ザ・グレート・展開予測ショー

誤解(16)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/ 9/19)

「けど、どうするんや?」
と、美神さんの行く場所なんぞ知らんやろと冷静に和馬。
燃え上がる横島に水をぶちまける行為である。
まあ、この男がそれにめげる訳もないが。
「もちろん追いかける!」
事実その通りであった。
はっきしきっぱしと横島。
その言葉に和馬は笑いながら
だから、どこに追いかけるのかと尋ねようとした瞬間
ピピッピピピー
と、甲高い音が鳴り響いた。
それは横島にはとても馴染みのあるもので和馬も、馴染みあると言う程でも無いが知っている音。
すなわち笛の音であった。
「そこの変質者たちいいいいいいいいいいっ!!!!!!!!」
ついで聞こえる野太い男の怒声。
身に纏っているのは蒼い制服
もちろん警備会社のそれではなく警察の制服である。
そして地の底から聞こえてきそうな足音。
地域の安全を守るお巡りさん登場である。
はっきり言ってこれは怖い。
「「げっ」」
二人の声と表情が綺麗にシンクロし更には体が無意識の内に後ずさる。
どうやら、善良な通行人の方々の一人が警察に届けたらしい。
だが、仮にも警官が、人どうりの多い公道で変質者と叫ぶのもどうかとおもうが。
まあ。この二人が大人しくその警察官を待ってるわけも無いが。
「逃げるぞっ」
と意気込んだように和馬。
物凄く楽しそうだ。
「逃げないでかっ!」
一方顔面蒼白になり横島。
あまりいい思い出が無いらしい。
ちなみに、逃げ出すのに掛けてはこの二人天下一品だったりする。

―そうして30分後。
横島と和馬は美神令子除霊事務所の前に居た。
ぜえぜえと横島がやっとの事で立っているにも関わらず和馬は少し肩を上下させている程度である。
(もちろん警官の方は巻いた)
「へーここが事務所なんか。なんやえらい立派やなあ」
「た…多分美神さんは…ここにいる」
ぜえぜえと喘ぐように横島。
「ま、灯りもついとるしな。」
平然と和馬。
「っし。」
気合を入れるようにパンと両手を叩き横島。
まるで恋人の誤解を解きにいくと言うよりも、一戦交えるかのようである。
(で、俺はどないすんねん。)
そしてうーんと心の中で唸り和馬。
こんな面白い対決(?)見物しないては無いが目の前に居る男が絶対それを許すはずは無い。
(やけどこんまま帰るのも嫌やしなあ)
折角のバイトも断られるしと一人ごちる。
「俺も付いていってたらあかんか?」
ので、一応聞いてみる。
見物できるならそれに越した事はないからだ。
………沈黙。
横島は言葉こそ発しなかったがその表情が雄弁に語っている。
それこそ、二月の身を切るような冷たい風よりも尚冷たい表情だ。
「けちやなあ」
と半分以上その答えを予想していた和馬はにこやかに言う。
「当たり前やろーが」
一方横島、完璧に呆れている。
「でもなあ、従兄弟のうちにバイトの紹介してもらおと思ってきたら、いきなりドアがぶちのめされる状況に陥って更には折角のバイトも断られ、挙句の果てに痴話げんかに付き合わされて警官に追いまわされた俺は物凄くかわいそうじゃないか?コレくらい見ても全然いいと思うんだけどなあ」
そっと両手で手をおおい和馬。
声は哀しげだがもちろんその手のひらの下にある顔は嬉しげに歪んでいること間違いなしである。
ちなみに、この男、ドアが吹き飛ばされる事でもそんなに動揺していなかったし、バイトを断れたことも、痴話げんかに付き合わされた事も、警官に追いまわされた事も面白がっていた。
つづく
おわれるのかっというか誰かこの続きを気にしている人がいるのか(自爆

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa