ザ・グレート・展開予測ショー

彼女の名は?2その7


投稿者名:KUMAさん
投稿日時:(01/10/ 9)

ドガガガガガーン!!!
その物体はビルの天井を突き破ってゆっくり降りてきた。
1辺1メートルほどのサイコロのコマのような真四角の箱だった。
色は白だが、六面全部に顔のような紋章が刻まれていた。
その箱が明滅を繰り返し、床に着地した。

「な、何、なんなのこれは一体?」
美神がその箱を見て叫ぶ。
オカルト知識に精通している彼女にも箱の正体はわからない様である。
その場にいる全員が箱に注目する。

箱の光が段々強くなっいく。
そして、光の中で箱の形が変わっていく。
「どうやら人型になっていくようですな」
寡尾州が変化していく箱を見ながら言う。
そう、箱は完全に人型になっいった。
そこに現れたものは、重厚な西洋のものと思える甲冑であった。
身長は2メートルほど、ガンメタリックの装甲版は鈍く輝いている。
そして、その甲冑から漂ってくる気はその場にいる全員がわかるほど、邪悪なものを含んでいた。

全員息を呑みながら、その甲冑を見ている。
「むう、面妖な!悪霊どもの仲間かー!!」
寡尾州が先制攻撃を仕掛けた。
「くらえー!!槍よー!邪悪なる者を打ち砕くんじゃ―!!!」
寡尾州の霊気の槍が謎の甲冑に向かって伸びる。
だが、霊気の槍は甲冑に当たって跳ね返される。
「な、なんじゃとー!!」

攻撃を受けた甲冑が寡尾州の方に振り返る。
甲冑は持っている剣を寡尾州に向けてひとなぎする。
霊気の衝撃波が巻き起こり、寡尾州を襲う。
ビイイイーン!!バッシュー!!

「うおおおお!!!うぐぅ!!」
霊気の衝撃波は、寡尾州の左肩に当たり、肩から血を噴出して寡尾州が倒れる。
「くう!ふ、不覚!」
倒れた寡尾州に霊菜が駆け寄る。

謎の甲冑はさらに寡尾州に攻撃を仕掛けようと剣を頭上に振りかぶる。
それを見た美神がイヤリングの精霊石を引き千切り、甲冑に投げつける。
ドガガガーン!!
精霊石は甲冑に命中して爆発する。

「今のうちに寡尾州さんを連れて逃げて!」
ドカカーン!!
今度は霊華の精霊石が甲冑に当たり爆発する。

2個の精霊石の爆発にたじろいでいる甲冑だが、ダメージはほとんどない。
「うそ、2個の精霊石を食らったのよ!あの甲冑、なんて化け物なの!」
美神がうめく様に呟く。

階段にいたタオちゃんが動いた。
「うおおおおおおーー!!」
タオちゃんが隙を見せている甲冑めがけて、突貫攻撃を仕掛ける。
右手の霊波刀にすべての霊力をつぎ込んで甲冑の胸に突き刺す。
霊波刀の切っ先は胸の装甲版に5cmほどめり込む。
「おりゃああああーーー!!この野郎ーー!!!」
タオちゃんは、さらに霊力を霊波刀に込める。団子にしていたタオちゃんの長い髪がたなびく。
タオちゃんは甲冑を内部から破壊しようというのだ。
甲冑の周りに霊力の竜巻が巻き起こる。
タオちゃんのチャイナドレスが引き千切られて、下着が露になっていく。
だが、これでも甲冑はびくともしない。
この時、タオちゃんには甲冑の兜の中が覗き見えた。
兜の中には何もなかった。ただ空洞だけがあったのだ。
「!ない!兜の中には何もない!」
驚き叫ぶタオちゃん

「なんですって!」
美神がタオちゃんの叫び声を聞いて気がついた。
「奴は、あの甲冑の正体はリビング・アーマーだわ!!」
《リビング・アーマー。生きている鎧の事である》by作者
「離れて!すぐ離れなさい!!危険よ!!横島君!!」
美神はタオちゃんに離れる様命令する。

美神の叫びは遅かった。リビング・アーマーは左手でタオちゃんの細い首を握ると物凄い力で締め付けた。
「うううああぁぁ・・・・」
タオちゃんの声にならない悲鳴が上がる。
右手の霊波刀の出力が段々弱まって行く。
そして霊波刀が消えた。
「横島君ー!」「横島さーん!」「横島さまー!!×4」「せんせーー!!」「タオさまー―!!!」
「せんせー!せんせー!せんせー!!」
「ギヤン!!」
シロが霊波刀を振りかざして甲冑に飛び掛って行くが、右手で叩き落とされる。

「シ、シロ・・・・」
タオちゃんは薄れゆく意識の中でシロを見ていた。
「やめろ!ガイスト、この女を殺すな・・・」
『主(あるじ)よ、この女は非常に危険だ・・・・』
「私の目的が果たされるまでは、お前は私に絶対服従の契約のはずだぞ・・・」
『・・・わかった。主の命令のままに・・・・・」

ガイストと呼ばれたリビング・アーマーの左手から力が抜けた。
その場に気を失い倒れる半裸のタオちゃん。

リビング・アーマーガイストは、元の箱型に戻るとそのまま窓から飛び出していった。
皆が気を失っているタオちゃんの元に駆けつける。
「大丈夫、気を失っているだけだわ」
タオちゃんの脈を取りながら美神が全員を安心させる。

「でも、あの化け物は一体?」
考え込む美神。

外では、皇本家の対悪霊部隊とオカルトGメンがようやく到着した。



―つづく―

うわー、今回はシリアスになり過ぎです。
人を凍りつかせるシモネタとギャグだけが取り柄の私なのにー

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