ザ・グレート・展開予測ショー

君がいるだけで(9)


投稿者名:JIANG
投稿日時:(01/10/11)

 先程の公園では横島がルシオラのことを母親に話していた。
「ルシオラはもういないんだ……。あの戦いの時、俺が死にそうになったとき自分に霊力
を使って助けてくれたんだ。でもそのかわりにあいつは力を使いすぎて、消えてしまった
んだ」
めったに見たことのない、まじめモードの息子の顔を見て百合子は何か言おうとしたが
結局何も言わずに、息子の言葉に耳を傾けた。
「あいつは……ルシオラとは敵同士だったんだ。でも俺があいつらのアジトにスパイとし
て侵入しているときに、GSチームからの反撃があって、その時に結果的に俺がルシオラ
たちの危機を救うことになったんだ。それからあいつらに気に入られるようになって、そ
の…特にルシオラといい雰囲気になってきて――――、とにかくあんなにすんなりとモテ
たのは初めてだったんだ!」
「モテた!? おまえの口からそんな言葉を聞くのは初めてじゃないかい。」
(と言うことはこの朴念仁の忠夫がはっきりとモテたと思うような意志表示をルシオラっ
てコがしたということなんだ…)
 心の中ではこう思ってはいたが、口に出してこんなことを言った。
「おまえの勘違いじゃないのかい?」
「だって、逆天号の修理のために隠れ家に戻ったときに、その……ルシオラは思い出が欲
しいから、夜になったら部屋で待っていてくれって………言ったんだ。」
 横島はこんなことを言うのは、さすがに言いにくそうだったが、それを聞いた百合子は、
「ブホッ……ゴホッゴホッ………。夜、部屋に行くって………まさか、本当にヤったのか
い!?」
 驚いた百合子はタバコの煙にムセながら息子に聞く。
「い…いや、その……結局ヤれなかったけど……」
 息子の言葉にホッとしてから、横島の肩をポンポンとたたき、
「そうかい……うまく、いかなかったのかい。初めての時はそういうときもあるけど、気
を落とすことはないよ。あんなものは経験だからね。何度かヤればきっとうまくなるから
……」
「何を勘違いして哀れんどるじゃー! そうじゃなくてあいつらは人間とヤッちまうと死
んでしまうように監視ウイルスが仕込まれてたんじゃー。だから泣く泣くあきらめて逃げ
出して来たんだー!!」
「へー、おまえにしてはよく自制心がきいたね」
「当たり前だ! ヤったら死んでしまうなんて後味悪すぎるだろうが。――だから、俺は
アシュタロスを倒してルシオラを自由にしてやるって誓ったんだ!」
 百合子は顔の前で握り拳を作って格好を付けている息子を胡散臭そうに見ている。
「どうせ本当の目的はそのルシオラって娘とHすることだったんだろ。格好つけるのはお
やめ」
「…………」
それだけが理由ではないが、Hが主目的であったということも否定出来ない事実であり、
横島はその格好のまま冷や汗を流すのであった。
「それで、どうなったんだい。そういうところは父さん似のおまえのことだから何とかし
ちまったんだろ?」
 自分の力を認めているような母親の言葉に驚きながら横島は話を続けた。
「ああ……魂の結晶を奪い取られた美神さんを救い出せたし、アシュタロスの野望もなん
とか阻止することに成功した。それに最後はアシュタロスの野郎も倒すこともできた。そ
れもみんなルシオラのおかげなんだ。だけど俺はそんなルシオラを見殺にしちまったん
だ! 俺のためにアシュタロスを裏切っくれたのに……、俺のことを惚れたといってくれ
たのに……、一緒に夕日を見ようって約束したのに………」
いつの間にか横島の目からは涙が流れていた。その涙はアシュタロスを倒して以来、ル
シオラのために流す初めての涙であった。
「おまえ……その娘のこと本当に大事に想っているんだね……」
横島の話では所々説明不足で判らない部分はあったが、この前の事件で息子がいろいろ
な経験を積んだことを理解したのだった。
そしてこのちゃらんぽらんな息子が知らない間に少しだけど大人になったことを知った
のだった。

*** つづく ***

ひゃあ・・・遅れた、遅れた(汗)
まったく、ここだけで何回書き直したことか。
自分はシリアスシーンはつくづく苦手だと思い知らされました。
まだまだ、この話は続きますが楽しんでくれる人がいたら幸いです。

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