ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(気配)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/10/13)




 ー終曲ー



 その二人。
 二人はオカルトがらみの事件に関してはプロ中のプロ。
 そして行方不明者の知人という事もあり、それ故、先程まで現場付近の検証に協力していた二人の男女。
 彼らは今、次第に遠ざかって行く。
 どうやら知り合いらしいもう一人の人狼らしき少女(妖狐と知るのは一部の関係者のみ)と共に召集を受け、タクシーに乗り、見送る一同の本部へと向かう。
 そんな彼らに抱いた感情。
 それは当然というべきか、必然というか・・・ともかく見送る若きGメン達の想いは皆、一つ。
 疑惑。
 先程彼らの目の前で繰り広げたやりとりからしても、あれではどう見ようとも、どこぞのはねっかえりと、それに手を焼く小学校の先生程度にしか見えない。
 少しづつ、想いが変化する。
 本当にあれがプロのGS?それも協会の会長?
 そういった疑惑が、やがて困惑に・・・そしてしまいには幻想を<あんたらはどこぞの園児とそこに勤める先生かやっとられへんわ>ハンマーで、粉々に打ち砕かれた事へのやり場の無い怒りへと変わっていく。
 そんな憂鬱となる想いを抱えながらも、根が真面目な彼らが仕事に戻ろうとしたーーーその時。

 気配。

 闇がーーー収束した。


 こGメン本部の、待合室。
 ここは今、とてつもなく不穏な空気によって支配されていた。
 空気の源となるは、当然ーーー
「れ、令子ちゃん、その、横島君の事なら・・・」
(西条さん!危険です!駄目っっーーー!!!)
 金髪の青年が(巻き添えごめんなので心の中だけで)制止の声を上げるが惜しくも(当然という説もある)その声は届く事無く、青年は師がそうする様に、十字を切った。
 挑戦がーーー始まる。
 勇敢にも(無謀にも)触るともれなく不幸を進呈されそうな雰囲気をかもしだすーーーそんな『魔王美神』に声をかけたのは、我らが『勇者西条』・・・その人だ。
 ここから先は本来記すには、とても危険なのだが・・・勇気をもって記そう。
 さて、彼女はーーー・・・
『ナァニ・・・?サイジョウサン・・・?』
 彼女はーーー・・・微笑んだ。
 太陽の様に暖かくでは無い。月の様に優しくでも無い。
 あえて形容するならばーーーそう、怪奇月食?の微笑みだ。
 ビシビシィッ!と、凍てつく勇者。
 怪奇月食・・・何一つとして明かりも、ましてや暖かさも無い怪奇なる真闇に放られた以上はーーー凍てつくの事明白だ。
 南極の吹雪に生身でさらされるのよりも更に、とてつもない速度により、『勇者西条』の氷像が完成する。
(タイトルは何かしらね?タイガー?)
(経験値取得能力ナッシング勇者、ここに眠る・・・?)
 師である自分の問いに対し、弟子はそう答えた。
(なかなか上手いわね・・・ん〜〜座布団一枚!)
 百点満点では無きにせよ、師には好評だったらしく、巨体を誇る弟子はポリポリと・・・照れくさそうに頭を掻いた。
 それはともかく。整理をしよう。
 場にいる面々ーーー丁稚の失踪に続いて突然呼び出された事に憤慨する者。その丁稚の事が心配で、用意されたコーヒーに映る自分とただ見つめ合う者。凍りつく者。それを溶かそうと試みる者。あるいは話の種にする者・・・等々。
 そんな愉快な(一部を除いて)一時を過ごす彼らの前で、気配がすると共に、ゆっくりとドアが開かれ・・・そして・・・
「みんな集まってるみたいね・・・さ、こっちよ」
 見知らぬ女性に声をかけ、彼女と共に・・・
「お待たせ」
 召集をかけた本人・・・美神美智恵が姿を現した。


『キキ・・・キキキ・・・!』
 動きたくとも動けない。
 指一本たりと、動かせない。
 そんな彼らを踏みつけ、耳障りな笑い声を響かせるモノ。
 それはーーー悪魔。漆黒の、悪魔。
『ク・・・キャーハハハ!』
 累々と積み重なって倒れる若手の『オカルトGメン達』を目にしながらーーー『悪魔』は笑った。狂った様に。

『キャーッハッハッハァーーー!!』

 笑イーーー続ケターーー


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