ザ・グレート・展開予測ショー

君がいるだけで(11)


投稿者名:JIANG
投稿日時:(01/10/16)

「あれが先生に取り憑いている悪霊でござるな。先生に悪さをするとはゆるせん! 拙者
が引き離すでござる」
「ダメよ、シロ。あれは精神に寄生するタイプの霊なの、無理に引き剥がしては横島クン
が危ないわ」
「それではどうするでござるか!」
「霊の抵抗力を弱めて、除霊するしかないわ。……おキヌちゃん!」
「はい、ネクロマンサーの笛ですね。…………すいません、美神さん。家に忘れてきてし
まいました。」
 ダアー……とコケる一同。
「………いいわ。こうなったら悪霊の動きを封じ込めて横島クンの自身の精神力で引き剥
がすしかなさそうね。……いい、横島クン! 今から神通棍を使って封じ込めるから何と
か自力で霊を引き剥がしなさい!」
「そんなこと、言われても…うう……涙が止まらないッス……」
『そうよ、哀しいわよね。あの人がいなくなって……、自分のせいで死なせてしまったの
だから……ずっと哀しんで過ごしましょう』
「そうだー……! 俺が死なせたんやー! 俺のせいなんやー! ごめんなー、ルシオラ
ー!」
 令子が悪霊を引き剥がすように言っても横島は泣き女の言葉に耳を傾けてしまう。
「横島さん、気をしっかり持って!」
「先生、頑張るでござる!」
 おキヌやシロも必死に横島に問いかけるが効果がない。
「横島さん、しっかりして下さい。ルシオラさんは確かに死んでしまったけど、横島さん
の子供ととして生き返る可能性があるじゃないですか。」
 しかし、おキヌのこの言葉に横島はわずかである泣くのをやめ顔を上げる。
「ルシオラが生まれ変わる……ルシオラ……」
 この瞬間を令子は見逃さなかった。
「よし、泣き女の呪縛が弱まったわ――!」
 そして神通棍を振りかざし、鞭状にして悪霊に巻き付ける。
『ああ……ダメよ。離さないわ。この人はもっと悲しみたいのよ。ああ……』
 神通棍によって動きを封じようとするが、まだ泣き女の呪縛が強いのか、なかなか横島
から離れようとはしない。
「もう一息だって言うのに……! 横島クン。ルシオラをあなたの子供として転生させる
ときは私も協力してあげるから、そんな性悪女の言うことをいつまでも聞いているんじゃ
ないわよ!」
 なかなか思うように除霊することが出来ず、イライラしている令子が言ったこの言葉は、
横島に絶大な効果をもたらせた。
「本当ですかー、美神さん!! じゃあ、今すぐ協力して下さい!」
 アッという間に、泣き女を振り切り令子に向かってダイブする横島だったが、横から百
合子のドロップキックが炸裂した。
「美神さんの協力はその協力じゃないだろ! まったく……」
 吹き飛んで木の根本に倒れている息子に一言言ってから百合子は令子の方に振り向いて、
「それともそういう意味だったかしら?」
「いいえ、そういう意味じゃありません!」
 神通棍を握っていて身動きが出来なかった令子は目の前の出来事に唖然としていたが百
合子の問いかけられて即答する。しかしその顔は心なしか赤くなっている。
 一方、泣き女は取り憑いていた横島が急にいなくなってしまい、その場でオロオロとし
ている。
『あああ……』
「今よ、シロ!」
「わかったでござる」
 神通棍で泣き女を封じている令子に変わり、シロが狼の姿に戻って前に出る。
『BOW』
 泣き女に向かって退魔効果がある鳴き声で吠えると、泣き女は『きゃあぁ……』と言
う声を残して消滅したのだった。
「横島さん!」
「先生!」
 泣き女が除霊されたことを確認するとおキヌとシロは、横島のもとに駆け寄った。
(これじゃあ、除霊されなかった方が良かったのかも!?)
 木の根本で逆さまになって頭から血を流し、白目をむいている横島を見て2人はそう思
うのであった。
 令子はその場から横島を見て、自業自得よ…という顔をしている。
「終わったわね。それじゃあ、いろいろと話したいこともあるかもしれないけど、一度事
務所に戻りましょうか。横島さんもご一緒に…」
「ええ、私らもそちらに伺う途中でしたので、一緒に行きましょう」
 こうして一行は美神事務所に向かったのであった。

そのころ事務所では……
「早く誰でもいいから帰ってきて―――!」
 ひのめのおむつ替えに、ひとり悪戦苦闘しているタマモであった。

*** つづく ***

除霊シーンの後半でした。
それにしても、好不調の波がはげしいな、俺・・・。

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