ザ・グレート・展開予測ショー

A REBELLION AGAINST HEAVEN(5)


投稿者名:ラクン
投稿日時:(01/10/10)

シャオロンの霊気に当てられて横島は戦慄した。
さすがに世界で一番とは思っていないが、それでも自分の実力には人間界に限って言えば
それなりに自信があった。
しかしその自身はこの男の前にもろくも崩れ去った。
この男・・・シャオロンから感じる霊気は紛れも無く人間のそれであった。
にもかかわらずその霊気は横島や美神が持つ霊力の何十倍という強さを持っているのが嫌と言うほど伝わってくる。
自分達と同じ人間にこれほどの実力を持つものがいたという事実に横島はただ愕然とする事しかできなかった。
そんな横島の反応を楽しむかのようにシャオロンは口の端を軽く上げて笑った。
「さて・・・と、まずは様子見と行きましょか」
そう言うとシャオロンは文殊に念をこめた。
「ほいっ!」
「!?」
攻撃を警戒していたにもかかわらず横島は相手の投げた文殊に反応することが出来なかった。
文殊に念をこめるには1、2秒かかると思っていたのだがこの男はコンマ1秒程度で念をこめてしまったのだ。
気がつけば文殊はもう目の前まで迫っていた。
バシィ!!
文殊が横島に命中し、弾け飛ぶ。
「ぐっ!?」
体中に電気が走ったような痛みが横島を襲う。
(やられた・・・!)
横島はそう直感した・・・が

「・・・?」
痛みこそあったがそれも一瞬の事で直後には痛みは嘘のように消えていた。
が、横島は文殊を持っていた右手に例えようの無い違和感を感じ掌を広げてまたもや驚愕した。
「な!も、文殊が・・・」
妙な煙を出しているかと思うと、ボスン、と水素が爆発したような音を立てて文殊が掌から消えてしまった。
「く、くそ!」
左手に霊波刀を作り、シャオロンを牽制しながら右手に再度霊気を込める・・・が文殊が出来る気配がまったくない。
これはまるで・・・デジャブーランドの幽霊屋敷に行ったときと同じだと思った。
「!・・・まさか・・・」
シャオロンが再びニヤリと笑う。
「気づいたか。その通りや。あんたの文殊の能力、封印さしてもろたで。逃げられたりしたら面倒やからな」
「く・・・」
こちらの考えを読まれていた事を知り、横島は歯軋りをした。
(やっぱりおキヌちゃん達を避難させといて正解だったな。こんなやつ相手じゃ、とてもじゃないけど庇い切れなかった)
「さーて、霊波刀は使えるからまだ戦えるやろ?俺と勝負してもらうで。こっちも霊波刀しか使わんから安心し。ま、逃げようとした時にゃ遠慮なく文殊つかわしてもらうけどな」
どうやらこいつは俺をすぐに殺す気はないらしい。
そう感じ取った横島はとりあえず相手の要求を飲み、戦闘に応じる事にした。
(といってもまともに戦って勝てる相手じゃなさそうだしな・・・やっぱり隙をついて逃げるしかないな)
「あんまり・・・っていうか思いっきし戦いたくねーけどしかたねーな、いくぜ!!」
「おっしゃ!こいや!!」
シャオロンが右手に霊波刀を作り構える。これも横島のものとそっくりであった。
横島も利き腕の右手に霊波刀を作りかえシャオロンに飛びかかる。
「隙だらけやで!」
腕を振りかざしたせいでがら空きになった横島の胴にシャオロンの鋭い横なぎが入る・・・と思われたが
横島がニヤリと笑った。
「引っ掛りやがったな!くらいやがれ!」
横島が後ろの左手に隠していたサイキックソーサーをアンダースローの要領でシャオロンに投げつける。
ガァンッ!
「どわぁっ!?」
サイキックソーサーが顔面に直撃しシャオロンがよろめく。
「いまだ!」
その気を逃すまいと横島はさらに踏み込みシャオロンの肩口めがけて霊波刀を力いっぱい振り下ろした。
(入った!!)
横島はそう確信した。
しかし―――

ガキィィッ!!
「だぁぁぁっ!?」
金属のぶつかり合うような音がしたと思った瞬間、横島は後方に弾き飛ばされていた。
ガゴンッッ!
「ぐっっっ!!」
壁に背中と後頭部をモロにぶつけたため、一瞬意識が飛びかける。
「ふぅ、危なかったわー。初っ端からとんでもない事してくれるなぁ、ホンマに」
シャオロンの左手にはサイキックソーサーが現れていた。
どうやらとっさにこれで横島の攻撃を防いだようだ。
(おいおい、マジかよ・・・)
地面に倒れた横島の顔に絶望の色が浮かぶ。
あの体制とタイミングではどんな達人でも霊波刀を避けるのは不可能だったはずである。
それは武術に関しては素人の横島の目から見ても明らかであった。
それをこの男はいとも簡単にやってのけてしまったのである。

左手をさすりながらシャオロンが横島へ近づく。
「でも基本がまだまだなっとらんな。敵に剣が当たる時にしっかり脇を閉めんから簡単に弾かれるんや
せっかくの霊波刀もそれじゃ宝の持ち腐れやで」
「う・・ぐっ・・・」
必死に立ちあがろうとするが体が痺れて言う事を聞かない。
首を上げて自分が激突した壁を見ると、衝撃でぽっかりと穴があいていた。
(やべぇな・・・骨の5、6本は折れてるな・・・)
そういえば下半身の感覚がまったくない。
(背骨が折れてんのか・・・としたら・・・もう勝機はねぇな・・・ごめん・・・おキヌちゃん・・・こりゃ生きて帰るのは・・・ちょっと無理・・・そう・・・)
「もうちょっと楽しませてくれるとおもたけど・・・案外あっけないな。ちょっとばかし買い被り過ぎたようやな。・・・せめてもの情けや、楽にあの世に行かせたる」
そう言うとシャオロンは横島に向かって手を翳し、霊力をため始めた。



な、なんとか今日中(終わってるけど)に序盤の山場を投稿できました。
次の投稿は土曜あたりになると思います。
もっと早く書けるかもしれませんが。ではでは。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa