ザ・グレート・展開予測ショー

お熱いのはお嫌い??


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/10/11)

決して小振りではない美神事務所の窓という窓を開け、秋の風を入れながら、大掃除である。
「普通のゴミも結構な量になるのねぇ」
美神が驚くのも無理は無い。結構サボっていたようである。
「まったく、こういう重労働になるんだったら、横島クンも手伝ってもらえばよかったかな?」
と、美神の独り言を耳にしたオキヌちゃんは、
「でも・・下着とか、結構見付かりましたから、男の人がいなかったほうがよかったですよぉ」
と、反論を唱えた事に、獣娘二人、シロ、タマモも同意である。
「そうで御座るよぉ。こんなモノ、御師匠樣に恥ずかしいで御座る」
「まっ、それは同感」
市販されている最も大きなゴミ袋ですら、どうやって口を閉めればいいか判らないほどの量である。
「じゃ、これをゴミ置き場に持っていけば今日は終わり。あとは御食事にしましょ!」
オキヌちゃんはエプロンを付けて、台所へと向かう。
残り三人がゴミ袋を持った時、
「イッ、いたーー!」
美神の悲鳴が上がった。
次の日、
「・・ゴミ袋を持ってぎっくり腰っすか?」
横島の口調は笑いを堪えている。
「うっさい、そうよ」
不機嫌に、床の人となっている美神。原因は先の通り、ぎっくり腰である。
「驚いたで御座ったよ」
シロの説明によると、それでも一番軽そうなゴミ袋を抱えたら、そのまま顔を沈めてしまったそうで、
医者、かの白井病院の先生に御世話になり、
「若さがないですなぁー」
と散々からかわれたとか。
「まっ。入院するほどの事もないでしょな。1週間程、大人しく寝ていれば大丈夫ですよ」
入院すると御金もかかりますし、と言ったが、白井先生の本心は、
「このクランケ(患者)がいると、あのセクハラボウズが何をしでかすかわからないからな」
かも、しれない。
真相はともかく、これではGS業は御休みにせなばならない。幸い、依頼をこなした後だったので、
「まっ、少し早い冬休み、って事にしましょ」
困るのは横島である。
「そ、それは困るッスよ、美神さん、じゃあ俺のバイトは?」
横島も生活がかかっているから、必至である。
「そうねぇ。万一、簡単な依頼があれば横島クンにいってもらってもいいし・・」
オキヌちゃんもそれには同意見で、
「そうですよ、シロちゃんやタマモちゃんも戦力になりますし」
Aクラスの仕事は難しいが、Bクラス以下の仕事を引きうけて、という事になり、
「あとは、事務的な仕事もオキヌちゃんや横島クンに任せてもいいかもね」
と、幾分苦手な仕事も任せようとなった。
「じゃあ、そういう事に!あと、横島クン」
「はい?」
「私が動けない事を好い事に、どさくさに紛れて、ヘンなことをしたら・・」
中指を横島に見せ付けるようにして、
「あんた、生きながら地獄を見せてやるからね」
とても冗談には見えなかった。
そういう事もあってか、今回はとりあえず、殴られるような行為はしなかったようだ。
「まっ。オキヌちゃん近くにいたし。下着なんぞ漁ってたら、きらわれちゃうしなぁ」
だそうである。
「さて、と。じゃ何をしようかな?」
「それじゃあ、事務所と、倉庫の御掃除を、御願いしたいんですけどぉ」
「了解」
昨日中断された掃除が再開されたのはオキヌちゃんがいる仲間内では当然の帰結と言えようか。
「「事務所なら、へんなモノ、ないでしょうし」
こういう思いもオキヌちゃんにはあったであろうか。
横島がやったのは、車の洗車であった。
「やっぱ、いいよなぁ。車って」
男の子一般は、こういうかっこいい車に憧れるのは当然といえようか。
「へへー。あとで、美神さんの下着でも盗みにいこっかなー」
目じりが下がり始めると、誰かしら、タマモやシロがやってきたのは、偶然であったろうか。
「御師匠樣・・えっと、拙者オキヌ殿に頼まれた御使いにいってくるで御座るよ」
横島、嫌な顔みられたなぁ、という感想である。
そして、オキヌちゃんから声がかかる。
「横島さーん、今日はこのぐらいで、あっそうだ!」
最後に、美神さんに報告して、ついでにゴミを下に持ってきてください、と命を受けた。
「美神さーん。今日はこれであがりーす」
と、ノックを一応して入る。
横島の目に美神の体が微かに震えて見えるのが、判る。
「あっ、横島クン?ごくろうさん。あとさ、誰かよ、呼んできてくれる?」
ははぁ、としたり顔の横島が、
「美神さん、トイレっすね」
ぼっと、顔が赤くなる。
「そ、そうよ」
へっへ、と笑いながら、
「俺が連れていきますよぉ」
と、美神が怒鳴り散らすのもお構いなしである。
「シロは御買物中、っす。オキヌちゃんやタマモなら経たすりゃ、ぎっくり腰が二人になっちゃいますって」
「・・・ヘンなトコ触ったら、覚悟しなさいよ」
横島も美神の腰を配慮して優しく抱きかかえる。
へんなところじゃなくても、美神さんなのだから、役得といったところか。
美神としては、恥ずかしく思うであろう。
便座まで抱きかかえてもらうから、だ。
