ザ・グレート・展開予測ショー

彼女の名は?2その8


投稿者名:KUMAさん
投稿日時:(01/10/10)

ここはオカルトGメン日本支部本部東京都庁地下
美神美智恵隊長の執務室である。

「それで、横島クンの容態はどうなのママ」
執務室のソファに座りながら横島の容態を聞く美神。
「まだ意識を取り戻してないそうだけど、命には別状ないそうよ。でも、どうして彼は女性になっていたのかしら?」
「そ、それはね色々とあって・・・・」
焦りながら、これまでの経緯を美智恵ママに報告する令子。

「なるほどね、あの皇本家の御曹司、皇輝彦の助手をね」
「ええ,あの美人と見ると誰でもおかまいなしに口説く超変態野郎よ。私も痛い目にあった事があるわ」
心底嫌な顔をして令子が美智恵にいう。
「それで文珠で横島クンを女性化させて、皇輝彦の助手をさせたと、そういう訳ね」
ため息をつきながら娘の顔を見る美智恵。

「まぁ、確かに横島クンならいい寄られても問題はないわね。たとえ襲われたところで腕力も上だし、仕事が終われば男に戻ればいいんだし」
へんに納得する美智恵さん。
「ところで令子、横島クンの文珠による女性化はどのくらい続くのかしらね」
真顔になって令子に尋ねる美智恵。
「え、そうね大体1日くらいかしら。横島クンが自力で解除しなければね」
「変ね、まだ男に戻ってないそうよ。横島クン」
「え!だってもう変身してから2日は経つわよ。いくらなんでも文珠の効果が切れていいはずだわ」
「それにね、念のため彼の遺伝子を調べてもらったら、性染色体がX染色体の対、つまり女性のものになっているそうよ」
冷静に令子に告げる美智恵ママ。
「なんですって!!」
驚く令子であった。

その頃、ここは横島の病室
「うーん、あれ、ここはどこだ?」
横島が目を覚ました。
「横島さん、目を覚ましたんですね―!よかった」
ベッドの横で心配そうに横島を見ているおキヌちゃんが叫んだ。
「おキヌちゃん・・・」
横島の記憶はまだ混乱している様だ。
「そうだ!あの化け物は、シロは、みんなは!」
がばっと起き上がる横島。
「駄目です!いきなり動いちゃ」
おキヌちゃんが横島を抱いて制する。
「みんな横島さんのおかげで無事です。シロちゃんはすぐ回復しました。寡尾州さんも肩の怪我は大した事ないそうですよ。安心してください」
「あのリビング・アーマーは元の箱に戻って飛び去っていきました」
「そうか、みんな無事かよかった。ってあれれ!」
自分の豊満な胸が目の前にあった。
横島はまだ自分が男に戻ってない事に気がつく。
「なあ、おキヌちゃん。俺が気絶して何時間経ってんだ?」
「え!ほとんど丸1日寝てましたよ」
笑顔で答えるおキヌちゃん。横島が目覚めたのが嬉しそうだ。
「じゃあ、女になって2日近くたっているって事だよな。とっくに男に戻っているはずなんだけど?」
横島は文珠を取りだし、男に戻るよう念を込める。
しかし、文珠には何の反応も出ない。
今度は男に変身する様に念を込めるが、これも文珠が反応しない。
「なに―!男に戻れない―!!なんでじゃー!!!」
横島が叫ぶ。
「え!男に戻れないんですか?」
おキヌちゃんの声を聞きながら、気を失う横島だった。

《ところで、リビング・アーマーの方はどうなったの?》by作者

ここは、事件のあったビルの22階、横島たちがリビング・アーマーと戦う一週間前である。

リビング・アーマーガイストの箱の前に三十歳くらいの一人の男性が立っていた。
「愛美、愛、お前たちの仇はきっと取ってやるからな・・・・」
その男は自らの胸をナイフで突き刺し、その血を箱にかける。
そして男は箱に覆い被さる様に倒れて絶命した。
箱は男の血を浴びると鈍い光を放ち始める。
そして、箱から声が聞こえる。
『・・・我が名はガイスト!主(あるじ)よ契約は成った。我はたった今より主の僕(しもべ)だ』
「復讐してやる!俺の幸せを奪った奴らに!奴らを俺と同じ目にあわせてやるぞ!!!」
そして、その男の復讐は始まった。

横島が元に戻れないと大騒ぎしたその3日後、一人の国会議員が惨殺されたというニュースが日本中に流れた。
その男は、日頃から黒い噂の絶えない代議士だった。数年前には収賄容疑で逮捕される寸前までいった男である。
首を引き千切られた無残な死に様であったという。

「く、く、く、まずは一人目、奴の仲間を一人ずつ殺してやる。奴を恐怖のどん底に突き落としてやる・・・」
『・・・主の意のままに・・・・』
原型もなく破壊された高級車、その傍には、代議士の生首を持ったリビング・アーマーガイストが立っていた。

「ふーん、この事件もしかしたらガイストの仕業かもね」
ソファに座り、テレビを見ながら美神が呟く。
「え、なんでわかるんですか?」
美神の横に座っているおキヌちゃんが尋ねる。
「あの車よ。あんな壊し方を人間が出来るはずないわ。それに人間の首を引き千切るなんてね。そして、私のカンよ」
おキヌちゃんに答える美神。
「ところで、横島クンはどうしてるの」
「横島さんならお風呂ですよ。シロちゃんに背中を流してもらってます」

「うわー!やめろーシロ!くすぐったい!!」
シロに背中を流してもらっている横島が叫ぶ。
「せんせーの背中!すっごく綺麗でござる!!肌も抜ける様に白くて、木目細かくてもち肌でござる!!しみ一つないでござるー!」
シロが女性化したままの横島の背中を流しながら叫ぶ。元気な子である。
「胸なんかこんなに大きいでござる!形もいいでござる!拙者、本当に羨ましいでござる――!!!」
後ろから横島の胸を触りながら羨ましげに言うシロ。
「こ、こら、胸に触るんじゃない。シロ!」
くすぐったそうにシロを注意する横島。
「髪だって、こんなに黒くて細くてしなやかで、もうもう悔しいでござるーー!」
やはりシロも女の子である、色々考える事があるようだ。

「それにしても、女の子に背中を流してもらうなんて恥ずかしいもんだよな・・・」
「えっ!拙者を女の子と認めてくれるでござるか!先生」
「ああ、色々教えてくれるから助かるよ。美神さんやおキヌちゃんには恥ずかしくて聞けない事もあるからな。その点お前はあっけらかんとしてるから聞きやすい」
シロに髪を洗い流してもらいながら礼をいう横島。
「これって誉められてるのかな?頼られているのかな?でも先生にお礼を言われて嬉しいでござる!」
尻尾をぱたぱたと嬉しそうに振るシロであった。

「俺、本当に男に戻れるのかな?」
不安げに呟く横島。

ちなみにシロはちゃんと服を着てます。例の普段着です。

「ところで、あの花束やプレゼントの山は何ですか?美神さんのですか?」
おキヌちゃんが美神に尋ねる。
「あれは全部横島クン、いえタオちゃんへのプレゼントよ。オカルトGメンの若い男性隊員達からだって・・・・」
「なるほど、あの時下着姿でしたもんね。横島さん」
ため息をつくおキヌちゃんであった。


―つづく―

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa