終曲(魔風)
投稿者名:AS
投稿日時:(01/10/ 8)
ー終曲ー
「いえ人違いです」
自然に彼はそう答えていた。
この一言により張り詰めた空気、雰囲気は一変した。
沈黙する銀髪の男。
辺りを漂う雰囲気もどこか間が抜けて、緩やかなそれへと転じるが、別に狙ってやったわけではない。
・・・半分は。
ともかく、彼は感じていた。ヤバイ・・・!と・・・
(こいつはーーー敵だ!)
そう。
それだけ間違いない。目を合わせた瞬間感じたのは、まず目の前のこいつが凍てつく程に冷たい眼差しをしているという事。
鋭い眼差しをしているからではない。
自分の事を人として認識していないが如き、ムカつく眼。
顔の良さだけでも充分腹立たしいというのに。しかしその腹立たしさを自然と堪えてしまう程、こいつはヤバイ。
恐怖感と危機感。
相手の底が知れない事への恐怖感。
自分の能力で切り抜けられるのかという危機感。
全身の感覚が麻痺する程に、それらを強く感じる。
誰かと相対する事でこれだけ戦慄するというのは、数々の危険を乗り越えてきた彼にとっても、そう覚えの無い事だ。
(この場は何とかやり過ごす・・・落ち着くんだ!)
必死に平常を保とうとする彼に、銀髪の男は言い放った。
「そうか・・・邪魔をしたな」
(へ!?)
危なかった。
もう少しのところでーーー間一髪のところで、そう口にしてしまいそうだった横島の心臓が早鐘を打つ。
「は、はぁ・・・そうっすよ!俺は横島なんて人じゃ・・・」
懸命(賢明?)に取り繕おうとする横島。銀髪の男はもはや己が目前の男には何の興味も失くしたかの様に、マントを翻す。
「時間が惜しい。手間を取らせた事は詫びよう、さらばだ」
そう言った途端ーーー黒衣がふわりとなびきーーー
銀髪の男は飛翔をーーー・・・
『待ちな!』
『!』
声。
どこから?と横島が周囲を見回す。銀髪の男は地に降り、横島の背後を睨みつけていた。
『まったくよぉ・・・これだからクローン風情は・・・!』
背後からの声にギョッとし、振り返る横島。
何の変哲もない舗装された路上。
そこの、丁度電柱の影になる場所から黒い腕が生えていた。
『ま、ソイツがあまりにも『それらしく』見えねぇってのもあるんだろうがなぁ・・・だからってコロリと騙されるのはいただけねぇよ・・・』
這い上がるかの様に、漆黒が姿を現す。
その姿はまさに・・・
「悪魔!?気配もしなかったぞ!?」
『ほう?』
漆黒の『悪魔』が口元を歪め、嘲う。
『気配ねぇ・・・?あんたまるで横島っつう霊能力者みてぇな事言うなぁ・・・』
からかうが如き、嘲笑の意味も込めた悪魔のその声。
ーその瞬間ー
背後からの猛烈な殺気混じりの鬼気迫る霊波に、横島は再度、慌てて振り返った。
修羅が在る。憤怒の形相。
銀の髪が放射状に揺れ、わななく掌。全身からは凄まじいばかりの銀色のオーラ。
もはや何の言い逃れも通じそうにはなかった。
『じゃあな・・・俺様はもう行くが、次はヘマすんなよぉ・・・クローン坊や・・・・・・』
去り際、侮蔑混じりの言葉を投げかけ、漆黒は闇に沈んだ。
「ーーー!」
その言葉を受け、銀髪の男はカッ!と眼を見開く。一層オーラが強くなる。
「く・・・!」
圧倒的なオーラにさらされ、ジリジリと追い込まれる横島。
銀の修羅が一歩、踏み出した。
「き、貴様の為にあの様な辱めまで・・・最早ただではすまさんぞ・・・!」
オーラが男の左の腕に凝縮を始める。。
「腕の一本は!覚悟してもらう!」
そう言い放った瞬間、オーラは風を集め、まるで刃の様に姿を変えた。
「償え!」
ー魔の風が刃を模して、横島へと襲いかかったー
今までの
コメント:
- 「続きです・・・面白かったら、何よりも読んで貰えたら、嬉しいです」 (AS)
- 凄いですよ、これ。緊迫感が臨界点というか、とにかく生半可なレベルじゃなさそうな
敵キャラ達……あぁ…しかもこいつらの台詞回しがもの凄く俺好み……
ビバ!俺様キャラ!!(頭の病気です。不愉快な思いをさせてしまってたらごめんなさい) (ダテ・ザ・キラー)
- いいなあこの緊迫感好きです
なんか勝手に横島が嫌じゃああああっていってた(汗) (hazuki)
- うわーうわー。
ピリピリピリピリ・・・・
背景は全く見えてないから、余計に緊張バリバリですね、凄いです。 (けい)
- う〜んとっさの尋問まではうまくやり過ごせそうだったのに最後にGSの癖の様なものがでちゃいましたね。
一気に緊迫した雰囲気になりましたね。
相手から攻撃してきましたね。横島くん、どうなるだろう? (G-A-JUN)
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