何かあったんじゃないかしら〜〜」
会議を開く際に、顔見知りのGSや関係者らを召集したのだが、1時間待ってこの場に到着している者は西条とカオス、マリア、冥子の4名であった。
「僕が様子を見に行ってきましょうか?」
西条が進み出る。
「そうね、お願いするわ」
「一人で全員の家に行くのは面倒じゃろう、マリアも連れて行け」
カオスがマリアの背中をたたく。
「助かるわ、じゃあ西条君は小笠原さんの事務所へ、マリアは唐巣神父の教会に行って頂戴。気をつけてね」
「はい」
「イエス・ミセス・美神」
「それと西条君、この無線機を持っていって。マリアも周波数を西条君の無線と同じにセットしておいて。万が一って事もあるから・・・」
無線機を受け取った西条とマリアが駆け足で部屋を出て行く。
「ヒャクメを報告のために神界に戻したのは失敗じゃったな。千里眼ならすぐに確認できていた」
老師が小さくため息をついた。



ふー、やっと次で戦闘シーンを書けます。
でも書けるのはしばらく後になりそうで残念です。
・・・テストなんか嫌いやー!(横島風)

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