「パジャマを脱ぐのは自分で出きるわよ・・早く出ていきなさい」
「わかってますよぉ。俺だってそんな趣味はないっすから」
「そう・・。あとは、一旦外に出て、5分ぐらいしたら、又来て頂戴」
横島とて、トイレで生じる音に反応する人間じゃないであろうが、当然の忠告である。
「はいはい」
ある種の優越感と、いった処か。
横島もゴミを外に出して戻ってきたら、丁度の時間だと、踏んだ。
ドアがしまる音を確認した美神が、やり難そうに準備を始めた時、
「・・横島クンって、あんな体でも結構筋肉あるのねぇ・・」
と、漏らしたのは無意識からであったのか。
更に次の日。
「ちゃーす、ってオキヌちゃん、まだ学校かな?」
タマモもシロもいない。
横島が来る少し前、
「と、西条殿からの依頼で御座る、急ぎだそうで・・それに30分ぐらいで終わるそうで御座るし」
美神も儲けをフイにする真似はしない、
「わかったわ、いっといで」
「了解!、じゃあ・・」
と、いう事なのだが、二人は何か言いたそうな顔であった。
「何かあるの?」
「その・・」
言いよどんでいたが、決意を決めたのか、タマモが、
「美神さん・・ちょっと臭い」
「なんですって!」
鼻のいい二人なので、当然と言えば、とうぜんであろうか。
「ね、ねぇ、私をバスタブまで運んで!」
「服は・・どうする?」
「それは・・あんたたちが、帰ってきたら着せてくれればいいわ」
そう言って、ベットの上でパジャマを取って、裸体を獣娘二人で運ぶ形となった。
この際、恥ずかしがっている場合ではない、と判断したようである。
バスタブには事前に御湯を張っていたが、
「ちょっと温いわね。ちょろちょろ程度で御湯を出しておいて」
「大丈夫で御座るか?」
「えぇ、このぐらいなら自分で止められるし」
久しぶりの御風呂でウツラウツラしている時に、横島がやってきた。
「あっ、横島クン?」
はっと、目を覚ますと、少し熱さを感じる。
「・・御湯、止めないと」
と、少し上体をあげ、お湯のカンロに手を伸ばした時、
「・・・・!!」
美神は落雷でも浴びたかの如くの衝撃が走る。
更に悪い事に、締める積もりが御湯を更に多く出す結果となる。
バスタブには、溢れ出ないように上部に水の抜け口がある。
だが、
「げっ!・・タタタ!」
そう、どんどん熱くなっていくのだ。
あれー、美神さん?、タマモ?シロ?」
と、横島の声は聞こえる。
「我慢、我慢・・」
熱さに耐えようとしている。
だが、容赦なく、バスタブの中は温度を上昇させている。
更に、換気扇を廻し忘れたのか、湯気の逃げ場が無い。
「・・・、ど、どうしよー」
もう、熱湯に近い状態、風呂場内はサウナ状態である。
横島は、誰もいない事を確認している。
「誰もいないのかぁ・・へへー」
顔が崩れた。なにやら悪い事でもしよう、という処か。
すると、
「よ、よこしまー、よこしまー」
金切り声が風呂場から、こだまする。
「美神さん?えっと、あの方角は風呂場か?」
急いで行って、ドア越しに、
「美神さん、お風呂っすかー!、どうせ覗くなとか言うんでしょ」
そんなの意味ねぇっすよ、という反語であるが、
「い、いいから、助けて!」
公認されるとは、思わなかったが、助けて?と来たのは意外だ。
「ど、どうしたんすか?うわっ!湯気が」
風呂場を開けただけで瞬時に悟った。
「急いで、お湯を出している蛇口を閉めて、水にする。
「大丈夫っすか?美神さん」
湯気で視界はかなり狭いが、美神がお湯の中で胸元と股下を両の手で隠しているのは判る。
感無量、といった横島であろうか。
当然、水の蛇口を捻るが、熱湯がさざなみを打って、我慢出来る状態ではない。
「い、いいから、早く挙げて頂戴!」
我慢も限界なのである。更に今は体が悪いのだ。
「りょ、了解っす!」
流石に、可愛そうと思ったのか、横島は美神を抱き上げたと同時にバスタオルで前を覆ったが、
「み、美神さんの背中に、太ももをじ、直に・・!!」
興奮で鼻血でも出すのではないかと、思う程である。
だが、美神、熱湯に浸かり過ぎて腰を悪くしたのか、
「ベットに!早く」
そう命じる。
魔の悪い時がある。
「美神さーん、今かえりましたー」
「拙者らも帰って来たでござるーー」
「おなかすいたー」
三人だ。
「げっ!」
二人の声が美味い具合に重なった。
三人が見たのは横島が、御湯がしたたり落ちる美神を抱きかかえている姿だ。
かろうじて、オキヌちゃんが声を出した。
「た、タマモちゃん、シロちゃん・・これは・・大人の世界よ・・・私達には毒よ!・・・横島さんの・・・ふけつぅーーーー」
そう言ってシロとオキヌちゃんは泣いている。
下りていく三人の耳には、
「ご、誤解なんだってば!、ねぇちょっと!、ちょっと!」
という美神の必死の声はおそらく聞こえていまい。
「・・あんたもなんとかいいなさいよ!」
ふけつ言われたショックか、横島は何も言い返せない。
「・・・・・熱いのなんて・・だいっきらいよ!!」
叫び過ぎで又腰に痛みが走ったそうである。

-FIN-

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